病識の大切さ | ある脳外科医のぼやき

ある脳外科医のぼやき

脳や脳外科にまつわる話や、内側から見た日本の医療の現状をぼやきます。独断と偏見に満ちているかもしれませんが、病院に通っている人、これから医療の世界に入る人、ここに書いてある知識が多少なりと参考になればと思います。
*旧題「ある脳外科医のダークなぼやき」

今回は生活習慣病の話です。

 

食べたいものを食べて、好きなだけ食べる

 

というのは、まあ一見、当たり前の人間の権利のようにも思いますが、

世の中、皆がそれでは大変なことになってしまいます。

 

場合によっては、親族や社会に大きな負担を強いることになるからです。

 

食べ物くらい好きに食べたっていいじゃないか!

という考え方には同意もするのですが、

残念なことに世の中には、糖尿病、高血圧、脂質代謝異常という、

生活習慣病があります。

 

糖尿病が万病の元というのは、

このブログを読むような、健康に意識がある人であれば、当たり前のような話かもしれませんが、

 

実際にこれらの生活習慣病がなぜマズイかというと、

それは血管によくないからです。

具体的には、血管の老化現象、つまり動脈硬化が進みます。

 

動脈硬化こそ正に万病の元で、

私たち脳外科が扱う脳卒中の最大の要因になるだけでなく、

 

誰もが知っている心筋梗塞、

そして、悪化すると透析が必要となる腎不全など、

 

いずれも動脈硬化が原因で起きることの多い病気です。

 

どれも命に直結する病気ですよね。

そして、これらの病気はいずれも食生活が大きな要因となるものです。

 

これらの病気が、

もし、自分が苦しむだけの病気であれば、

確かに、「好きなだけ食べて、何が悪い、俺の人生だろ」

という論理が成り立ちます。

 

ただ、実際はそうではありません。

これらの病気の治療はたいてい、多大な医療費を要します。

これはつまり、国民皆保険制度においては、納税者全体の負担となります。

 

そして、それよりも大きいのは、

介護の問題です。

 

心臓や腎臓では直接、麻痺などの体の不自由に直結するわけではありませんが、

脳卒中は直結します。

 

脳梗塞も脳卒中も、

多くの場合は何らかの後遺症を残します。

 

そして重い場合には生きていくために介護が必要になります。

 

家族が介護を行うことになる場合と、

家族で介護は時間的にも労力的にも負担が重いということで、

金銭を負担して施設に介護を任せる場合があります。

 

ただ、いずれにしても、控えめに言っても、

やはり大きな負担にはなってしまいます。

 

そうなってくると、

「俺の人生だろ」というだけで済む問題ではなくなってきますよね。

 

しかしながら、残念なことに、

こういった自覚の欠如している人は未だに数多くいらっしゃいます。

 

糖尿病が原因で脳梗塞になったのに、

病室でお菓子を盗み食いする人、

 

病院を抜け出して、油と塩分たっぷりのラーメンを食べる人、

 

日常茶飯事のようにそういった人を目にします。

 

こういった方々が、この国では一向に減ってこないように思われる背景には、

 

教育の問題、医療制度、そして保険制度の問題まで、

背景にはこの国の様々な問題が潜んでいます。

 

名月の電子書籍と紙の書籍の紹介↓

 

 

続 誰も教えてくれない脳と医療の話/R&M
¥398
Amazon.co.jp

 

誰も教えてくれない手術の話/R&M publisher
¥300円
Amazon.co.jp
誰も教えてくれない脳と医療の話 改訂電子版/R&M publisher
¥300円
Amazon.co.jp

 

 

サクッと読める!「脳」の話/名月論

¥300円
Amazon.co.jp

紙の書籍↓

紙の書籍に関しては、絶版となったため、下記Amazonや楽天では中古しか販売しております。

新刊を希望の方は私の方から直販しますので、ここ、Amebaのメールか、

nsdr.rookie@gmail.com までご希望の方はご連絡ください。

 

誰も教えてくれない脳と医療の話 脳神経外科の現場から/名月 論 ¥1,365 Amazon.co.jp

誰も教えてくれない脳と医療の話
¥1,365
楽天

読んだらクリックしてね↓

このブログの順位がわかります↓

人気ブログランキングへ