上からマリ子
この一件は幾度がブログに書いている。
封印したい記憶がある。誰しも一つや二つは抱えているだろう。私には、そんなのが無数にあって、よく発狂しないな…と自分でも思う。失敗の原因は自分なのだが、まぁ…辛い。
八年前の晩冬、ある日。秋葉原の街角を歩いていると、一人の若い女性からビラを貰った。目の前にあるビル内でアイドルグループのライブがある…と云う。
ビラを私に手渡す彼女の声や表情が、記憶から消したはずの或る女性の面影に似ていた。あっ、顔が似ていると声も同じだな…たぶん、トラブルメーカーの面倒な女に違いない…など。
で…ビラを手に、彼女の博多系訛りに気づく。彼女は九州地方の人かな…。
『もしかして、九州から来てるの?』思わず、質問した私(根本的に女性に興味深々なんだな…)
『判りますか~。そうなんですよー、でも、東京は暖かいですよ』と、カラカラ笑った。
気さくな、いい笑顔だった。また、会いたいと思わせる。
数分、何か会話をしたが覚えてはいない。
『面白そうだね。必ず、見に行くよ』と適当に答えて…別れた。
歩きながら、世の中には似た女もいるものだな…と感慨はあったが、結局はアイドルグループのライブには一度も行かなかった。やはり、記憶に消したい対象に似すぎていたからだろう。
七年後…あのビラ配りの子が、篠田麻里子であると知った。
まぁ、間違いはないだろう。
あのビラ、捨てなきゃ良かった。一年くらいは保管していたんだよね。
今となっては、記憶もモザイク状に刻まれて、何が真実だったか。
もう、わからない。
稽古は強かれ…古人は云う
もはや、暑い…と口にするのは止めた。
この状態では、意味がない。人様への挨拶にもならない。
で…仕事の予定を間違えたり、慌てて連絡を入れて調整しつつ、一日が終わった。
しかし、どうにも体か重い。秋に舞台の予定…久しぶりに人前で舞う。なのに、自体重がキツい。今の体型は能より相撲が似合うだろう。
いい加減に痩せろよ…と一人の俺が呟く。
しゃーないよ、もう年なんだから…と陰で僕が言い訳をする。
このまま舞台に上がったら、初心者の仕舞でも勤まらないのは自明の理だ。
仕方ない。
飯と酒を減らしてみるか。
喘息用の投薬による副作用も肥満の原因らしいが、この加減は難しいな。
医者でも、判断に困るだろう。
自分の脳内では、イメージが出来ていても…それは思い込みに過ぎない。
鏡の前で、舞いの稽古をすると自己満足に陥って、本当の行間を読み取れなくなる。少なくとも、私は鏡を使う稽古は、あまり勧めない。
鏡は、あくまで補正である。
さらに、思い込みで舞うと完全に逸脱してしまう危険がある。
世阿弥の云う『情識はなかれ』とは、演者による強い思い込み…と、勝手に私は解釈している。
能の芸態は『皮、肉、骨』とも世阿弥は云う。
日がな、緩まない稽古方法って難しいなぁ。


