『超自分史のススメ』あとがき | ヌース出版のブログ

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献本した友人から『超自分史のススメ』に掲載した「あとがき」文を発信すべきとの助言通り、SNSに転載致します。

 

 

あとがき

 医者を目指した頃と同様に、二七歳で東大を目指した時にも随分と失笑されました。双方とも失敗に終わりましたが、その失敗があったから三〇年も会社を守り続けることが出来たと思っています。特に、紙媒体の雑誌を発行した三三歳から四八歳までの一五年間は、私の情熱の全てを傾け、気力・体力・知力の限界を出し切りました。社員は私一人なので弊社の電話はオフィス代行にし、たった一人で直扱いの書店開拓と広告営業に奮闘しました。夕方からは次号の特集の内容を考え、その学者の本を読み、インタビュー依頼書を出しました。また、他のコーナーの取材依頼も並行して行い、その合間に編集作業をし、経理や雑用もこなしました。

 平日深夜は資金繰りの為にトラックドライバーをして稼ぎ、土・日・祝日にはプロカメラマンとして結婚式の写真とスポーツ関連の写真を撮っていました。三足の草鞋で寝ている時間以外は殆ど働いているといった一五年間でした。そんな生活も三〇代では、むしろ充実して楽しかったのです。一日四時間の睡眠で体は回復していました。遊びたいという気持ちにはサラサラなりませんでした。大学六年間で人の三倍は遊んだから、という気持ちもありました。やっと掴んだ自分の居場所(ヌース出版)を命懸けで守ってやるという意識があったと思います。

 しかし命を削る様な生活サイクルは、四〇代後半になると徐々に体力的に厳しく感じられる様になっていきました。『ロゴスドン』第七八号は二〇〇九年六月発行で、その月の一四日に私は四九歳になることを考え、休刊記念号にすることを決意したのです。

 何年も前から「人生一〇〇年時代」と言われています。「人生五〇年」と言われた時代もありました。本が書けるという自信が付いた私は、一二〇歳まで生きてやろうと今では思っています。長生きする為には夢や目標があった方がいい。自分の身体、自分の頭脳、自分の能力は自分が判断して夢や目標を設定すればいい。他者に決めてもらうことではありません。他者に理解を求めることでもありません。他者に夢や目標を聞かれても応える必要はありません。秘め事として心の中に持っておけばいい。それを踏まえた上で強いて言わせて貰えば、二〇年後にヌース出版の創立五〇周年記念出版として著書を発行することが今の私の目標になっています。どんな本になるかは全く想像が付きません。その時点で、私は八三歳になっていることだけは確かです。

 この本では自分史を書き上げた先にある物書きのような生活や商業出版を目指すことをお勧めしました。様々な夢や目標が有り得る中の一つの選択肢としてご提案させて頂いたに過ぎません。ここまで読んで下さった読者の皆様の中から一人でも多く、超自分史にチャレンジされる方が現れますことを心より祈念致しております。

 最後に、この本の発行日である二〇二三年一二月九日で九二歳になる同居中の母に、深く感謝したいと思います。そして誕生日、おめでとう。まだまだ、長生きして下さい。 宮本明浩

 

『超自分史のススメ』「あとがき」(136頁〜137頁)【ヌース出版】