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『ロゴスドン』Webの連載「哲学カフェ」を更新しました。

 

徳標

 枡 高史(熊本県菊池郡)


 古来より、徳を積むのは素晴らしいこととされてきた。ある者は自分を高めるため、またある者は極楽浄土に行くために、徳を積んだ。特に東アジアではその傾向が強い。儒教、仏教の古書の中にも、それに近い言葉は数多く残されている。
 人に優しく、自分に厳しく。弱気を助け、強気を挫く勇気。礼節を重んじて、相手を敬う心。感謝を忘れず、些細なことでもその意を伝える精神。そういうものに触れたとき、私は自分の生き方を見つけた気がして、心が晴れやかで、一本筋の通った気持ちになったし、恥ずかしくない生き方に出会えた気がして、迷うことが少なくなった気がする。
 自分の過去を振り返ってみる。徳を積むのは良いことと刷り込まれ、他者に優しい人間になりたいと思い、困っている人がいれば手を差し伸べて何かできることはないか尋ねたり、挨拶は率先して自分から行い、時折道に落ちているゴミを拾う自分がいる。それを重ねてきたことで、ある一定の信頼を得たり、時折尊敬の言葉をいただくことはあった。一部、気持ち悪いものでも見るかのように私を見る輩もいなくはないが、前者の方が圧倒的に多い。そう考えると、徳を積むというのは、今の現代社会においては、自分を生きやすくする、社会の秩序を保つためのものと言うことができる。
 しかし本当にそれだけか?

 

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『ロゴスドン』Webの連載小説「甦った三島由紀夫」を更新しました。

 

第52回

中国人留学生C (その二)


 
M それにしても日本を歩く外国人が増えましたね。在住、旅行を問わず、驚異的に増えました。中でも中国人が、かつての日本人の団体旅行が顔負けするほどの一個師団を率いてやって来る。
C そして「爆買い」します(笑)。いや、あれは正直恥ずかしいです。店の人にはたくさん売れて喜んでもらえるかもしれないけれど、一般の日本人には決していい印象を与えないでしょう。
M (笑)しかし、そこに中国人の逞しさが出ている。それが中国人が世界中至る所に広がり、生活している生命力の源なのかもしれない。あなたもこうして日本の大学で頑張っておられる。
C 留学生は中国人だけじゃありませんよ。ここ数年ベトナム人が一番増えたんじゃないですか。ただし彼らは大学へ行くことは少なく、日本語学校で勉強して、専門学校で技術を身につけることを目指しているようです。と言っても個人差があります。真面目な学生もいれば不真面目な、アルバイトの方に力を入れている学生もいます。それは中国人もベトナム人も韓国人も同じです。私の場合、他の国の人よりもむしろ中国人にそういう不届き者を目にすると気分が悪くなります。
M (大笑)「不届き者」とはよく言いました。
C いえ、笑い事じゃないです。例の出産制限された時期に生まれた子どもが、今20歳前後になって留学している者もいます。彼らは「小皇帝」と呼ばれていて、過保護というより傍若無人に育てられましたから、先生に注意されても全くきかない。逆ギレしてくってかかるようなこともあります。

 

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『ロゴスドン』Webの連載「漫画哲学」を更新しました。

 

第98回

『たそがれたかこ』

 
 歳をひとつとるのが、年々早くなっていると感じる。人生という坂道を下るのに、加速度がますばかりだ。考え方とか性格は昔と変わらないのに、歳だけとってしまう。そして、ものの分別がつく大人として、小さい事に悩んだり迷ったり、深く考えたりすることは段々しなくなる。でもふと、立ち止まりたくなる時はないだろうか。本当は、昔から悩んでいたことが、今でも胸の中でくすぶっているのではないか。
 この漫画の主人公は、片岡たかこという45歳のバツイチ女性。耳の遠い、ボケかけた母親と同居している。元夫との間に中学生の娘がいるが、拒食症で不登校だ。たかこは毎日食堂でサラダ等を作るパートに出て、家に帰ってからは母の世話をしている。幼い頃から人付き合いが苦手で、友達もできなかったが、今でもパート先で同僚と馴染めない。家でも職場でも気が抜けない。ストレスからか、母に暴言を吐き、後で自己嫌悪に陥ってしまうこともある。そんな時は、隅田川のほとりで一人酒を飲む。今更、何かが変わることもないだろう。しかし、出会いは突然やってくる。

 

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