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作家の遺書

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向田邦子エッセイ『女の人指し指』

この連載と平行して、各誌には特集が組まれた時期である。
彼女は、エッセイでも述べているように身辺整理をして、さらに実妹に向けて『遺書』を書いており居間のテレビの上においてある…と。
その数ヶ月後に航空機事故で他界した。
作家特有の嗅覚が、死を予感せしめたのだろうか。
あるいは、偶然の符丁なのか。

先日、私も身辺整理は行ったが『遺書』は書かなかった。
まだ私の場合、(使われるのは早い…)と感じたに過ぎないが、一人暮らしである以上は必要なのかも知れない。
自分の幕を引く準備というのも大切な作業とは思う。

マジに重たい

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実りを待ちながら広がる水田風景。
少し早めに帰宅したので、自転車転がして近くの川まで…涼みに行ってみました。
稲穂の香りが周囲に流れてきます。
私、稲花粉症アレルギーで苦手なんですが…稲穂の香りが大好きなんですよ。
夏に帰省した東北地方の風景、幼い頃の懐かしい気分に浸れます。

こんな長閑な風景も、いつまで見られるんだろ。自分が眺めているのも、あと、どのくらいだろう…。
明るい真夏風景なのに、なんだか重くなってしまいました。

私…性格、とかく人向きぢゃあないんですよねぇ。
帰り、次第に胸が苦しくなってくるし…水田は見たいけど、やはり駄目かな。

能『賀茂』…大河の果て。

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学生時代からの知人に、能研究の道に進んだ男がいる。
ゼミ落ちこぼれの私とは、あまり仲が良いとは言えなかったが、ある日の深夜に、突然の電話がきた。
(メールなど無かった時代である)
『あのさ…賀茂の主題って、どう理解してる?』

いきなり深夜の電話に、ハァ…?!と思いながら。

私…ん、なんだい。

知…賀茂の主題は水なんだよ、大河に連なる水が恵みをもたらす、その水の力なんだ…ところが、シテ方や研究者も解っていないんだな…云々。

私(眠い…。)

私が無反応に近いので、彼は呆れて電話を切ったようだ…。

ところが、今になって考えてみると知人の説は興味深く理解できる。五穀成就は雨の恵み…川水の逆巻く力、天に雷雲を呼ぶ力、それは全て水のパワーである事には間違いないのだ。

賀茂の別雷(わけいかずち)神と天女の姿で現れる御祖(みおや)神…シテとツレの関係として眺めるよりも、両者を天地一体の神として考えると、豊穣であり…生殖する性の象徴でもある。

これが私に、友人が伝えたかった事柄なのだろうか。
確かに、人間の体内にも水はある。天地の水と呼応して、人内の水エネルギーが昇華するとき…パワーは発揮される。

それは、性の力を伝える根元や行為、そのものであると思う。

能『賀茂』の後シテを、どう処理するかと考えた時…水の流れ、力を演出の意識とするのは面白い。