夜中の番組で桐谷さんが自転車で疾走し始めて数年。
株主優待を目当てに投資をする人もだいぶ増えましたよね。
株主優待は投資の成果を体感しやすいため、個別株投資をし始めるときには優待銘柄を購入して、長く持ち続けるのはお勧めではあります。
ただし、株主優待には良し悪しがあり、資産運用のトータルリターンで見た時に、時としてマイナス要因になっているケースもあります。
そこで、メリットとデメリットを上げてみますと
【メリット】
まずは株主優待のメリットです。
投資家視点で見たメリットと、企業視点で見たメリット、双方の視点で見ていきます。
■長期保有の株主を増やせる
株主優待はインカムゲインです。
インカムゲインは株を持ち続けることで得られる利益ですので、優待が欲しければ株を売らずに持ち続けることが必要です。
これは、個人株主にとっては長期投資を続けるためのモチベーションになりますし、企業側にとっても長期保有の株主が増えることは、株価や株主数を安定させることにつながります。
例えば、東証上場基準の中には、一定の株主数(プライム市場で800人以上)を満たす要件があり、企業はこの要件を満たす必要がありますから、最小単元ずつ持ってくれる個人株主が沢山増えるのは、特に株主数を増やしたい中小型の企業にとってはメリットです。
このように、優待を設定して個人株主が増えるのは企業にとってもメリットになりえます。
■優待は非課税
インカムゲインのうち配当金は、受取時に20%課税をされてしまいますが、優待は非課税ですので、これは純粋なメリットになりえます。
■優待の種類によっては、企業/株主双方にコスパがよい
配当や優待は、企業の財務キャッシュフローから支払われます。
配当であれば、1億円支払うためには財務CFから1億拠出します。
株主にとって、総額1億円の配当を出してくれるのは嬉しいですが、それは同時に企業の体力が1億円奪われる行為ですので、株価にとってはニュートラルです。
ところが、優待の場合、これは種類によるのですが、例えば自社商品3000円分の優待であれば、実際の原価は3000円以下です。
貰う側にとっては3000円の価値でも、払う側は少ない支出で済みますので、株主にとって満足感が高く、企業にとって財務を圧迫しないWINWINな優待になります。
また自社店舗で使える金券であれば、使用して買い物をしてもらうと、一旦は売り上げとして計上できるため、決算書をお化粧してよく見せる効果もあります。
逆に、クオカードなどの優待ではこのメリットは企業側にはありませんが、株主側にとっては、使用期限や賞味期限の無い優待なので人気は高いです。
【デメリット】
次にデメリットですが、こちらも投資家、企業双方の視点で見ていきます。
■公平性が保てない
機関投資家をはじめ、大口の投資家にとって、株主優待は不公平なシステムです。
100株所有の株主に3000円の優待、500株なら6000円の優待と、株数によってグレードアップするケースもありますが、10万株持っている大株主と500株しか持っていない株主が等しく6000円の優待では不公平です。
さらに、海外投資家にとっては、優待を利用できる環境がないことも多いでしょうから、その点でも公平性がありません。
ですから近年、大口投資家からの圧力で株主優待を廃止し、その分を株数によって公平に支払われる配当金に変更する企業が、大企業を中心に増えています。
これは、大企業は海外投資家が投資していることが多く、中小企業は海外投資家の比率が低いことも影響しているかと思われます。
これは、これから優待投資の銘柄選択をする際のヒントになると思います。
優待目当てで買ったら貰う前に優待廃止なんてことも有りえますからね。
というか、私自身やられた経験ありです(笑)
■優待目当ての個人投資家が増えすぎる
これはそれほど多いケースではないのですが・・・
優待を新設した結果、想定外に最小単元保有の個人投資家が急増してしまって支払額が増え、慌てて優待を廃止するようなケースがあります。
企業イメージのダウンにもつながりますし、優待目当てで購入した個人投資家もガッカリの結果になってしまいます。
■企業の成長性が低い場合がある
優待にばかり目を捕らわれて投資をしてしまうと、利益成長のない企業を買ってしまい、株価や配当金などが全く増えないなんていう罠銘柄が割とよくあります。
購入当時に優待利回りを計算し、高い還元率と思って購入し、数年後も同じ額の優待はもらえてはいるが、ちょっと横を見ると、優待は無いが利益成長率の高い同業他社は配当金が増額され続け、利回りはいつの間にか逆転されていたなんてことになりがちです。
以上のように、優待には良し悪しがあり、いいことばかりではありません。
優待は確かにお得感があるのですが、3000円の優待と3000円の現金配当で考えるなら、実は使い勝手が良いのは3000円の現金配当ですよね。
特にNISAのような非課税口座で運用できるなら、現金配当は優待の上位互換です。
ですから、なんとなくのお得感に惑わされることなく、優待は資産運用の1ファクター程度と考えておくとよいでしょう。
この辺を分析しながら選んだ優待銘柄を、今後順次ご紹介していこうと思います。