自分の中では、ゴジラ史上ベスト。
誕生から70年、日本製作のゴジラとしては30本目だそう。ハリウッド版も含めて10本くらいは見ているけど、一番良かった。圧倒的な力を持ったゴジラが暴れ回るのはいつもと同じ。でも今回は人間の側がいい。戦後すぐでまだ食うのがいっぱいいっぱい。しかも戦争の爪痕を引きずったままの日本人が、ローテクで、国の指揮でなく、民間の力を合せて、立ち向かう姿にグッときた。あいつらいい顔してるだろ、に痺れた。
カッチカチやで〜。
フィンランドのコマンドーおじいが、侵攻してきたナチスをたった一人で殺しまくる話。余分な設定どころか、主人公のセリフすらほぼない。体脂肪率数パーセントのムダのないアクション映画。一人でたくさん殺すのはよくいるヒーローだが、彼らはほとんどノーダメージの神業を見せる。でもこのオジイはガッツリやられるし、普通5回くらいは死んでる。でも死ぬことを忘れたゴキブリのように這いずり回る。他の要素もドラマも一切なし。ひたすら戦い、殺し、殺され、でも死なない。
もちろん普通ありえへん!でもこっちのほうがしっくりくるのはどうしてだろう?
出オチ、いやタイトル落ち。
出世のために総理の汚れ仕事を引き受けてきた議員。その孫娘が誘拐され、犯人の要求は身代金でなく「お前の罪を自白しろ」。前半の盛り上がりはなかなかだったけど、思いきり尻すぼみ。内閣を揺るがす大事件の割に、いろんなキャラクターの描き込みや設定が浅すぎ。ミステリーというには薄すぎるし、キャスティングで犯人がだいぶ前にわかってしまうのはどうか?政治家、警察、マスコミ、庶民、どれもステレオタイプすぎる。過ぎるムービーやな、これ。
まさか同じ監督の作品を連続でみるとは!
前項で書いた「月」と同じ石井裕也監督の作品。実際あった事件ベースの小説を
原作にした「月」と違い、こっちはオリジナル脚本だけど、家族との距離感とか
誰が決めたかわからない常識や建前ばかりが幅をきかせる社会の息苦しさとか、
テーマは共通する部分もあった気がする。
題名からは想像しづらい不器用な家族の再生の物語。佐藤浩市演じる父親が久しぶりに集まった子どもたちを見ながら「いろいろあったけどいい思い出だけが残ってる」という幸せそうな表情か印象的だった。自分の親父や兄弟とハグしたくなったんだから、心に響いたんだろう。自分もそう思って死ねたらいいな。
わしづかまれて、ブルンブルン振り回された。
宮沢りえを主演に石井裕也監督が撮った障碍者施設連続殺人の物語。
「意思を伝えられない人たちに生きている意味はあるんですか?」「何のためにあなたは生きているんですか?」「心ってなんですか」「見たくないものに蓋をして生きていませんか?」次々と突きつけられる質問の刃に胸が苦しくなる。殺人に至る犯人の動機や理論はもちろんあってはならないものだけど、100%すべて否定できるかといえば、難しい。
キラーズなんちゃらと同じく、ほとんど幸せな人たちは出てこない重苦しい作品だったけど、すごく心を動かされた。2時間半でも見る価値があったと思う。
俺は一体、何を見せられてるんだ!
3時間26分もある上映時間の大半、モヤモヤしていた。
デ・ニーロとデュカプリオの共演でマーティン・スコセッシ監督
お膳立ては充分すぎるけど、題材がしんどすぎる。
1920年代にあった石油利権を巡ってのインディアン虐殺事件。
アメリカ人すら忘れかけて、なかったことになってる闇をそんな丁寧に描かれても…
とにかく出てくる人が全て暗い。欲にまみれ、カネのためならなんでもする白人。
そこに不満を持ちながら戦うこともしないインディアン。目が死んでる奴らばかりで、誰にも感情移入できないわ。忘れてはいけない史実かもしれないけど、しんぉい。
唯一よかったのはエピローグで使われたラジオショーの演出。
あれはカッコよかったなぁ。
もうちょい、頑張れよ。
ジェイソン・ステイサム主演のエージェントもの。
テンポはいいし、おもろいんだけど、彼を含めたチームの腕が良すぎる。
ハッキングは当たり前、ちょっと近くに行っただけでスマホを乗っ取り、別人の声に変換して電話もできる。狙撃は弾の数だけ敵を殺すし、カーチェイスしながら敵の正体をリサーチできる。裏切りもしないし、ほとんどピンチなし。
あとAIってなんでもできる魔法ちゃうからね。
世界中を自家用ジェットでホイホイ飛び回り、機上で優雅にワイン三昧。
殺し屋ってええ商売やなぁ…ってシリーズを作りたいんかな?
雰囲気はええねんけどなぁ。
岩井俊二は女の子を撮るのが上手だと思う。
奥菜恵、中山美穂、松たか子にはじまり、その腕に目をつけ蒼井優や広瀬すずが撮ってもらったのもうなずける。とにかく灰色の空との相性がいい。昔の広末みたいな元気印ではなく、ちょっとはかなげで、影と奥行きのある少女を撮らせたらピカイチだ。
でも、残念ながらそれが主目的で中身はない。今回も令和のCHARAみたいな彼女の歌は圧倒的だけど、それを聴かせるために作ったドラマや設定が粗い。いい加減、理不尽なかわいそうを東日本大震災がらみで作るのやめませんか?
あと、どう考えても長すぎるやろ。
アナログというより、クラシック?
ビートたけしさんの小説の映画化。といっても芸人ものや昔懐かしものでなく、現代のピュアラブストーリーという触れ込みだ。
昔は自分にとってのまさに神だったし、本も全て買っていたが、ここ10年くらいはしかたないことだけど、衰えがはげしく、見てられなかったので、この本も未読だった。
だいぶ残念だった。キャラクターや設定、ロケーションなど全てが古すぎる。
あえてなのかもしれないが、若い頃のたけしさんが見たらどう言うだろう。
別に最先端でいろとはいわないけど、昔のほうがいいだろという遣り口の積み重ねは見ていてつらい。
落語やクラシックは、積み重ねだけでなく、進化していっていりもの。
あんたはいい人かい?悪い人かい?
デンゼル・ワシントンが引退した凄腕エージェントを演じるシリーズだけど、御年68歳、これでラストらしい。
瀕死でたどり着いたシチリアの街。明らかに怪しいにも関わらず、手当し匿ってくれた人々を好きになり、安住しようとしたら、街のマフィアが揉めごとを。
このオヤジを怒らしちゃ絶対ダメ!暗闇での瞬殺であっというまに組織を壊滅してしまう。もちろんいつも通りノーダメージ。
街の人がロベルトを守ろうと立ち上がったところが、ちょっと七人の侍を思い出させた。彼らも自警のために活躍して、ボスはロベルトに任せたほうが面白かったかも。