明治隧道(ズイドウ)を歩く(宇津ノ谷峠(ウツノヤトウゲ)) | おだわらぐらし

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縁あって暮らす事になった相模の国 小田原
一杯見て 一杯歩いて 一杯味わいたいと思います

(話を戻します_)

丸子宿(マリコシュク)の丁子屋さんで とろろ汁のお昼を頂いた後は、旧東海道を京側へ4km程移動し、 丸子と岡部_二つの宿(シュク)の間の 「間の宿(アイノシュク)」である 「宇津ノ谷(ウツノヤ)」へ行きました。

↓おっと 分かれ道。/ どっちへ行けばいいのかな?


因みに 目指しているのは 明治34年に造られた「明治トンネル」(「明治隧道」と載るガイドブックも多い)。
うーん、上の地図だと 右でも左でも 行けそう、ですがー。

通りかかった地元の方に尋ねると、「車を置き (間の宿の)集落の中を歩いて 隧道を見に行くなら 左へ」と教えて下さったので 左、へ。

↓集落内の観光客用駐車場は数台分しかありませんでしたが、なんとか停められました。

↓駐車場前から 分かれ道側(下り、丸子宿方向)を見たところ_。

↓駐車場前から 宇津ノ谷峠(上り、岡部宿方向)を見たところ_。

↓駐車場脇にあった 日本遺産 のMAPつき説明板。

(↑このMAPでは緑の「車道」がコースになってるみたいですね? / 私達は「現在地」から まず 点線 で表されている「階段」を上り、白い線を4番「明治宇津ノ谷隧道」の方へ向かいます。←おや、さっきは「明治トンネル」でしたが ここでは「明治宇津ノ谷隧道」になってますね_

では出発。


階段の手前から右を見ると、 少し先に「きしがみ」というお蕎麦屋さんの看板が見えました。

(↑丁子屋に入れなかった場合は こちらでお昼を頂く予定でしたー)

階段を上がります。





↑上、が見えてきたー。
↓振り返って見たところ。



↑旧街道の間の宿らしい 小ぢんまりとした雰囲気、いいですね。(このエリアにはビルとか建ってほしくないけど 旅人のワガママかな?)

階段を上り切った先が 又T字路。

↓道標によると_

↑右-旧街道、左-明治のトンネル + トイレ。ですって。(この先も 表示が「隧道」だったり「トンネル」だったりしますが 「隧道=トンネル」 ですので つまづかず流して いきましょう^^;)

↓少し右、に「東海道 宇津ノ谷峠越え」と書かれた板が立っていました。

↓「旧街道のぼり口」の札も。


(↑反対側にも もういっちょ)
↓ふーむ この道の先が「難所」と言われた宇津ノ谷峠なのね? 


(↑マップ。下が北、です。)
昔の峠越えがどれほど大変だったか ちょっと味わって(?)みたいとも思いましたが、 実は度重なる自然災害で地形が変わり 江戸時代の峠越えの道は残っていないのだそうです。一応 岡部へ抜ける小径はあるそうですがー、 そういう理由で 「旧街道の風情」が感じられる訳ではない上に 一部道幅が極端に狭く トレッキング初心者には向かないルート、との事で _ 諦めます。。。

分かれ道を左_ トンネルの方へ行きます。



↓竹林が作る日陰に シャガが群生していました。


ぽん と駐車場に出ました。 / そしてその先に車止めのブロック。(つまり 車で来られるのはココまで、です。)

ここはガイドブックに_ 停められる台数が少なくすぐ満車になるので注意 ここが一杯の場合は 手前の間の宿 又は 更に手前の「道の駅」の駐車場を利用すると良い_ と載っていた場所。 ここまで来て引き返すのは痛いので 我々は間の宿の駐車場を利用した訳ですが なんだー 一台しか停まってないじゃーん。でした。(でも 途中歩いた間の宿も風情があって良かったので いきなりここを目指して ぴゅう と来なくてよかった~ とも思いましたよ。)

道脇に何か立っている。


↓道標とカントリートレイル案内図 でした。(左が北)/案内板には「峠の歴史を足で学び、自然とたわむれる。」という副題(?)も書かれています。(ちょっと「濃い」かな^^;)

↑明治のトンネル の他 大正のトンネル 昭和のトンネル 平成のトンネル~。かつての難所の峠の下には今は何本ものトンネルが走っているんですねー。
↓案内板の「明治のトンネルの由来」を映してみます。

↑「宇津谷峠(ウツノヤトウゲ)(旧東海道)は、江戸初期 東海道の駅伝制が整備され官道となりました。
 明治のトンネルは、旧東海道を通行する人道のために、明治9年総工費24800円で築造された日本最初の有料トンネルです。
 当時は、測量技術が発達していなかったため、「く」の字型のトンネルになってしまい、見通しが悪いため照明用のカンテラを設置していました。(案内図参照)
 このトンネルの構造は、静岡口の約20mは青石造りでしたが、大部分が角材の合掌造りであったため、明治32年に照明用カンテラ失火により焼失崩壊し、一時廃道となりました。
 現在の赤煉瓦トンネル(通称)は静岡口を直線に手直ししたため、長さ203mとなり(←因みに明治9年に掘られた最初のトンネルは全長223mだったそう) 明治37年に竣工しました。」

↑「く」の字の 明治9年に掘られた最初のトンネルの図。あっち と こっち から掘り進んだ結果 の形だったんですね?
「通行料」も載っていました。
・歩行者 6厘
・荷馬 1銭2厘
・かご 1銭5厘
・一人乗り人力車 1銭5厘
・大荷車 3銭2厘_
へー。

明治37年に修築される時、直線にしたため 長さが223mから203mのトンネルになったそうですが、道幅も5.4mから3.9mになっています。内壁を煉瓦で覆ったためのようです。

↓駐車場脇の地形図も見てみましょう。

(↓現在地)


↑説明板。
当然ですが 明治9年に掘られた「明治のトンネル」は、峠(標高162m)の 上の方(標高115m)にあり、短い距離(203m)しか掘られていません。/年代が下がると 掘削技術が進み、距離は長くなり、標高は下の方へと下りてくる~。


開口部へ。

「しめった強い風」がくる。(あたりまえ、か)



↑上部の額型の石に彫られているのは トンネル名かな? むーん 読めません。(一番左は「道」ですから「宇津谷隧道(ウツノヤズイドウ)」かな・・・ )

中、へ_

ふ・し・ぎ な感覚。

何というか_ トンネルを歩いてる感じがしません・・・?

異世界の地下施設_っぽい_


↑昔 下げていたという カンテラを模した と思しき照明。

↑煉瓦の内壁 水に押されるためでしょうか ところどころ「はらみだし」が起こっています。(そろそろ修復が必要?)

ぽん と出た岡部側。

(↑開口部上部の「額」の中の文字_「谷」が見えますから 多分「宇津谷隧道」と彫られているのでしょうね? / 余談ながら ストリートビューで見たところ、 すぐ近くに掘られている「大正のトンネル」の開口部上にも同じ名称「宇津谷隧道」が彫られていました。/勢いでうちます_国道一号線の「昭和のトンネル」には「新.宇津谷之隧道)の文字が認められます。「平成のトンネル」の方は額が取り付けられていませんでした_。)

開口部脇にブロンズのプレート。


↑「明治宇津ノ谷隧道」(←これが登録されているトンネルの 正式名称なのね?) 「登録有形文化財 / 文化庁」 

ほんの短い距離なのに (200m程)

遠くへ旅をしたような気分になりました。
(一応? 静岡市から 藤枝市へ 市の境を跨いで移動 してますがー)

さて 藤枝市側の道を少し下ったところに_

「カントリートレイル案内図」がありました。

(左下が北)

さっきも見たよ? と思ったのですが、こちらの案内図にも「明治のトンネルの由来」が載っており、記載内容に 少し新しい部分があったので 写します。


↑「宇津ノ谷峠を越える東海道は、古代から重要な街道で、峠越は難所として知られていました。
 明治7年(1874)、交通の利便性を向上させるため、杉山喜平次など地元の有力者7人が発起人となって、トンネル工事を開始しました。総工費24800余園、労役人夫延べ15万人で、明治9年6月に完成しました。 岡部側と静岡側から掘り進めたところ、接続する位置が少しずれたため、途中で「く」の字型に折れ曲がったトンネルでした。 静岡口は青石積、岡部口は角材を合掌造に組んだ木枠でした。
 日本最初の有料トンネルとして、明治9年11月から使用されましたが、明治29年に照明用のカンテラの失火で木製の枠組みが焼失し、トンネル入り口が崩壊したため通行できなくなりました。
 現在残されているトンネルは、明治36年に再整備された煉瓦積のトンネルで、長さ約203m、直線ルートに終生され明治37年に完成しました。イギリス式の4重煉瓦積の工法で造られており、高い技術的評価を受けています。
 昭和5年、自動車の通行が主流になると、この西側に近代的な旧国道トンネルが開通し (←補足/大正15年に着工されたため「大正トンネル」と呼ばれているトンネル。開通したのは昭和5年。) このトンネルはあまり使用されなくなったため、現代まで両行に保存されました。
 平成9年5月7日、現役のトンネルとしては全国で初めて国の登録文化財になりました。
            藤枝市」

岡部側から坂を上がって来ると トンネルへの道はこんな感じ。


↑因みにこの右の道は_

↑道標によると「旧道→」となっていますがー
「静岡市駿河区宇津ノ谷遂道換気装置」(←国道一号線のトンネルの換気装置)までは通じているようですけど・・・ その先 が書かれていません。

_ 道は終わっているのか。道なき道 を歩く事になるのか。 気になったけど_

引き返しました^^;)


_おしまい。