営巣
蜘蛛が意外と好きで、巣をかける様子を飽きずに眺めたりする。
写メは久我山で見つけたオニグモ。
目が八つあるとか、吐き出す糸には縦糸用と横糸用があるなど、あるいは天候を予兆する能力に優れるとか…蜘蛛の糸は今や最先端工業の研究材料とも言われる。
菩薩が地獄に垂らす糸から、新素材繊維まで…そこに蜘蛛の糸がある。
しかし、その割りには嫌われている虫だ。
確か、大抵に見かける蜘蛛は雌であって、雄は交尾の後で雌に食われてしまう…
のでは、ちがうか…?
営巣という作業をしながら餌さを待つ。餌さを待ちながら、一夜を過ごす。
街灯やビルのネオン、様々な灯りと虫が飛来する場所を確実に判断して巣を張り狙うようだ。
その辺りは、蜘蛛も人も変わらない。
小さな死角に欲望の巣が広がる。
一歩先どころか、散歩先。
先週の台風上陸した夜は電車故障で深夜まで足止め。帰宅まで難儀をした。しかも、また週末に新しい台風が来るという。
またか…再び、帰宅難民になるのは覚悟しておかないといけない。
能の公演は台風や大雪があっても公演中止になる場合は少ない。不思議だと思うのだが、中止予告が難しいのだろう。
大雪の日、数人しか観客が来場せず…それでも上演した話。あるいは、あの震災の都内でも客の安全を考慮した上で上演した。この場合は、主催者側が観客を能楽堂に一夜の宿泊させる英断を下した(その中に私もいた)。
リスク回避を考えるというのは、どんなに小さな公演や企画であっても思考の中に入れておかねばならない。もし、何か起きそうだが、とりあえず上演して、その時になったら考えよう…では遅い。遅いというより主催責任者として能力が欠如していると言える。
しかし、リスク判断は両刃であって、容易に踏み切れないものなのだろう。
リスクより、さらにダメージコントロールという考えもある。日本人が一番苦手で、手を付けない作業の一つ。
受けていないダメージを、最初から考慮して組み込むという『無駄』…そこを避けたい気持ちが優先してしまう。
見てみない振りをする…それは、ある種の我が民族の特性かも…と思ったりする。



