誰かのために、生きること。
主人公は同年代の建設会社社長。10数年前に妹をダンナに殺された犯罪被害者遺族だ。もちろん今も犯人を赦してはいないが、この人のすごいのはそういう被害者を増やさないために、刑務所や少年院を出た人たちの受け入れ先になっているところ。理屈はわかるし、すごく意義のあることだと思う。でもそんな切り替え、簡単にできるのか?それに再犯率が50%近いことからわかるように、支援しては裏切られての繰り返し。ちょっと立派すぎて自分とは距離を感じるなと思ったら、劇場の出口にいてはってびっくりした。
映画としては、いまいちだったけど。
「夢みる小学校」などのシリーズのオオタヴィン監督による、学校にオーガニック給食を!という1本。
全国で少しずつ実を結びつつある成功事例を羅列していく形で、正直映画としては・・・だ。
ただいくつも印象に残ったコメントがあったので残しておきたい
「ノンフィクション映画が社会を変えることがあるんです」…たしかに。テレビよりずっと説得力がある。
「役所より農協が動いたら話が早い」…その通り。農協って本来農家がやりたいことを協同で交渉するための機関だったはず
「全部一気にじゃなくて、できることから少しずつ」ホンマその通り!100%じゃないと意味がないなんてことはない。小さな一歩から。
「子供たちの体や未来を創っていくのは大人の責任」もっとその通り。自分の子はもちろん、次世代という意味の子供たちを育てるのは今の大人。そのためにみんなのt税金を使うのは問題ないし、手間(社会を変える運動)をかけたっていい!子供がいるかいないかなんて関係ないと思う。
心は動かされた。でも「カラ感動」ではいけない。小さなことからで一歩踏み出そう。そう思った1本だった
やさしさでできている。
パニック障害の青年とPMS(月経前症候群)の女性が、病気のために移ってきた2番目の職場で出会って…という物語。良かったのはこの二人が恋愛感情なしで、つながっていったのと、病気を治そうとか立ち向かおうでなく、寄り添う形で生きて行こうとしていたところ。人と違うところをバカにしたり攻めたりせず、お互いの凸凹を補い合っていく。病気だけでなくて、そんな当たり前のことをやっていきたい。残念だったのは二人の職場の人たちの描写が薄かったところ。あの空気を作ってる同僚の温かさも見たかった。
安心、コスパみたいな。
ムロツヨシが吉良上野介の身代わりをやるというコメディ時代劇。忠臣蔵と言っても若い世代はピンとこないし、忠義の心よりコスバ、タイパが優先されそうな昨今。
面白く、温かく見せるのには成功してるけど、ムロツヨシが出てくると作品が一気に安っぽくなるのはなぜだろう?
ダイソーとかオレも大好きだけど、そればっかりだとね。
具が小さい…
9歳の少女コットが、夏休みに預けられた親戚の農場で、一皮むける話。
家では居場所をみつけられなかった彼女が、田舎での生活で出会った人や出来事を経て、少しオトナになる。よくあるけど心地良い物語だし、その映像で癒やされる部分もある。ただちょっとなんも無すぎるかなぁ。近所の子どもとか、エピソードとかもう少し足してもらえないとお腹いっぱいになれないわ。
みんなに納得させてよ…
田舎の街で起こった中学生の殺人事件。それがキッカケでバラバラになってしまった少年たちが大人になって再会して…というミステリー。変わってしまったそれぞれの事情、変わらない田舎の閉塞感とはびこったままの小悪。かつての同級生との友情はどっちなんだろう?旧友を思い出し、いろんなことを考えさせられた一方で、伏線は回収されないまま、事件の結末もモヤッとしたまま終わる。それは観客の想像にお任せします、というには放り出す地点がたかすぎやしないか?
映画なんだから…
大好きで新作の度に通ってる東海テレビドキュメンタリーシリーズ。いつも見たことがない、ある意味生々しい映像を見せてくれて発見がある。今回の対象は名古屋にある搬送を断らない救急病院。コロナがあれだけ大騒ぎになったのも、病床が足りなくて病気なのに治療が受けられない患者が大量発生したからで、そんな中で損得とか抜きで「来た人は断らない救急」はものすごく大変で価値のあることだと思う。でも今回はそこにカメラが入っただけで、他とどこが違うのか?どうして他ではできないか?それを実現するために何をしてるのか?が全く描かれてなかった。夕方ニュースの15分特集ならあれでも文句ないけど、楽しみにしてる映画だからなぁ…あ、元はテレビだけど。ただそれだけ期待してるシリーズだということで。
こっちのほうが。
ゴールデンカムイの翌日に鑑賞。こちらは実話に基づく物語で、アイヌへの差別とそれに負けず文化の伝承に尽力した少女の物語。ちょっと作りに古さは感じるが、言葉の通じないインディアンみたいな扱いだったゴールデン…より、響くものがあった。
海外の黒人差別を批判しながら、日本人にだって拭えない異民族への別物感情があると思う。多様性という耳に心地良いだけの言葉でなく、理解しようと努力し、すごいところは認め、共に生きられるそんな日本になってほしい。
王騎将軍は?
歴史もんで喧嘩しまくる山崎賢人の新シリーズ。マンガ原作にありがちなキャラの強調しすぎで、あとは戦ってるばかりの映画だったなぁ。アイヌの少女は弓はうまいがセリフ下手だし、舘ひろしの土方歳三て!
キングダムと沈黙の艦隊とこれがゴッチャになるわ。次回作は大沢たかおが不敵な笑い顔で出てくるに違いない。
君たちはどうこの映画を見るのか?
問いかけられる抽象的な絵画のような作品。マッドサイエンティストが自殺した妊婦の胎児の脳をその母親に移植して育て…という大人の寓話。はじめは軟禁されていた彼女が大きくなり、外の世界に接して成長していく中でいろんなことを覚えていく。その過程や立ち位置、周りの人たちの関係など、論争を生みそうな種が満載。たぶん誰も正解ではない、でも見た人同士そんな議論を戦わせたくなる、珍しい作品。