違う、違う、そうじゃない。
邦題はそのまんま。ナマケモノが女子大の寮で住人を殺していく話。でも愛すべきC級映画ではなく、それっぽいでしょとテクも予算もある人たちが作ったのを感じてしまい、萎えた。C級ホラーってこうやろって半笑いで作ってる感じ。ゴミ映画を作ってる人たちは彼らなりに全力でやってるのが伝わってくる、そこがちゃうねん!
青春は、疲れるなぁ。
コロナのちょっと前、中国の繊維工業団地で働く若者たちを切り取ったドキュメンタリー。カメラを意識することなく、だべり、ケンカし、いちゃつきながら、一つ30円弱の手間賃のために、ひたすら工業用ミシンを動かす。昔みたいな貧しい農村…的な雰囲気でなく着ているものは派手で、スマホも使いこなす。でも見ていて思いだしたのは、自分の大学の寮生活と、寅屋の裏に住んでいた「労働者諸君!」だ。無限のエネルギーがあり、未来へのビジョンはない。切り売りする時間はあり、知恵はない。モテたい気持ちはあるけと、勇気はない。そんな彼らの生々しい姿をそのまま産地直送してるけど、少しは料理してほしかった。3時間半は拷問だ。あと、落ち着いた癒やし系の中国人って、存在しないの?
オーッ!
ゴジラとコングがモスラの仲介で共闘し、新たな敵と戦う!のは予告でわかっていた。こういう怪獣映画は人間側の中途半端なドラマに水をさされることが多いけど、これは大丈夫。コングがセリフなんかなくても孤独な中年の悲哀を見せてくれた。歯が痛い、さみしい、そして怪我した腕にサポーター、完全にジャンボ鶴田やないか!ジャンボ鶴田対身軽なブラックタイガーの怪獣プロレスが見られたら、満足やわ。
結果がわかっていても。
いや、わかっているからこそ、おっちゃんはこういうのに弱い。下剋上球児と同じ、逆境をひっくり返した奇跡の実話。安心して感動しに行くし、クサい台詞にも素直にジーンとしてしまうんだけど、いつも不満がある。フリが短すぎる。特にチームスポーツの場合、奇跡はたくさんの要因があり、それぞれのキャラの輝きの分だけ闇もある。どんな選手だか、コーチだか描く時間が短すぎる。2時間じゃあ無理に決まってるんだけど。
らしいっていや、そやな。
阪神電車提供の尼崎、いや阪神尼崎御当地映画。鶴瓶さんの娘が江口のりこ、そして若い再婚相手が中条あやみ。下町人情コメディのひとことで表せる内容だけど、知ってるところばかりがロケ地で、普通には評判でけへん。ベタをベタとして、ネタでなくドラマとして、受け入れられるかが楽しめるかの鍵かも。まあ、ええんちゃいます?
う〜ん、成功してるんか?
推していたアイドルが性犯罪を犯したというファン(自称有名)が、かつての仲間に会いに行って変化を聞いて回ったというドキュメンタリー。編集はしているとはいえ、彼女たちの本音だろうけど、直接迷惑をかけられたわけでない元オッパを許せない!とかありえない!とか言っているのには、違和感を覚えた。そこには過去の小っ恥ずかしい自分への照れと、今はステップアップしてるんだから!という自意識、そして、別れたら次の男!と切り替えられる彼女たちへの違和感もあったのかもしれない。これが女性アイドル好きのオトコどもだったらどう違うのか?証言の羅列だけでドキュメンタリーとしては全然だったけど、話題提起としてはよかったかも。
フワフワした感じ。
コロナ禍で公開延期されていたピクサー作品だそう。生まれ変わる前のソウルと現実世界の行き来の物語だ。長年の夢を叶える一歩手前で死んでしまった中年ミュージシャンと、生まれ変わる価値を見いだせないはぐれソウル。生きる意味や目的、なんとなく送ってきてしまった人生の価値など、子供でなくオトナが考えさせられる部分が多い。その世代ど真ん中の自分だけど、見ていて正直ピンと来なかった。抽象的、概念的な描き方もそうだし、あんまり思い通りじゃない人生なんか誰でもそうだから、あなたの物語です!みたいな自己投影もしにくい。モヤモヤした気分だけが残った。
なんか、かわいくて。
月ごとに転校を繰り返す大衆演劇一座の中学生と、不登校でアイドルオタクの秀才がひょんなキッカケで仲良くなる1ヶ月の物語。中学3年、それぞれの環境で彼らが悩みながら新しい世界を開いていく姿を明るく描いていて、見ててホンワカした気分になった。去年サーカスの取材をして、同じような子どもたちの姿を目の当たりにしたのも影響あったのかもしれない。
いろいろ粗いし、ツッコミしろはあるけど楽しい。ローカル御当地映画ってこういうゆるさも魅力なんじゃないかな。
男は女々しいからなぁ。
親の移住で12歳くらいの時に引っ越していった幼馴染。当時は両思いだった2人が12年後にネットで再会。でも直接は会えず、その12年後にやっとNYで。という話。途中から正直、スクリーンの中の2人はどうでもよくなった。思い出すのは自分の恥ずかしい片想いの数々。ほとんどうまく行かずというか、告白すらしてないけど、もしあの時に勇気をだしていたら…人生変わっていたんだろうか?そんな想いを引きずりまくってるおっさんには身にしみる作品。でも今は幸せだし、今はそんな選択の上になりたってるのはわかってるんだけどね。
大嫌いだ。
原爆の父オッペンハイマー博士の史実に基づく物語。嫌いなのは原爆を落とされた国の人間だからとか、長すぎるとか、ややこしいとか、そんな理由だけではない。
ひたすら不快だった。入口におことわりが貼ってあった爆発シーンはむしろシンプルすぎるくらい。醜かったのは自分の欲望や名誉欲のためにうごめく男たちの、いわゆる「オトナの話」。もともとは探究心、途中からは祖国や同胞のため。博士が終始ピュアで骨太な人物だったのに対し、理屈や建前は並べるものの、汚れまくったおっさんらのシーンが長すぎてしんどかったし、その不快感がまだネチョネチョくっついてる感じだ。