ある脳外科医のぼやき

脳や脳外科にまつわる話や、内側から見た日本の医療の現状をぼやきます。独断と偏見に満ちているかもしれませんが、病院に通っている人、これから医療の世界に入る人、ここに書いてある知識が多少なりと参考になればと思います。
*旧題「ある脳外科医のダークなぼやき」


テーマ:

一過性脳虚血発作、通称 TIA と呼ばれる病態があります。

 

これは、いわば、脳梗塞のなりかけ、という病態です。

 

定義としては、簡単に言うと、

 

一時的に脳梗塞と同じ症状が出るものの、それが回復し、

頭部MRIの検査で脳梗塞が起きていないもの、

 

というようになります。

 

一旦脳の神経細胞が窮地におちいったものの、

細胞が死んだ状態、つまり脳梗塞にまではならなかった状態、

というものです。

 

どうしてそのような状態になりうるかというと、

脳の神経細胞の生命線は血流なわけですから、

この血流が途絶えて瀕死となり、再開すると症状が回復するのです。

 

血流が途絶える原因は脳梗塞と全く同じで、

脳の血管に血栓などが詰まったり、

もしくは血流の勢いが低下するなど、様々です。

 

どんな原因にしても、血流が途絶え、再開すると、

このTIAと呼ばれるような症状が起きます。

 

実際、どのような症状がTIAと考えられるかというと、

一般的には、半身の麻痺症状や、言語や発語の障害が典型的です。

 

他の症状の場合、TIAということはないのかというと、

完全にそうと言い切れるわけではないですが、

TIAと診断される症例のほとんどがこういった症状を呈します。

症状が持続した時間が長いと、より、それらしいということになります。

 

実際にTIAと考えられる患者さんは、

その10%程度がその後に放っておくと脳梗塞を起こすと考えられているので、治療が必要となります。

 

おそらく、多くの場合は

入院しての治療になることが多いように思いますが、

場合によっては抗血小板薬の内服を始めて外来で様子をみるということもあるかもしれません。

 

さて、

実際に臨床をやっていて感じる、このTIAという病態の問題点ですが、

「TIAの疑い」とされる患者さんが非常に多いことです。

 

私個人の印象としては、

TIAが疑われていらっしゃる患者さんの多くが、

TIAではなく、実際には失神ということが多いです。

 

たとえば、

一瞬意識が遠くなった、

一瞬ぼーっとしていた、

 

こういった理由で、TIAかもしれないということで搬送される患者さんが相当多いのです。

 

上述したように、

麻痺や発語の症状がしばらくあった、ということであれば、我々も、

「むむ、TIAかもしれない」とは思うのですが、

 

秒の単位の症状だったり、

それがさら「気が遠くなる」などの失神ライクな症状だった場合は、

TIAということはほとんどありません。

 

数秒気が遠くなる、というのは、

多くは迷走神経反射、もしくは神経血管性失神と呼ばれるような、

自律神経の過度の反射による症状なので、

特別に病的なものかというとそうでもありません。

 

誰でも、小便をしたあとに少し気が遠くなることを経験したことはあると思いますが、それこそ迷走神経反射の症状です。

 

というわけで、

一概にTIAかもしれない、と言われても、

こういった症状であれば、実際にはあまり関係ない場合が多いのです。

 

個人的な感覚としては、TIA疑いで紹介された患者さんの、

半分以上がこういった失神ライクな症状です。

 

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