HOODのブログ -39ページ目

異聞・葵上






夕方の役員会議中、自宅より妻が急病に倒れたという知らせがあった。ともかくも、俺は会社を辞して病院に駆け付けた。

病院の夜間受け付けには痩せた陰気な守衛の男がいた。『その患者さんは四階です…』俺は『この病院は四階があるのか。最近は気にしないのかな…』と訝しく思ったが、男の指示に従って四階へ上がるエレベーターフロアに向かった。。病棟を結ぶ長い廊下の先にエレベーターがあり、四階へ上がった。病人対応なのだろうか。ひどく緩慢な上昇を示すエレベーターは、時おり鉄箱の軋む響きを発した。エレベーターが四階に着き、扉が開く。蛍光灯が照らす四階は各個室が並び、呼吸を止めているような気配であった。
病室前の名札に『源葵様』と書かれている。病室のドアを開け、臥している妻へ俺は『葵…、体はどうだ? 』と問いかけた。すると、妻はパッチリと目を開けてこちらを見た。


『あら、嬉しい言葉を仰有るのね。何度も会いに来てって、お願いしたのに。冷ややかなご返事ばかりの貴方が…今夜はどうしたのかしら』

どこかで聞き覚えのある声だった。目の前にいるのは確かに俺の妻だ。だが、妻の声や口調の裏側に別な女の声が混じっている事に俺は気がついた。


『こんな女の何が良くて、私を捨てたのかしら…教えてくださらない?』

妖艶に微笑むと、妻はベットに上半身を起こし、病院に着せられた寝巻きを指先を滑らせるようにしながら、上半身から剥くように脱いだ。日頃、病弱で淡雪を集めたような妻の白い肌が、今は仄かに朱を帯びて紅潮している。

妻の声や表情は全く別な女の顔や声、肉体に変化していた。俺の全身に冷水を浴びたような悪寒が走った。

逃げようにも心臓を女の爪先で掴まれた痛みが(ぞくり)と走る。

『私、ここに来たくて来たんじゃないわ。貴方が来ないから、来ないから…来ないから…』

妻の声に、別の女の声が重なり俺に囁く。女の裸体が波のように揺れた。絹糸を散らしたような黒髪が白い肌に広がる。

『だから…貴方の奥さまにも、私も申し訳ないと…』

俺を見つめる切れ長の瞼に涙が光った。それは妻のようであり、違う女の瞳にも見えた。

『なのに、私が来てしまったの!…奥さまの体、でも、気の利かない、こんな女の体を借りて!』

そうだ。あの女だ。俺が高嶺の花と憧れて、散々に口説き落として関係を結んだ女だ。だが、すぐに女の性格や体に俺は飽きた。そうして出世を選んで、上司の娘であった今の妻との結婚を選んだ。


…続く

フォトブック『私は私』峯岸みなみ



AKB一期生峯岸みなみ。このブログの読まれている方ならば熟知の通り、私の推しメンである。しばらくお付き合い願いたい。

いまさらなのたが、フォトブック『私は私・峯岸みなみ著・撮影藤代冥砂』…が去る七月十二日竹書房より出版された。

撮影者である藤代冥砂は、様々な女性達のグラビア撮影で著名であるが、しかし、私としては藤代自らのフォトエッセイ『もう、家に帰ろう』を代表作品にあげてみたい。このエッセイと写真は藤代自身の妻を描いた作品であるが、写真には行間あって色使いに暖かい味わいがある。

その『家に…』的な技法を軸にして『峯岸みなみ』の現在、彼女の主題『みぃちゃん≠峯岸みなみ』と対比させながら、さらに『時分の花』としてのセミヌードを捉えている。

例えば写真家ベッティナ・ランスも同様なのだが、やはり女性の肌は斜光で陰影を与えつつ、緩やかに線を描く女性の肉体、その後ろ側からの光が良い。
単純に『みぃちゃん』のセミヌードではなく、彼女が見せた『峯岸みなみ』の断面であることは、藤代冥砂ならではの表現であると思えた。

エッセイの中で、峯岸みなみ自身が言葉を選びつつ、自らを吐露した言葉はじわりと心に響く。彼女が人生の中で感じた痛みは、読み手の我々ファンにも、時おり刺さる痛みでもあった。

その痛感覚が不思議に清々しいのだ。


芸能人特有な広告的表現に勝らず、彼女の等身大な悩みを綴る。それは、ファンである私も目の前で『峯岸みなみ』の独白を聞いたような共有感があった。

彼女の尽きない悩みに対する答えが、表題『私は私』に収斂してゆくのは自明であろう。

そして、読後の我々が『峯岸みなみ』のファンを深化させてゆく瞬間でもあるのだ。読了した時、本当にファンとして、なにより、彼女のご両親に深い敬意と感謝を捧げたい…そう願わずにはいられなかった。。

是非、ご興味ある方は書店にて!

融通


最寄りの駅。ありきたりな田舎の駅でしてね。一応空調付きの待合室なんですけど。。この暑さ、空調は作動してますが、外の暑さよりも待合室内温度の方が高い。たぶん設定が送風なのか、あるいは規制温度28度設定なんでしょうな。

だから、誰も使わない。夕立や雨が降ると吹きさらしホームは難儀で、この待合室に退避したいのですが、蒸し暑すぎて数分といられたもんじゃない。それでも立派に送風は作動してます。

ぇえ、本当に田舎の駅ってやつです。

いっそ、こんなアリバイ的な空調止めてドア開放したら…どうですかね。