
物価上昇、目立ちますね~。
物価上昇はいい事ですが、そう思っている個人はまだまだ少なそう。
商品の価格が上昇するのは、製造原価と販管費が増加するから。
つまりパンを作るにも原材料の小麦価格が上昇し、パンを焼く燃料代が上昇し、人件費が上昇するから、パンの販売価格が上昇する。
しかしここに企業は、利益分の価格転嫁を行って販売価格を上げているので、物価が上昇すればするほど、企業の利益は増えます。
だからいい事なんです。

この値上げをやらないとどうなるか?
個人消費者にとっては、短期的にはパンの値段が上がらないからいい事のように思えます。
しかし、それでも製造原価にあたる海外から入ってくる小麦の値段も燃料も上がりますから、値上げしなければ企業の利益は圧迫されます。
値上げしなければ、同時に、販売管理費にあたる人件費分も上昇しないという事ですから、従業員の給与も安いままです。
これでは、いつか全材料費を価格転嫁できない企業がインフレによって倒産するか、食品もろくに買えない程度の安い賃金で働く労働者が溢れかえるか、もしくはそのどちらも、という状況になります。
ですから、企業はインフレに乗じて販売価格を吊り上げ、剰余金をため込むことで研究開発と設備投資を行い、その一部は労働者へ賃金として還元する。
この世界各国で当たり前に行われているサイクルに早く日本も乗らないといけません。
失われた30年間、これが無かったのが、今の日本人が貧しくなっている原因です。

ただし、上記のロジックでは、値上げ分のすべてが賃金に反映はされないというのが分かりますよね。
100円値上げしても、その一部は製造原価(原材料費等)として消え、その一部は企業の剰余金としてプールされ、一部が給与として反映されるのですから、給与の上昇は例えば、値上げ100円の中の20円とかそんなもんです。
商品が100円値上げされたのに、給与は20円しか上がらない。
という事は、給与に頼っていると、物価の上昇には給与は追いつけなくなるという事です。

このように労働者は資本主義社会の中では、次第にプアになっていきます。
これが「R ≥ G(あーるだいなりじー)」
R:資本収益率(Return on capital)。株式配当、債券利回り、不動産収益など、資本から得られる平均的なリターン。
G:経済成長率(Growth rate)。GDPや所得の成長率。
つまり、資本主義社会の中で生きるには、資本家側に立たないかぎり、労働者の側に立つかぎり、経済的弱者になるという事です。
投資やNISAは政府の陰謀とか言う人もいますが、投資こそが資本家側に回る最も手っ取り早い行動です。
これがわかって行動していれば、物価高についての見方が変わるはず。
今の物価高が多数に肯定される時代が早く来ればいいなと思います。



