県指定無形民俗文化財「世附(ヨヅク)の百万遍念仏」 | (又)おだわらぐらし はじめました

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(つづき)

17日(土曜日)は、4年ぶりに開催される~ という 県指定無形民俗文化財「世附の百万遍念仏」を見に行ってみました。



これは旧世附村の能安寺に伝わる伝統行事だったそうですが、お寺が三保ダムに沈む事になり・・・
お寺を現地(曹洞宗寺院 香集寺の脇/尚 能安寺は香集寺の支院だそう)に移して、行事を復活させた~ そうです。

(↑左下が能安寺、石段を上った先に建つのが香集寺です。)

しかし_
ここへ来て能安寺が曹洞宗(←禅宗)のお寺とわかって ちょっと混乱。「百万遍念仏」って浄土宗の法要ですよね?(まず「念仏」という単語が「南無阿弥陀仏(=阿弥陀様に帰依します)」を意味しています。禅宗では念仏は唱えません。) 三保にあった頃の能安寺は浄土宗とか融通念仏宗のお寺だったのかしら?


ともかく 会場へ。


(↑横に石の観音様が立つ石段の先は 香集寺)
↓ここが能安寺への入口。

↓寺号の入った門柱。

その先に六地蔵さん。

(↑お地蔵さんの目線の先には墓地。/そういえば旧能安寺が守ってきた三保の墓地はどうなったのでしょう。ダムの底に? それともここに移された、のかな?)

↓境内に入るとー

「甘酒 いかがですか? アルコールは入ってませんよ?」と言われました。

「それじゃ 折角なので」と 御振舞を 一杯ずつ頂きました。


(↑とろり と濃くて美味しかったです~)
↓見学者に配られていた行事の説明文。


↑ほう、「古くは(寺とは)別に念仏堂があり、世附地域民が集まって修したと言われています。」(中略)「世附の百万遍念仏はそれ(京都知恩寺型百万遍)とは全く異なり、大数珠を巨大な滑車に取り付け、苦境な青年たちが回転させる型式で、全国的に珍しい行法であり、史証はないが600年前の南北朝時代の発祥と伝えられています。」(中略)「百万遍は通念として、念仏門の後生為楽の行事とされていますが、世附の百万遍念仏(の目的)は先祖の霊を慰め、地域の安全祈願と、悪疫退散でありますが、また、雨乞いに行なわれたとも言われています。」(中略)「念仏最後の日は、太陽が西に入らぬ内に終るよう勧めます。修験者が諸神の昇天を唱えると念仏宗は道場の中央に大太鼓1個を持ち出し、太鼓の周囲に全員集って融通念仏を十回唱えます。修験者が最後の太鼓の打ち終りを告げると 同時に道場の天井に張られたシメ縄を、道場に集った人々の手で奪い取ります。そのシメ縄を家に持ち帰り戸口に掛けておくと、疫病除けになると言われております。」

なるほど!
融通念仏が伝わっていたんですね。/ プログラムによると 「百万遍念仏」に続いては獅子舞や神楽も奉納されるといいます。_禅宗のお寺の~ というより 多分世附村の皆さんが長く継承してきた伝統文化の公演であり 絆を深める「まつり」、なのでしょう。

お堂へ入らせて頂きます。

↓きざはし前の左の柱には「立春大吉」。

↓右の柱には「鎮防火燭」。

↓寺号の書かれた扁額の下には 「三門神 牛頭天王」の札。(←その左右には 大天狗 小天狗 とも)

↑お堂の床は この行事のために板を張り替えてる、んでしょうか? (外陣と内陣の間に段差が無い、ように見えますね?)
↓内陣(?)前の柱には 笹に結ばれたカラフルな紙の幡(ハン)。/ 文字は左手前が「赤諦赤龍王」 右手前が「青~」 左奥が「白~」右奥が「黒~」 正面の滑車の柱に「黄~」。説明文によると「これを梵天と呼び、修験道、陰陽道の儀軌によるもので、仏法とは異なっております。」だそうです。 (赤諦赤龍王~ のところ、「諦」は何かミスで「言」がついたなんて事は? 「赤赤龍王」~の五色の龍王なら 「五龍王」としてメジャーですから・・・)

又 天井には 赤 白 青 木 黒、五色の紙垂(シデ)。/ 紅白幕の上には金色の 如来 と思しき座像もあったのですが 本尊仏?(こちら曹洞宗のお寺ですから 御本尊は多分 釈迦如来。)それともお釈迦様の前で 南無阿弥陀仏を唱えるのは失礼だからー この行事の間は阿弥陀如来が安置される? ←ちょっと近寄って御手の印を確認~ という訳にはいかず わからず終い_。

須弥壇が置かれる前 辺りに「滑車」と「大数珠」が設置されています。/更にその奥には太鼓が並べられていました。

↑302個あるという数珠は、地元で「水桃木(スイトウボク)」と呼ばれるサルナシ(=キーウィ)やフジで作られているといいます。(軽い、のかな?) 長さは約9m。/ 一か所白い布が巻かれていますが これは回転数を測る目印。何回数珠が回されたかは「数取り」という係の人が算木で数えます。(因みに「百万遍~」を行うほとんどの地域で 数珠の一巡を「1万」と数え「100回」を「百万」とする~そうです。世附もそう、かな?)

定時となり、司会の方の仕切りで 諸先生の挨拶 行事の意味・意義の説明 等々があり~

御幣を持った山伏装束の方が祝詞を上げられ~

四方を清められ~

柱に結わえられていた数珠の紐が解かれ~

「百万遍念仏」が始まりました。

数珠の引き手が滑車前に進み出て 勢いよく数珠を引きます。(引き手は十人程でしょうか?)

一人の回し手が十数回数珠を引くと 交代 します。(黄色い襷をした人が 引き手。引き終わった人は 引き手の列の後ろに並びます。こうして 数珠も 引き手も ぐるぐる~・・・)

引き手によって両手で後方へ投げられる数珠は蛇のようにうねり、床ではねて バッチン バッチン すごい音を立てています。

ここからは 動画でどうぞ_。

(↑数珠が回される前では 念仏衆という方達が 太鼓を「ドンドントントコ,トントントン」と叩きながら 「なーんまーんだー(南無阿弥陀仏)」と念仏を唱えられています。)

長く回された数珠ですが、定められた回数に到達したようですー。/ 引き手さん 念仏衆 数取りさん、お疲れ様でした。


(因みに続きは翌日の朝始まり~ 休憩を挟んで 午後も行われる、との事。)

宗派の境界どころか 神と仏の間の境界も ここではあわあわとしています_。(そういえば「WEB新聞」ではこの行事が「神事」と呼ばれていましたっけ。)/ 力強くも 素朴で不思議な儀式を間近に見られ 感動しました。

数珠回しに続いて行われた「獅子舞」、「遊び神楽」の絵は、次の頁に貼りましょう_。

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<おまけ>
数珠回し 終了後、参観者で希望する方は 数珠が引けました。
↓「やってみようと思う方?」と言われて いのいちばんに「はい」とおっしゃったのは牧島かれんさん(←衆議院議員で前デジタル大臣/ こうした方の場合はぼかしを掛ける方が失礼と思い そのままUPしております)。



牧島さんは苦労しながら数珠を引いた後~ 「難しい!けれど 大変だという事が理解できてよかったです。 どうぞみなさんも体験してみて下さい。」とおっしゃり、その後色んな方が続いてました。/ 牧島さん、一番手をお引き受け下さってありがとう。


(↑ちっちゃな子達も引いたんですよ。)
(↓最後 数珠は滑車の下に結わえつけられー、「続は明日」となりました。)


<+>
数珠の下に 次の出し物の小道具 剣と神楽鈴が置かれました。


「真剣です」と言われ 周囲に ちょ っと緊張が走りました_。