絵本で、安心して気持ちが話せる「場づくり」の担い手を育む -129ページ目

絵本で、安心して気持ちが話せる「場づくり」の担い手を育む

~絵本で、安心して気持ちが話せる場づくりの担い手を育む~
NSプロジェクト代表
絵本道®マイスター
更家 なおこ

絵本道文庫

   ~フーシーとまりとお姫ー3~

 

 そんな風にフーシーとキジネコは、さまざまな村をめぐり続けた。

時にはサーカスの一団に混ざったこともあった。

色んな景色や人を見ているうちに、フーシーのまりさばきに、

段々と不思議な魅力が生れるようになった。

ついにある日、フーシーはお城の見える丘までたどり着いた。

「あそこに父さんがいる。15このまりを持つ父さんが・・・。

 

フーシーがお城に着くと、直ちに王様のもとに連れていかれた。

金や銀、とりどりの宝石で飾られた宮殿の一番奥で、王様は

白いひげをなでながら、フーシーを手まねきした。

王様のすぐ隣に、お后と共にフーシーと同じ年ごろの着飾った

少女が、すまして座っていた。

「その方がフーシーか。まりを8つもあやつることができるという

噂が、遠くの村からも聞こえている。」

フーシーはひれふしながら言った。

「王様、あたしがまりを使えるのは父さんのおかげです。

父さんは、15このまりの使い手でしたが、あたしが5つの時に

お城に呼ばれてそれきり帰ってきません。

母さんが、待ちくたびれて病気になりました。どうぞ父さんを

帰してください。」

 

 王様がうなずいてゆっくりと口を開けようとした、その時

「だめよ! そなたの父はわたしのまりの先生よ。そう簡単に

帰すわけにはいかないわ。」

王様の隣にいたすまし顔の少女が叫んだ。

「これ、姫。そうわがままを通すものではない。母親が

病気なら仕方あるまい。」

「いやよ、私はまだ8つのまりしか使えないのよ。15このまりを

使えるようになるまで帰さなくていいと、お父様は約束したわ。

それまでこの娘の父親を帰す帰さないは、私が決めます。」

 

(なんだって、じゃあ父さんはこんなわがままなお姫様の

お城に閉じ込められていたの)

フーシーはくやしさと怒りで目の前がぼうっとなった。

その時、キジネコがするりとフーシーに近づいて、何か差し出した。

まりだ。いつもキジネコがくわえる8つ目のまりだった。

フーシーは顔を上げると、姫の顔をまっすぐ見つめた。

 

「姫様、それならあたしと勝負してください。

明日のお昼、広場でまりの競い合いをして、勝ったら

父さんを帰してください。」

 

                                つづく

 

1話はこちら

絵本道文庫~フーシーとまりとおひめさまー1~ | 絵本で、安心して気持ちが話せる「場づくり」の担い手を育む (ameblo.jp)

 

2話はこちら

絵本道文庫~フーシーとまりとおひめさまー2~ | 絵本で、安心して気持ちが話せる「場づくり」の担い手を育む (ameblo.jp)