
株やっていない人に、投資をやるか相談された時、皆さんどう答えます?
「時期なんて気にせず、少しでも早く、ただし無理のない金額で始めて、長く続けるべき」
というのが模範回答ですよね?
長期で見れば、暴落直前に投資をし始めたとしても、その暴落の値を常に更新し続けるのが過去の株式相場で、その利益=投資額×時間ともいえます。
で、それって既に投資をしている人にとっても同じ、と僕は考えています。
なので、今株を買うべきかと聞かれたら、大体どんな時でも買うべきと答えます。
ただし条件付きで、優良銘柄と分析できたのであれば、いわゆる打診買い程度に早速ポジション持つ、的な考え方であって、決して今から爆上げするとか、楽観的に予想しているというわけではありません。

打診買い、つまり、例えば1000株欲しいと思ったのなら、時期を気にせず直ちに100株持ちます。
100株しか買えないのだとしても、端株を利用して10株だけとかね。
とにかくポジションを持ちます。
で、それが含み益になるか含み損になるかは気にしません。
その打診買いした株の株価を基準点にして、その後買い増しをしていって、欲しかった株数に時間を掛けてしていくんです。
これ、一般的にはナンピンと言われる行為で、通常は意図せず下がってしまった持ち株の買付単価を下げるための非常手段ですが、このケースでは、言わばわざとナンピン出来るように先にマイルストーンを打っておくんですね。
そうすると何が起こるか?
多分、今までこうなってほしいなと思っていたことと逆の現象が起きます。
バフェットは
「ハンバーガーが値下げされているとみんな喜ぶのに、株が下がっていると悲しむのはおかしい」
と言っているのですが、何言ってるんだ?
株は上がったほうが嬉しいに決まってる。
と思いますよね?
それが、バフェットの言う通り、逆になるんです。

100株持っていて、残り900株欲しい、として。
少しずつこの先買い増していくつもり、とすると。
この株が値上がりしてしまったら?
以前より高値で買い増ししなくてはいけないので残念な気持ちになります。
逆に値下がりすれば以前より安く買えますから嬉しい気持ちになりますよね?
この場合持ち株100株分については含み損なのに、です。
時間を掛けて長く付き合っていくつもりの株であれば、それは優良な株だからのはず。
だからこそ、今は100株しか買えなくても時間を掛けて資金が出来たら買い増していく、くらいのつもりなはずなんです。
それが安く買えるなら、ずっと食べ続けたい美味しいハンバーガーが値引きされて売っているのと一緒で喜ばしい事です。
逆に値上がりしてしまうという事は、自分の購買力で買える数が少なくなっていくという事なので、資産を伸ばしにくくなってしまうという事です。
当たり前のことのように思えますが、株に関してはどうも逆に考えてしまいがち。
バフェットはそんなところを諭してくれます。

これを具体的に数値として出してくれるのが、積み立て投資でのドルコスト平均法。
安値を狙ってそこから積み立てを始めるより、高値で積み立て始め、下落に伴って買い下がり、その後の反転でも積み立てる。
こうすることで安値から仕込み始めるよりも、利益が多く出ます。
なぜなら、下落中の安値と上昇中の安値、仕込み時が2倍ありますから、高値を更新した時には利益が倍になる。
しかもドルコスト平均なので、安値で仕込んだ量は多いので、買付単価はより下がるわけです。
下がっている最中は含み損は出ますが、それは途中経過。
反転上昇するだけの優良なスペックを持っていると思って買っているなら、途中の含み損は気にしちゃいけないんです。
逆に反転上昇しないと思うのであれば、そもそも投資は一生してはいけない。
投資をする時点で、いずれ上昇するというのが前提なんですから。
もちろんね。
安値を狙って一括買い出来るのであればそれが一番利益が出るんですけどね。
こと、これは投資ですから、馬券の一点買いのようなギャンブルをするのが、いいかと言われると・・・いいと思う人はどうぞしてください。
という所ですね、株は自己責任。

投資というのは、儲かった、と言える株でもそれはあなたの買値からすればそうなだけ。
もっと高値で買っている人にとっては、いまだ損しているかもしれない。
常にそんなグレーな世界です。
ですから、グレーを許容して、グレーの状態の中で利益を作れるようになるべきなんです。
このグレーな状態というのは、上で述べたようなある特定の株の勝ち負けだけではなく、ポートフォリオ全体でも一緒。
金利上昇局面で有利なセクター、金利下落局面で有利なセクター、シクリカルなセクター、ディフェンシブなセクター。
株にはいろいろあります。
この全てが同時に上がることはあります。
でも、市場平均をアウトパフォームするほど上がるか、上がってもアンダーパフォームするかは、別の話。
必ずあるセクターが好調の時は、あるセクターは不調になりますので、上昇局面でも指数をアンダーパフォームする銘柄は必ず出ます。
勿論、指数が上がる中逆行安することも、指数が下がる中逆行高になることも、銘柄単位で見ればあります。
だだし、全ての持ち株に市場をアウトパフォームさせようとすれば、株の長期保有は絶対にできません。

ですからポートフォリオ全体でプラスになるようにしておくことが大事。
持ち株全体のポートフォリオを巨大な総合商社のように見立てて、そのCEOになったつもりになるというのが、気持ち的にはあっているかもしれません。
コングロマリットにやってる企業ほど決算報告を見ると、北米事業は好調なものの国内事業は不調とか、資源事業は好調なものの非資源事業は不調とか。
で、決算資料は、全てガラガラポンで最終的に+5%の増益なんてなってますよね。
なんかこう考えると、バフェットが日本株に投資し始めた時、対象が総合商社だったのもなんか納得できますよね。
バークシャーハザウェイ自体が、総合商社のような会社ですからね。

このようにポートフォリオ内を巨大商社のように見立てて全体で損益を考える。
全体がプラスになっていればOK。
欲を出すなら、全体でみて指数をアウトパフォームするくらいプラスになっていれば、なおOK。
そして、もう一つ言うなら、ポートフォリオ内で足を引っ張っている含み損の株であっても、業績に無理がなく配当を出してくれているのであれば、その企業は実はポートフォリオの含み益を減らしている一方で、ポートフォリオ全体の配当利回りを底上げしてくれている可能性があるのです。
長期投資=売らない、だととしても、実現利益は欲しいです。
この場合で手にできるのはインカム=配当金ですから、一見キャピタル面で足を引っ張っているようにみえる企業が、実はインカムを見るとそうではなかったなんてこともあります。
それがわかってくると、株価成長率は低いがインカムは安定して伸びている企業をポートフォリオに加えるなど、戦略に多様性も出てきます。

どうでしょう?
いままで株価だけを見ていた投資が、全然違うものに見えてきませんか?
ここまで話すと、次に出てくるのは、とは言え、今持っている株が下がり続けると心配になる、怖くなる。
という事でしょうね~。
これで結局手放しちゃうんですよね。
いいと思っていた株でも、市場の値段が下がれば自分の目利きが間違っていたのではないか?と不安になりますからね。
でも市場の値付けって、よく言われるのが短期の株価は人気投票という所。
本当の適正価格ではないこともしばしば。
本当の値段が幾らなのか?
これをある程度測るのがファンダメンタルです。
これについてはまた別途書こうと思いますので、お時間ある方はよろしければお付き合いください。
