絵本で、安心して気持ちが話せる「場づくり」の担い手を育む -128ページ目

絵本で、安心して気持ちが話せる「場づくり」の担い手を育む

~絵本で、安心して気持ちが話せる場づくりの担い手を育む~
NSプロジェクト代表
絵本道®マイスター
更家 なおこ

絵本道文庫~フーシーとまりとお姫さまー4~

 

 日頃からまりの腕をたしかめたくてうずうずしていた姫は、

目を輝かせた。

「おもしろい、そなたが私に勝てると思うのか。よろしい、

受けて立とう。」

「それでは、明日の昼、広場にて。」

立ち去ろうとするフーシーに、姫はもう一声あびせた。

「そなたはもう長いこと、父の芸を教わっていないはず。

それでも、私に勝てる見込みがあると思うのか?」

 

 フーシーは、突き刺すような姫の笑い声から、逃げるように

走り出した。なんとしても、勝たなくてはいけない。

フーシーのあとを、キジネコが音もなく追いかけた。

 

 その夜、町の宿でフーシーは何度も寝返りをうった。

旅の疲れと不安、母さんの病気、明日の勝負、様々な

思いで頭がいっぱいになりながら、ようやくうとうとした

フーシーは、キジネコの激しい叫び声で目が覚めた。

 

 何人かの黒い人影が、窓から飛び出していくのが見えた。

「もしかして。」

フーシーは、はっとして机に駆け寄った。

 

 思った通りだった。寝る前に机の上に置いたまりは、

1つ残らず消えていた。姫のけらいたちが、明日の勝負を

案じて、フーシーのじゃまをしたのだ。

もう夜明けだ。フーシーの頬を、大粒の涙が伝った。

一粒、また一粒・・・。フーシーは声を押し殺し、肩をふるわせ

泣き続けた。

 まりがなくては、勝負もできない。父さんは帰れない。

母さんに、父さんとあたしを待ち続けているかわいそうな

母さんに、なんて言おう。

 

 もうじき朝だ。広場では、黒山の人だかりだろう。

でも、あたしはそこに行くことすらできないのだ。

                            

                               つづく

 

第一話はこちら

絵本道文庫~フーシーとまりとおひめさまー1~ | 絵本で、安心して気持ちが話せる「場づくり」の担い手を育む (ameblo.jp)

 

第二話はこちら

絵本道文庫~フーシーとまりとおひめさまー2~ | 絵本で、安心して気持ちが話せる「場づくり」の担い手を育む (ameblo.jp)

 

第三話はこちら

絵本道文庫~フーシーとまりとお姫さまー3~ | 絵本で、安心して気持ちが話せる「場づくり」の担い手を育む (ameblo.jp)