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『ロゴスドン』Webの連載小説「甦った三島由紀夫」を更新しました。

 

第54回

中国人留学生C (その四)


 
M Cさんが尊敬する人物は誰ですか。
C やっぱり毛沢東ですね。学校での教育の影響もあるかもしれませんが、彼が成し遂げたことは充分尊敬に値します。彼なくして今の中国はないことは確かです。
M Cさんだけでなく、今でも多くの中国人が毛沢東を尊敬していますか。
C もちろん他にも色々いるでしょうが、やはり数の上では一番多いと思います。数十パーセントは占めると思います。日本人の場合は誰でしょう?
M 聞いたところでは、日本の中学生に「尊敬する人物」という題で作文を書かせると、「お父さん」が三分の一くらいで、あとはスポーツ選手やら芸能人やら・・・歴史的人物では織田信長が人気あるようですが、これもマスコミがらみのマンガか何かの影響らしいですし、とにかく近頃の子供は本を読まないから、まず人物を知らんのだと思います。何も「お父さん」を尊敬しちゃ悪いと言っているわけじゃないし、それはもちろん大事なことなんだけれども、何か寂しい気がするな。
C 中国でも似たようなものですよ。今時「三国志」の人物を挙げる者などいないでしょう。それより日本のアニメの主人公の方が有名です。それにしても「お父さん」は意外ですね。日本の「お父さん」は「家族の嫌われ者」のイメージが強かったんですが。

 

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『ロゴスドン』Webの連載「「裏日本」文化論」を更新しました。

 

第39回

〈山の女神〉


 霊峰白山の女神は、白山比咩大神あるいは菊理姫神と呼ばれ、白山信仰における最も重要な祭神とされている。
 白山のみならず、日本において山の神は、大体女神とされてきた。しかも多くは、嫉妬深い女神とされてきた。
 山の女神が、醜い魚オコゼを好むという伝承は、日本各地に広く浸透している。山で狩りなどを行う者が、オコゼの干物を懐に入れたり、竿の先に糸で括りつけたりして出かけると、女神のご加護で目当ての獲物が得られるという。つまり、嫉妬深い女神は、自分より醜い姿をしている深海魚のオコゼを見て気分を良くするというのだ。著名な民俗学者・南方熊楠(1867~1941年)や柳田國男(1875~1962年)もこの伝承に言及している。
 一方、女神は、美しい女性に対しては容赦がない。例えば、白山には「融〔とおる〕の姥伝説」というものがある。その大筋は以下のようなものである。
 昔、加賀禅定道沿いに登山者を相手にした酒屋があった。そこの老女・融の姥は、美人な娘たちを雇い、店は大変繁盛していた。白山の山頂で商売すれば、さらに儲かるのではないかと目論んだ老女は、娘たちに酒甕を背負わせて、禅定道を登った。その途上、雲の上から、山神が「聖なる山に女たちを連れ込むな」と大声で𠮟った。すると、すぐ目の前の峰に深い亀裂が生じた。一行はこの神のお叱りにも関わらず、さらに山を登っていった。次第に当たりは暗くなり、再び神の激怒する声が聞こえた。老女はこれを聞き流し、小便をして嘲笑った。その瞬間、目の前の道が陥没し大きなへこみができた。そして娘たちは、「美女岩」という石にされてしまった。
 このように女性が、山に登った結果、神の怒りに触れ、死んだり、石にされてしまったり、あるいは樹木に変えられてしまったという伝説は多く残っている。

 

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「ロゴスドン」Webの連載「漫画哲学」を更新しました。

 

第99回

『きみが心に棲みついた』

 
 今年の冬ドラマ化され「甘口の恋愛物だと思って見始めたら、実はホラー?」「心をえぐられる展開!」と話題になった漫画だ。
 主人公の小川今日子は、下着メーカーで勤める28歳。幼い頃、母親にまっすぐ愛して貰えなかった事から、自分に自信がもてず、動揺すると吃って挙動不審になるため「キョドコ」と呼ばれていた。大学時代、悩む自分に「そのままでいい」と受け入れてくれた星名漣にすっかり心酔してしまう。しかし、その優しさも包容力も、甘い罠だった。星名は一見さわやかな青年だが、冷酷な素顔と異常な支配欲を隠し持っていた。子供の頃、父親から暴力を受けていた上、母親に頼まれて思春期に整形させられ、精神的に未成熟なまま生きて来たせいだ。心の空白を埋めるべく、キョドコのような弱い人間の心を独占し、優しくしたり傷つけたりすることを楽しむ、歪んだ人格の持ち主だったのだ。キョドコは、星名の言うことならどんな理不尽なことでも聞いていたが、あまりの無茶ぶりからだんだん距離を置き、忘れたいと思うようになる。そして就職し、弱い自分を変えてくれそうな、正義感に満ちた吉崎幸次郎とつき合うようになる。

 

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