●氷掲羅天(ひょうからてん)
(※画像は「仏教珍籍刊行会」発刊 『新纂仏像図鑑. 天之巻』より)
「氷掲羅天童子」、または「畢里孕迦羅」とも。
サンスクリット名は「ピンガラ(Pingala)」。
訶梨帝母(鬼子母神)の愛子で天部の童神。
仏教に於いて吉祥天は訶梨帝母の娘とされるため、
氷掲羅天はその弟とされる。
『童子経』に曰く、赤色の花を取り、ひと花ごとに真言を
唱えて童子の上に投げるのを10万回繰り返せば、必ず
一切の願いを叶えるとされ、また日々受持し続ければ
大利益を獲得するとされる。
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今回、鬼子母神様のご子息です。
自分は小学校5年生の頃から鬼子母神様にはお世話に
なっておりますので、半ば義理の兄のように思えて
何とも感慨深いです。
・・・ま、存在を知ったのはつい最近なんですけどね・・・。
鬼子母神様と言えば、
昔は他人の子を捕えて喰う鬼女で、それを戒めるため
釈迦如来が鬼子母神様の末子を隠して、狼狽し嘆き悲しむ
鬼子母神様に子を失う母の悲しみを説いたことで、逆に
子供を護る神となったという逸話がありますが、その
お釈迦様に隠された末子の成長した姿が氷掲羅天童子
なのだそうです。
(※画像はwikipediaより)
で、御利益は前述通り、
「所願成就」「利得」です。
しかも、
前述の赤い花を投げる法が可能なら満願叶うらしいです。
ただ、まぁ・・・毎日真言を唱えるのは可能でも、
像に赤い花を投げるのは容易では無いですな・・・。
そもそもマイナーな方の天部なので、像がある寺社が少ない
ですし、あっても10万本も花を投げられたら寺社さんとしても
迷惑でしょうな。
自分で像を買ってから行うというのがまぁ現実的でしょうけど、
一般でも買えるレベルの像がオークションに出品された形跡は
ありますが、現状容易に買える感じじゃなさそうです・・・。
それに、10万本もの赤い花を用意するのも大変です。
花屋一軒で賄えるとも思えませんし。
貧しい絵描きが女優に100万本ものバラを贈るなんて歌も
ありますが、あの歌詞はニコ・プロスマニという画家をモデルに
書かれた只のフィクションですし、原曲はラトビア共和国が
ソ連とドイツの間で翻弄された悲劇を歌ったものであって、
あんな自己陶酔した画家風情を描いた浮かれた歌詞では
ありませんし。
ともあれ、
真言は――
「オン・チシュ・チニ・ソワカ」
です。
印は、「虚心合掌」です。
普通の合掌をして、軽く掌を膨らませて両手の間に
少し空間を作る形です。