う〜ん、これが。
今年のアカデミー5部門かぁ。ロシアから来たボンボンに取り入って、今の生活から抜け出そうとしたセックスワーカーのお姉さんの話。そんなにつまらなくはなかったけど、登場人物の誰にも共感できなかったし、心を動かされることもなく2時間超え。笑えるところもあったが、これが今年のナンバーワンというのはどうか?アカデミー会員との感覚の乖離、ハリウッド映画の衰退を感じるなぁ。
沖縄感。
ガレッジセールのゴリ監督による沖縄・伊江島を舞台にした親子の物語。母の死に立ち会えなかった父を許せない娘、でもその父もアルツハイマーになり余命わずかに。そこで最後に帰郷して、みつけた2人の物語。おかぁ役の堀内敬子さんがメチャよかった。ダメなダンナをすべてわかって受け入れて、大きな愛で包み込む包容力。ジェンダー的に問題あるかもしれないけど、理想のカミさんだったなぁ。そんなことを思いながら、家で待つあの人に改めて感謝していた。俺たちにもあんな物語あったはずだよね、あんま覚えてないけど。
コントならいいんだけどね。
死んでるように生きていた放送作家が、死にたくないのに死んでしまったおじさん幽霊に取り憑かれる。幽霊の望みは娘をDVで苦しめている元夫を殺すこと。設定としては面白いし、幽霊と人間のバディものなんて広げようがもっとあったと思う。一番足りないのはおっさん側の描写。これまでの人生、性格、動機。そこがないから説得力も感動も薄れちゃう。コントなら「なんか取り憑かれてるみたいなんだけど…」頭のセリフ1つでいいんだけどね。
そうなるな、とは思ってたけど。
1972年ベルリンオリンピックの選手村で起こったテロを生中継したテレビ局のスタッフ側からの物語。こないだのショウタイム7にも似てるけど、こっちは実話。そして悲劇。放送に携わってきた身として、特ダネとか事件の時の高揚感というのはわからないことはない。しかも独占ならなおさらだ。でも報道する権利、自由の看板を振りかざし伝えているのは、視聴者の下世話な部分だけを喜ばすための、野次馬代表になってやしないか?
世界初のテロの生中継だというけど、結果云々ではなく、見ていて気持ちがやっぱり沈んでしまう作品だった。
抜いた抜かれたのスクープ合戦は見苦しいなと思うし、横並びの記者クラブも気持ち悪い。他社より「いい絵を撮る、1秒でも先に伝えること」は社会に迷惑をかけまくってもやる価値のあることなんだろうか?どうも「報道」という仕事に個人的に違和感があるんだよなぁ。
もう死ぬ世代だったけど・・・。
爆風スランプの名曲をモチーフにした作品。人生でベスト5に入る大好きな曲だけに、映画製作の情報が入った時から楽しみにしていた。
文通しか手段がなかった時代だからこそのすれ違い、会えないもどかしさ。あの曲の肝になっているところを、今の時代でどう表現してくるか注目していたけど、バイトの引継ぎ日誌とはうまい設定でもってきたなと思う。令和の大学生と35年前の親世代の高校時代、2つの時代で並立する恋愛ストーリー。文通も交換日記もしたことがない、でも憧れていた自分にはどストライクなストーリーで、心が揺り動かされまくった。だって、そんな気分にあの中野さんの声が聞こえてきたら泣かなしゃあないでしょ。
35年前と今。もちろんいろんなことがものすごく便利になってありがたい。でもあの不便な「会いたい、会えない」状態や時間が、若者の恋心をどれだけはぐくんできたのだろう。そういう意味では今の若者より自分たちのほうが恵まれていたんじゃないかと思った。

タイムパトロールに逮捕されるぞ!
事故で亡くなってしまった夫を、そうでなくするため妻の松たか子がタイムリープするというファンタジー。過去をいじって未来を変えるというタイムスリップものの禁じ手を繰り返すどころか、それが目的という大胆な物語だ。コメディタッチで面白かったが、心に残ったのは彼女が語る恋愛、そして結婚の定義。恋愛中は気にならない相手のイヤなところの解像度がどんどん上がり、やがて一切まじわらない平行な位置へ…。反省しろって責められてる感じ。やり直しはできないけど、明日から気をつけます涙
今かぁ…
爆弾テロの犯人からラジオスタジオにかかってきた電話。犯人の要求に応えられないと爆破がつづく状況での生放送。指名されたのはかつての人気キャスター…という話。雰囲気は違うが、ショー・マスト・ゴー・オン、昔でいう「ラヂオの時間」だ。何とかしないといけない、緊張感はあるけど、近いものなら経験していた身から見ると詰めや設定の甘さが見えすぎる。さらにこれだけテレビ局が叩かれているご時世に、これは逆に辛いよなぁ。
尾を引く、大人のアニメ。
80年代のニューヨークを舞台にした、擬人化された犬とロボットの物語。孤独を紛らわそうと通販で買ったロボットと心を通わせていくんだけど、この作品一切セリフがない。しかも犬もロボもシンプルな作画で目もまんまる。なのに、どうしてこんなに感情が伝わってくるんだ?切なさがいつまでも消えないんだ?きっと一つ一つのシーンが、観客の人生の一場面と重なりまくるから。孤独、出会い、幸せ、挫折…経験を積んだ大人の心にだから響く1本。また時間を置いてみたいなと思った。
心のかさぶたをはがす旅。
ユダヤにルーツを持つアメリカ人のいとこ同士。昔から兄弟みたいな関係だったけど、性格は対称的でいろいろ思うところも。そんな二人が時間を作ってポーランドでユダヤ人の史跡を巡るツアーに参加する物語だ。
ホロコーストやおばあさんの住んでいた家など、歴史に触れることがキッカケで徐々にあぶりだされていく2人の抱えているもの。アイツと比べて俺は…は誰でもあると思うが、中年になって自分を見つめなおす経験って、日常ではなかなか難しいよね。
貧乏性なので旅というと「何かを見に行く」などの目的重視のものばかりだけど、そういうのでなくゆったり「自分と向き合う」旅にも出たいなぁ。

怖くなった。
長塚京三演じる元大学教授が主人公。奥さんは早く亡くし、子どももいない一人暮らし。それでも丁寧に自分で料理をし、ブライドを持って仕事をして世の中と繋がっていた。それがだんだんなくなっていき、妄想の世界と行き来するようになる物語だ。昔なら大変なのね〜という他人事だったけど、今は「すぐそこにある危機」なので下を向いてしまう。彼にとっての敵は「ひとりで過ごす時間」で、その空虚感に振り回され、流されてしまった結果が老いなのでは?と感じた。振り回されないように自分軸を固めよう、そして一人にならないよう周りの人や嫁さんを大切にしよう、そう思った。