高配当か増配か | グデーリアンの投資ブログ

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トレードではなく資産運用の観点での投資ブログ。
銘柄選びや運用成績だけでなく投資に対する考え方や自分の失敗、成功談なども踏まえてお話しできればいいなと思っています。

株式からのインカムで不労所得を得ようとした場合に、真っ先にスクリーニングの対象になるのは、

・高配当な銘柄

・配当利回りが高い銘柄

 

になると思いますが、一方で、その配当が歳を追って増えていかなければ、社会のインフレが進んでいくごとに、収入としては不足していってしまいます。

 

配当が増えない原因として考えられるのは

・株主還元意識の低い企業である

・配当を増やせるだけの業績が向上していない

 

といったところだと思います。

特に、企業の業績が向上していない場合では、その企業が一時的に配当利回りが高く見えることがあります。

 

 

 

 

■配当利回りと罠銘柄

例えば

100株で20万円の株価の企業が、年間5000円の配当を出していたとします。

配当利回りとしては2.5%です。

 

この企業が減収減益によって、株が売られ、株価が10万円まで下がったとすると、10万円で5000円の配当ですから、利回り5%の高配当銘柄になります。

 

しかし、企業業績が低下しているわけですから、配当が増えることは期待しにくく、場合によっては業績低迷が続けば減配のリスクも有りえます。

 

これがいわゆる、罠銘柄というやつです。

 

となれば、連続して増配できている企業を狙いたくなるのですが、これだけでは安心できません。

 

連続増配企業の中には、「連続増配」という記録のために無理して増配を続けている企業も存在します。

特に米国株では、25年以上の連続増配で「配当貴族」、50年以上の連続増配だと「配当王」という称号を付けてランキングされることがありますが、逆に言うと連続増配を途切れさせてしまうと、この称号が取れてしまうので、中には無理しても増配を続けている企業もあるんです。

 

 

 

 

■配当性向について

この辺の、配当金に無理があるやなしやを測るのに一番わかりやすいのは、企業の純利益を発行株式数で割った値、EPS(1株利益)を見ることです。

 

EPS(一株利益)が100円の企業が、一株当たり50円の配当を出しているなら、利益のうちの50%を配当に回しているということになります。

これを配当性向50%と表現します。

 

配当に50%を回し、残りが利益剰余金(内部留保)となります。

このうちいくらかを研究開発費や設備投資費に回して企業を成長させることになりますから、配当性向が高すぎる企業は、企業の成長が期待できず、結果的に今後の増配も期待できないことになります。

 

 

業種にもよりますが、日本企業の場合30~50%程度の配当性向なら健全な範囲だと思います。

一方米国企業では50%を超える配当性向の企業が結構多くあります。

 

ただ例外的に、配当性向が高くて当たり前の業種があります。

例えばたばこ産業。

たばこ事業は各国で一定の企業が寡占状態で販売できます。

日本ではJTですね。

なので競争原理が働かず、タバコの葉そのものも、米等の農産物と比べて栽培の費用が掛からない為、配当性向が80%でも事業に悪影響がないようです。

 

そのほか、設備投資があまり必要のない業種も配当性向が高くなるようです。

人材派遣などのサービス業や、ソフトウェアの開発などはどうもこの傾向が高かったり、逆に通信などではインフラ設備費が巨額になるため、配当性向は30%程度が多かったりしていますね。

 

 

 

 

 

■累進配当について

また、どんなに業績が良くても、企業が株主還元をする気がなければ意味がありません。

 

これについては、ここ数年、日本企業でも「累進配当」を宣言する企業が増えてきています。

 

累進配当は、業績が悪くても配当は維持、よければ増配の2択で、減配はしないという宣言ですから、インカム収入を重視する投資家にとっては重要です。

 

株価も累進配当を宣言して以降上昇することも多いため、キャピタルも撮れる可能性も高くなります。

 

例えばこちらは稲畑産業の月足チャートですが、22年に累進配当を宣言した直後に急上昇し、その後も上昇し続けているのがわかると思います

 

ただし、累進配当は多くの場合「次期中期経営計画では」のような条件が付けられていることが多いため、その次の期も続くかどうかが保証されているわけではないこと、または大赤字を出して経営が傾くようなことがあれば、いくら累進配当を宣言していたとしても反故にされる可能性もあることは意識しておかなくてはなりません。

 

なんにしても、株式の(投機ではない)投資の基本は企業の業績を見る、に尽きるということになりますね。