
前回のブログで書いたのですが、現状も日本の個人投資家は逆張りしているのが、データからも分かります。
逆張りして儲かるのはレンジ相場であって、そのレンジが長すぎた日本株や日本の投資家は、逆張りでトレードし続けるのが正しい投資と思いがち。
前回のブログでも以下のように書きました。
「デフレ環境でのレンジ相場が終わるなら=上がったら売って下がったら買うという逆張りは出来なくなるのですが。」
これね、実際にどうなるか、具体的な数字を入れてシミュレーションしてみると、レンジと上昇相場で違いがはっきり判ります。

シミュレーションは以下の前提。
A、10万円で株を購入。
B、その後
①30%株価が上昇しては30%下げる、レンジ相場だった場合
②30%株価が上昇後10%下げるを繰り返す上昇トレンドの場合
C、どちらのケースも、最高値で売って最安値で買い戻せるとします。
そして、このレンジと上昇を5回繰り返す際に5往復トレードをするトレード戦略と、トレードせずに最安値で買って持ち続けたバイ&ホールド戦略で、リターンがどうなるか?
計算自体はね、苦手なのでいつもの通りcopilot君にしてもらいます(;'∀')

🧮 前提条件
初期資金:10万円
トレード精度:最高値で売却・最安値で買い戻し
サイクル数:5回(5往復)
📊 ケース①:レンジ相場
(+30% → -30% を5回)
トレード戦略
株価:10万 → +30% → 13万 → -30% → 9.1万
売却:13万円、買戻し:9.1万円
資産増加率:13万 ÷ 9.1万 ≈ 1.428倍
5回繰り返す:10万 × (1.428)^5 ≈ 519,000円
バイ&ホールド戦略
最安値(9.1万円)で購入し、5回のレンジを経て元の水準(10万円)に戻る
→ 資産は10万円のまま

📈 ケース②:上昇トレンド
(+30% → -10% を5回)
トレード戦略
株価:10万 → +30% → 13万 → -10% → 11.7万
売却:13万円、買戻し:11.7万円
資産増加率:13万 ÷ 11.7万 ≈ 1.111倍
5回繰り返す:10万 × (1.111)^5 ≈ 169,000円
バイ&ホールド戦略
最安値(11.7万円)で購入し、5回の上昇トレンドを経る
各サイクルの上昇率:1.3 × 0.9 = 1.17倍
5回繰り返す:11.7万 × (1.17)^5 ≈ 261,000円
この計算結果を表にまとめると以下のようになります。
レンジでは、トレード1択のように見え、上昇トレンドはどちらも増えますが、バイ&ホールドが優位。
といった感じです。

ただし、ここで考慮すべきは
この最安値買いと最高値売りは実際にはほぼ不可能という事。
纏めると
🔁 トレード vs バイ&ホールド:現実的な前提での比較
🎯 1. トレードの難しさとコスト
エントリー・エグジットの精度: 実際には「高値の8割で売り、安値の8割で買い戻す」など、完璧なタイミングは困難。
取引コスト・税金: 売買のたびに手数料や税金が発生。特に日本では譲渡益課税20.315%がかかるため、頻繁なトレードは複利効果を削ぐ。
メンタル負荷: 判断ミスや感情的な売買でリターンが悪化するリスク。
📈 2. バイ&ホールドの強み
複利の力を最大化: 長期保有により、配当再投資や株価上昇の恩恵を最大限に享受。
税金の繰延べ効果: 売却しない限り課税されないため、資産の成長が加速。
時間の節約と精神的安定: 日々の値動きに振り回されず、戦略的に構えることができる。
といった具合になるので、トレードの成績はかなりシビアになります。

ではこれを念頭に、現実的な売買精度のシミュレーションの前提を変えてみます。
買値から最高値までの値幅ベースで、利益が90%の時点で売却
安値まで-30%下落するうち、20%下落した時点で買い戻し
とした場合、結果はどうなるでしょう?
✅ 前提条件(値幅ベースのトレード精度)
初期資金:10万円
株価の動き(1サイクル):
上昇:+30% → 10万円 × 1.3 = 13万円(高値)
売却:高値の90%で売却 → 13万円 × 0.9 = 127,000円
下落:13万円から20%下落した時点で買い戻し → 13万円 × 0.8 = 104,000円
この1往復での資産増加率:127,000 ÷ 104,000 ≈ 1.221倍
5回繰り返す:10万円 × (1.221)^5 ≈ 270,000円

📊 比較:レンジ相場 vs 上昇トレンド(5往復)
ケース①:レンジ相場(+30% → -30%)
高値:10万 × 1.3 = 13万円
売却:13万 × 0.9 = 127,000円
買戻し:13万 × 0.8 = 104,000円
資産増加率:127,000 ÷ 104,000 ≈ 1.221倍
5回繰り返す:10万 × (1.221)^5 ≈ 270,000円
ケース②:上昇トレンド(+30% → -10%)
高値:10万 × 1.3 = 13万円
売却:13万 × 0.9 = 127,000円
買戻し:13万 × 0.9 = 117,000円(※10%下落時点)
資産増加率:127,000 ÷ 117,000 ≈ 1.085倍
5回繰り返す:10万 × (1.085)^5 ≈ 135,000円
計算結果を表にまとめると
これを見てどう思いますか?
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レンジ相場では、90%売り・20%下落買いでもトレードが圧倒的に有利
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上昇トレンドでは、バイ&ホールドが圧勝 → 理由:買い戻し価格が高く、複利効果が削られるため
上昇トレンドで、リスクを取ってトレードしても、5往復で投資額10万に対して、13.5万ですから、3.5万円しか取れなくなりました。
最初の表では16.9万ですから、6.9万あった利益が約半減したことになります。
バイ&ホールドでは最初の表では26.1万が、22.3万と減ってはいますが、減り幅は少なく済みます。

もちろん、上昇トレンドでトレードして利益が出せないという事ではありません。
指数が上昇トレンドでも、個別株単位で見ればレンジを形成するものもあるでしょうし、値幅が絶対取れないというわけではないですからね。
しかし、指数全体がレンジの時よりも、値幅を取れる銘柄の絶対数が減れば、トレードの難易度は上がるでしょう。
すると指数は上がっているのに、トレードの成績は落ちるトレーダーが増えるなんて可能性が高くなるはずです。
多くの逆張り投資家が、これについて出来るだけ早く考えて方針を見直す必要があるように思いますけどねぇ。
いかがでしょうか。
ぶっちゃけ、皆が順張りになると、株価は加速度的に上がるでしょうから、それはそれで過熱しすぎてバブってしまうリスクはありますから、一定数逆張り投資家がいてもらわなければいけないというのも事実ではあるんですけどね。





