廃墟
一時期廃墟ブームという写真ジャンルがありました。
ポストバブルの心理を反映したとも考えられるし、時間と共に崩落してゆく砂の城を見るような…そんな心象風景が人々を想像の世界に誘う。
近年、廃墟写真作家同士の訴訟などがあって作品テーマとしては萎みつつあります。
そんな廃墟写真として知られた場所の一つが、この写メです。
これは裏側なんですけどね。私は、この建物正面に向かおうとして『老ポン引き』に声をかけられてしまった訳です。
で…正面から撮影するのを諦めた…ここらあたりが私の限界なのでしょう。
老人の風貌が、昨年舞台でお世話になった老役者の方に少しだけ似ていたのも、私を現実に引き戻して撮影気分を変えてしまったのだ、と思います。
裏通り
さらに裏寂しいのは歓楽街…いや、恐ろしいくらい寂れていました。
この地方都市の裏張りとでも言うべき、通り全体が荒んでしまいましたね。
こう書くと語弊がありますが、飲食店や歓楽街が人々の寂しさ、人恋しさを埋めてあたのは間違いないと私は思います。
どこかで、人は見知らぬ誰かに会いたいものだ…そんな場所が荒廃したのは、単にバブル崩壊ばかりではなく、他人を結びつける作用や構造が根底から変質、あるいは消滅したのでしょうか。
人気のない歓楽街を散策していたら、目の前にポン引きの爺さんが現れて声をかけられました。本当に、父親くらいのご老人でした。
『遊んでいかないかい…』訛のない言葉が意外です。
ふと、この老人の青年時代を想像したり…裏通りの老ポン引きにしては、どこか愛嬌がありました。
人は何かをして食べてゆきます…法律ギリギリの線という選択も、また生きる上では正解なのかも知れません。


