親として…
アイアンクローの使い手として有名だった昭和レスラー、フィリッツ・フォン・エリック。その息子たちの実話ベースの物語だ。知識としてオヤジさんの存在とか、握力でリンゴを潰したことは知ってたけど、その後の物語は全く知らなかった。呪われた一家として知られた悲劇だが、その原因はオヤジさんによる、愛ゆえの家族の呪いだったのではないか。親だから自分の失敗は繰り返してほしくない、自分を超えていってほしい気持ちは痛いほどわかる。ただそれが限度を超えると呪いになり、子供を縛る。その典型的な例としてこの家族がとりあげられたのか?せつなく、やるせない気持ちなると同時に、親として考えさせられる1本だ。
可もなく不可もなく。
ゴーストバスターズシリーズ最新作!でももういいかな。もちろん第1作は大好きだったけど、なかなか2匹目のドジョウはいなかったみたいで、女性版作ったりして迷走してた。追悼も含んだ前作はファンサービス的によかったけど、それがヒットしたから作っても、もともとそんなに深い話でもないし。80年代は腰を抜かしたゴーストたちも、今じゃなんの驚きも生み出せない。あの時代で終わっておいたほうが、良かったんだと思う。まあ、一緒に行った中1息子は楽しんでたから、それはそれでええんやけど。
あんなに濃いおっさんの話なのに…
若松孝二監督が作った名古屋の映画館シネマスコーレと、そこで働く若者たちの映画青春ストーリー。昭和50年代の話だし、井浦新演じる若松カントクはものすごく昭和オヤジ。だけど見終わったあと、こんなに爽やかな気持ちになれるとは。たぶんそこには登場人物みんなが、立場は違えど映画への無垢で熱い愛に溢れてるから。ビジネスでもしがらみでもなく、純粋に理由なんかわからないくらい好き。そういうのって伝わるな。タダでは起きないために転びまくる、そんな人生も楽しいよね。
猫ではこうはいかんやろ。
そんなに興味があるほうじゃないが、犬か猫か聞かれたら犬派かもしれない。やっぱり気持ちが通じて、信頼できるのは犬なんちゃうかな?
気の毒な境遇から、そんな犬と気持ちを通じ合えるようになった男?の振り返りストーリー。下半身不随の男が犬を使って、不必要な大富豪の富を分配し、弱い人を苦しめる街のギャングを懲らしめるのは痛快。クライマックスはホーム・アローンみたいな感じもあって良かった。ただ、エンタメか苦悩のドラマか、どちらにも振り切れず中途半端な感じなのは残念。
気持ちはわかるけど、わかりたくない。
アルツハイマーの妻を介護し、亡くしたおじさん(リリー・フランキー)が妻の思い出の写真にあるイギリスの湖畔を探してまわる物語。喪失感とか、息子との関係とか共感できる部分はある、でもなぁ…。先行きの見えない後半人生について、紅茶を飲みながら考えさせられる。イギリス映画だけに、そんな作品だった。
で、なんなん?
何を伝えたいの?これで。
単に自分の欲望のために、簡単に人を殺す若者たち。不幸な境遇も、見事な大人との騙し合いも、あの胸糞悪いエンディングのためなら台無しだわ。子供がみんな純粋だとはおもってないけど、あの主人公にどう共感しろってんだ?
見に行って、久しぶりに失敗だと思ってしまった作品だ。
スパイ映画で爆笑て!
やたら超人的なエージェントが「活躍しすぎるだけ」の映画が多い中、シナリオや設定のうまさも兼ね備えていて、メチャおもろかった。特に覚醒してからのおばちゃん主人公の戦闘シーン。前フリがよく効いてるから落差がすごい。イケてるだけがスパイちゃうもんね。
映画らしくない。
この春から中学生なので、もしかしたら息子と一緒に劇場にいく最後かもしれない大事な作品だったけど、物語がイマイチ。音楽の素晴らしさ、豊かさというテーマは良かったけど、どうしても抽象的になりがちでボヤっとしていた。さらに悪役がいなくて、戦闘も簡単にうまくなった楽器を弾くだけ。盛り上がんない。コンプラだかなんかしらないけど、ドラえもんも敵わない悪がいて、それにテレビでは見せない4人の良さとチームワークで打ち勝つのが、映画版の醍醐味なのに…。しずかちゃん、ほぼいる意味なかったでしょ。テレビとは差別化しなきゃ。
生きづらさって。
杉咲花演じるヤングケアラーの主人公キコを中心に、虐待を受け母親からムシと呼ばれる少年、そしてキコを助けながら自分も大きな秘密を抱えた青年アンさん。何も責任はないのに辛い人生を送る3人の姿を見ていて、胸が痛くなるのと同時に、一人で悩まずに声をあげ、誰かに頼ったり逃げたりしていいんだと思った。家族が愛でなくて呪いになること、逆に家族でなくても支え合うこと、どっちもあるよね。
時間の緩急。
存在は知ってるけど一切未見のバレーボールマンガの映画化。やっぱり劇場版スラムダンクは意識せざるを得なかったと思うけど、あそこまでは難しかったか。
原作を知らないのでよくわからないが、キーとなる1試合とそのバックストーリーを行き来する構成。難しいなぁと思ったのは試合の見せ方。スポーツのアニメは数あるけれど、どの作品も肝になるのはプレーのスピード感と内面的な葛藤やリアクションの部分の対比。プレーが動き出してから、得点が入ったり一区切りつくまで、野球でもバスケでも30秒はあるし、もっと長いものがほとんど。でもバレーボールは、ラリーが続かなければ、5秒くらいで終わってしまう。一瞬で決まってしまい、選択や葛藤したりするヒマなんてない。だから合間に考えたことがプレーに結びつきにくいし、そこのカタルシスが少ない。原作のファンやバレーボール経験者には違う感じ方があると思うけど、素人にはちょっとネットが高かったかなぁ。