新NISAは、キャピタル(売却することで出る利益)が非課税、インカム(所有している間に出る利益)も非課税な制度。
投資可能額は、取得単価ベースで合計1800万円。
取得単価ベース
100万円投資したものが値上がりして1800万円になったとしても、取得単価は100万円。
1800万の投資枠のうち、消費するのはこの100万円分の枠だけで、1700万円が投資可能枠として残ります。
そのうち、個別株が買えるのが成長投資枠の1200万円。
1200万円分は、株も買えますし、一定条件のETFや投資信託を買うこともできます。
一定条件
毎月分配金の出るタイプのものは対象外。
レバレッジ型のものは対象外。
など、購入不可能なものがあります。
残りの600万は投資信託のみが買える積み立て投資枠です。
さて、この制度でどんなタイプの商品を買うのが相性がいいのかを考えてみます。
まず、大きく商品のタイプを、どうやって利益が出るかという観点でいくつかに分類してみます。
一つは、キャピタル(売却によって利益が出る)によって利益が出るタイプの商品です。
■こんな商品が該当します
・配当金を出さないか、出しても少額なグロース株(成長株)
・分配金を出さずに内部で再投資に回している投資信託
・金や原油などのコモディティ(に投資する投信やETF)
次に、インカム(所持している間に利益が出る)によって利益が出るタイプの商品です。
■こんな商品が該当します
・配当金などの株主還元行うバリュー株(割安株)
・分配金を出す投信やETF
・債券ETF(ただし毎月分配型はNISA対象外)
一般的に、課税口座で運用する際にはよくこんなことが言われます。
投資信託は分配金を出すものは非効率。
■理由としてはこんな感じ
分配金を拠出する際、その都度20%の課税がされる。
分配金を出さないタイプの投信の場合、利益は内部で再投資される。
内部で再投資されている間は利益を繰り延べすることが出来るため、売却の際の利益確定時に一度だけ税を払うだけでよい。
これについてはまさにその通りなのですが、NISA口座の場合は、分配金支払い時の課税がないので、これには該当しません。
しかしそれでも、分配金を貰うことには一定のデメリットがあります。
それは、資産形成時期には、給与や貰った分配金等を利用して、投資額を増やしていきます。
増やした分は、NISAの枠を消費し、1800万円で頭打ちになります。
当然ですね。
この、分配金を内部再投資にするタイプの投信は、いくら内部再投資によって基準価額が上昇しても、取得単価は変わりませんから、NISA枠は減りません。
最初に述べた「投資可能額は、取得単価ベースで合計1800万円」という所が効いてきます。
ただしこれは、分配金拠出タイプの投信のデメリットというよりは、再投資型のメリットといったほうがいいかもしれません。
注意すべきは、証券会社の設定で、分配金拠出型の投信の分配金をどうするかを決めれる場合があります。
そのまま受け取るか、再投資するかです。
しかしこの設定は、ファンドが支払った分配金を、証券会社側でどのように処理するかだけなので、課税口座でこの設定をした場合は税を20%引かれた後の80%が再投資されますし、NISA口座では課税はされませんが、再投資した分のNISA枠は減っていきます。
あくまでも、ファンドの運用方針が、分配金を出さずに再投資する方針なのがポイントです。
ここまでは投資信託についてでしたが、個別株についても実は考え方は似ていて、配当金を出さない企業は、その原資を企業の設備投資や開発費にあてます。
(これは企業によります。何もせずに内部留保をぶくぶくと貯めてるだけの企業もありますので)
配当金を出す企業は、この際に投資家側でやはり20%課税されます。
投資家が、その企業へ再投資した場合には、残りの80%を再投資することになるので、投信の時と同じく、企業が内部で成長投資してくれたほうが効率がいいことになります。
こう考えていくと、配当や分配金を出さない企業や投信への投資が効率はいいように思えます。
ところが、この方法で実現損益を出すには、投資対象を売却してキャピタルを取る以外にありません。
これをNISAで行おうとすると、短期でのトレードを行えば、その都度NISA投資枠が減っていってしまいあっという間になくなり、枠が復活する翌年度以降を待たなければいけません。
かといって、長期投資を考えた場合、それまでの期間の実現損益はゼロです。
余裕資金で行う投資で、例えば老後まで現金化する気がないので、それまでの実現損益は無くても大丈夫というのであれば、確かにそれでも理にかなっています。
ただ、老後まで換金する気が全くないのであれば、NISAではなく確定拠出年金(DC、iDeCo)を活用するべきというのが僕の意見です。
DC、iDeCoは資金を60歳まで拘束されますが、拠出した金額は全額所得控除されます。
購入できるのは投資信託に限られますが、投信の運用成績に所得控除を足せば、かなりのリターンになります。
まずは、資産を出来るだけ多く増やしたい層には、効率と再現性だけでいうとこれが一番だと思っています。
しかし、DCは毎月拠出できる金額はそれほど多くないので、完全な受け皿にはなりえないです。
■例えば
・MAXまでDC制度を利用しても更に余裕資金がある層。
・DCは枠が少なすぎる層。
しかし、この層は既にそれなりの資産がある層だと思いますので、資産を増やすだけでなく、活用することも考える時期なのかなと思います。
なので、例えば、DCで資産を効率的に増やしつつ、NISAでは定期的なインカムが得られるポートフォリオの構築を目指す。
こうしていくと、短期的な株価の変動にとらわれずに、長期的なインカムを期待できる個別銘柄やファンドから、恒久的に非課税で不労所得が得られます。
いずれ、最も効率的に資産を増やすことが出来たファンドも個別株も、最後には売ることになります。
インカムの得られない商品の場合、これは100%、絶対に必要な手続きになります。
老後に
・どのタイミングでどの商品を
・何パーセント売れば
・今年の生計が成り立つか?
これを毎年考えながら資産を切り崩す作業が発生します。
暴落の年もあるでしょうが、それでもその年の生活費分、切り崩していく作業があります。
これって結構な精神的負担になるのでは?と思っています。
これが、インカムのある商品の場合は、自動的に配当や分配が得られますから、資産を切り崩す必要がありません。
相場環境により、配当金の減配もあるでしょうが、一般的に株価の増減よりも配当金の増減は緩やかですから、生活費に利用することを考えた場合に、キャピタルを生活費にあてるより、インカムを生活費にあてるほうが相性がいいと考えれます。
これで注意するのは、配当だけで生計が成り立つだけの、もしくは配当+年金で生計が成り立つだけの資産を作っておくことです。
これについては、インカムをNISA口座で構築する場合の入金額を表にしてありますので、こちらも参考にしてみてください
NISA口座の配当金でサイドFIREするには | グデーリアンの投資ブログ (ameblo.jp)
長くなりましたが、以上のことからアラフィフの僕の現在の戦略は、インカムによる不労所得の構築が最優先。
これを非課税で行えるNISAを活用する。
「NISAでは高配当バリュー投資」が結論です。
そして、DCではインカムを得られない為、こちらは資産成長を最優先。
この二本立てで資産形成を行い、老後、もしくはFIRE達成時には
インカムを生活基盤にし、キャピタルは生活基盤にはしない。
といったことを考えています。
参考になれば。