
景気によって、株価が高くなるセクター、安くなるセクターがあり、これが循環していくことをセクターローテーションと言います。
出典:景気循環とセクターローテーション【日本株版】 | ストッククラス
なんだ、じゃあ景気のサイクルによって、安くなっているセクターを買って高くなるのを寝て待てばいいだけの簡単なお仕事なんじゃん。
と思うかもしれません。
確かにそうなんですが、じゃあ今に当てはめてみると一体景気はどの位置にいるのでしょう?

半導体一強の現在ですから、上の円グラフでいえば、ハイテク株がいる景気拡大期なのでしょうか?(追記:日米共)
続いている高金利政策を転換し、金融緩和に向かおうとしている現在ですから、エネルギー株が強いとされる景気後退期なのでしょうか?(追記:すいません、これは米国のみですね。日銀は引き締め方向)
でもこの二つって、グラフの対極にありますよね?
つまり両方が同時に訪れることは有り得ないわけで、どちらかだけが正解。
ではどっちが正解なのでしょう?
景気サイクルがどこにいるのかはわからないけれど、半導体が強いのも、金融緩和に向かおうとしていのも、どちらも事実。
ですから、近い将来
「あの時は景気拡大期だった、だからその後株価はこう動いた」
もしくは
「あの時は景気後退期だった、だから株価はこうなった」
のどちらかを、後付けでアナリストが解説してくれるはずです。
あくまで後付けで。
そしてさらには、中間反騰やら中間反落という都合のいい言葉まであります。
本当は下がる時期に上がっても、中間反騰という言葉で、本当は上がる時期に下がっても中間反落という言葉で片づけられるんです。
なので、アナリストの言葉は常に眉に唾を付けながら見ておきましょう。

で、どっちなのか?今のところわからない。
恐らくこっちだろうなぁと、みんな持論を持ちつつ、断言が出来ない。
だから、このセクターローテーションを見てやることは
「現在弱くてこれから強くなるであろうセクターを予想して、そこにフルベットする」
為に使うのではなく
「対極にある相関関係の低いセクターを知ったうえで、分散投資していく」
為の材料に使うんです。

ところで
車のタイヤ交換したことありますか?
4穴だったり5穴だったり、トラックなんかだと6穴もありますが。
一つのナットを軽く締めたら、隣を締めるのではなく、一番遠い場所のナットを締める。
これを繰り返していくと、均等にトルクがかかって綺麗に装着できる。
トルクが偏ると、ナットが外れて最悪脱輪という事になりかねませんからね。
これと同じ考え方です。
タイヤ交換の時期の目安や値段、持ち込み料金、交換方法などを解説 | 自動車保険の三井ダイレクト損保

しかし、このセクターローテーションのグラフを見れば見るほど、現在の景気がどこにいるのかわからなくなりますよね。
景気が強い材料も、弱い材料もどっちもそろってますからね。
でも、各セクターごとに現在弱いけれど優秀な銘柄ってそろってるんですよ。
何かの銘柄が高いから、そのセクターは全部高いという事ではないんです
ですから逆相関する銘柄同士を同時期に買うことは不可能ではないと思います。
例えば、少し前までならNTTは140円台で買えましたが、同時期には住友林業も1200円台まで下がっていましたしね。
NTTは通信セクターですから景気停滞気、住友林業は建設なので景気高騰期にそれぞれ強いというはずなので、セクターローテーションだけを考えるとこの二銘柄が同時に安いというのは矛盾します。
逆に言えば、現在の景気サイクルがどこにいようが、安くなる優良株は常にあるんです。
資料や戦略、材料は使いこなしていくという姿勢が大事で、あまり頭でっかちになって決めつけてかかると、足元をすくわれたり、機会損失になったりしますから、この辺りは柔軟に考えられるようになっておきたいですね。


