2024年の相場も終わり、僕は今年も例年通り、高配当バリューへの長期投資がメインでした。
例によって、キャピタルの面ではグロース株に及ばずでしたが、新NISAで積立投資枠なるものが設定されてしまったため、枠がもったいないので投資信託も少し買い、ハイリスクなFang+を積み立てました。
少額ですが、35%を超えるリターンでした。
高配当株では中々出すことのできないリターンですから、やはりグロース株の伸びはすごいと思い知らされました。
ただそれでも僕は高配当バリューの個別株への投資をコアにするスタンスは変わりません。

で、突然ですが
神様から、こんなお告げを言い渡されたらどう思いますか?
この先10年、業績は上がり続けるが、株価は下がり続ける、株主還元に積極的な企業を教えてあげよう。
ただし、その企業に対して、お前は買い続けることか、売り続けることのどちらかしかできない。
これを聞いて、どちらを選択しますか?
トレードの観点からは、下がり続けるのならその下げについて行く順張り、つまり売りで入るのが正解です。
株を持っていなくても、信用取引で空売りをすれば10年間ずっと売っては買い戻す方法で利益が出続けます。
10年間下げ続けるのがわかっていれば、10年間利益を出し続けられるのも確定です。
しかし、長期投資の観点でいうと、業績好調が10年確約されていて、その間株価が下がり続けるのなら、買い続けるのが正解です。
この条件では、株主還元に積極的な企業というのもありますから、株価は下げ続けても、業績向上に伴って配当の増加も期待が出来ます。
なにより、11年目以降も配当は続きますから、株価が下げ続けたことで配当利回りは相当に高いものになっていることも予想できます。

さて、本物の神様は、そんな煩悩まみれな予言を授けてくれることはありませんが、投資の神様ウォーレンバフェットさんは長期投資を成功させる様々なヒントを授けてくれています。
バフェットさんの言葉に
「毎日食べるハンバーガーが値下げされたらみんな喜ぶのに、株価が下がるとみんな悲しむのはおかしい」
というのがあります。
投資というのはそもそも、その企業のオーナーになることなので、長期投資というのが当たり前。
企業のオーナーになる時には、その企業が今後業績を成長させていけるという分析を元に買っているはず。
毎日食べるハンバーガーも、株主になったその企業も、この先ずっと付き合っていくものなのであれば、値下がりしたほうが嬉しいのは一緒のはずなのです。
美味しいのがわかっているハンバーガーが値上がりしてしまったら、買いたい気持ちがあっても買えなくなりますし、優良企業とわかっている会社の株が値上がりしてしまっても、買いたい気持ちがあっても買い増しできなくなります。
だから株も値下がりしたほうが嬉しいはずなのに、上がると喜び、下がると悲しむのはおかしい、というロジックなのです。

なんとなくわかったような、わからないような。
かもしれませんが
買ったハンバーガーを食べてしまったら売れません。
だから、その後ハンバーガーが値上がりしても気にならないはずで、逆に値下がりしてくれたら、明日からの食費が浮きます。
同様に、買った株を売らないのであれば、その後値上がりしても特に意味はありませんし、値下がりしてくれたら次の給料を投資に回した分で買える株数が増えます。
売ることを前提にしているから、値上がりすると喜ぶんでしょ?
でも、売ること前提の投資って、投資じゃなくて投機(ギャンブル)なんだよ。
と、バフェットは遠回しに言っているんです。
ではバフェットの長期投資って、どれほどすごいのか?

例えばバフェットの有名な持ち株に、米コカ・コーラ株があります。
バフェットは今、このコカ・コーラ株で毎年、年50%の利益を出しています。
■こちらはコカ・コーラの日足チャート
コカ・コーラは今年、5ドルほど値上がりはしていますが、率でいえば10%も上昇していないので、インデックスに対してもアンダーパフォームな状態です。
なのに50%の利益?それも毎年?これってどうい事でしょう?
バフェットは毎日デイトレードを行っているわけではないです。
ただ持ち続けているだけです。

答えは
バフェットは投資額に対して50%の配当金をもらっているから
です。
現在コカ・コーラ株は1株62.5ドルほどで、配当金は1.94ドル。
配当利回りは3.1%程度でしかありません。
しかし数十年前、株価が3.8ドルの時に買っていたら?
それを今まで売らずに持っていたら?
■こちらはコカ・コーラの月足チャート
当時の3.8ドルの投資に対して、現在の1.94ドルの配当を貰えるのなら年利50%を、毎年受け取れるようになります。
この購入価格に対しての利回りをYoC(イールドオンコスト/簿価利回り)と言います。
当然ながらこれは、売ってしまったら終わり、売らずに持ち続けていなければいけません。
そして、株価が値上がりしてしまっているため、今から買っても50%の利回りにはなりません。
これがもし、業績好調で、配当も増額し続けているのに値下がりしている株なら?
いまでも、3.8ドルで売りに出ている株なら?

これがバフェットのいう所の、ハンバーガーと一緒で、株だって値下がりしたほうが嬉しい、ということですが、実際にはそういう優良株には買い需要が発生するので短期間には下げても長期で下げ続けることは中々ないんですね。
安い時期に買えた株、その株が長期で業績が伸び続ける株なら、売ってしまったらもうそれ以下で買えることは無いかもしれない。
こんな思考が出来るようになってくると、株に対しての価値観が変わってきます。
また、こうやって長期で持ち続ける株は、YoCが高まり、時間とともに含み益も増えていきます。
そうすると、暴落時に配当がもらえる安心感、下落してもまだ含み益が残っている安心感が、暴落に耐える精神安定剤にもなります。
バフェットのような大金持ちなら気にしないでしょうが、僕のような小心者の貧乏人には、このメリットはとても大きいです。

もちろん、トレードで利益を出せている人を否定する気もありませんし、トレードで利益が出せるのは才能だと思います。
長期投資のデメリットは、その名の通りではありますが、成果を出すのに長期の時間を要することですから、時間をかけずにトレードを成功させることが出来るのなら、資金効率は長期投資よりも格段に良くなります。
でも、トレードがうまくいかない人、これから投資を始める人、そんな人はバフェットの考え方について興味を持たれるとよいのではないかと思います。
正しい投資先に資金を入れて、時間さえかければ、結果は誰に対しても均等に利益として返ってきます。
天才トレーダーのセンスなんていらないんです。
お正月の時間を使って、バフェットについてネットで調べるなり、バフェットの本を読むなりするのはいかがでしょう?






