絵本で、安心して気持ちが話せる「場づくり」の担い手を育む -123ページ目

絵本で、安心して気持ちが話せる「場づくり」の担い手を育む

~絵本で、安心して気持ちが話せる場づくりの担い手を育む~
NSプロジェクト代表
絵本道®マイスター
更家 なおこ

絵本道文庫~フーシーとまりとお姫さまー7~

 

 フーシーは舞台へと走り出た。何百、何千という人々の目が

フーシーの補足小さい手に集まった。

フーシーはポケットから鮮やかな赤いまりを取り出した。

それを見た姫のけらいの何人かが、ちぇっと舌打ちを

したのを、姫は見逃さなかった。

 

 フーシーは思い切って、1つ目のまりをぽーんと空に

向けて投げた。違う。前のまりと重さも手触りも、

何もかも少しずつ違っていた。2つ目の青いまりも

同じだった。なんだか遠くへ投げらるのを嫌がっている

ような動きさえ感じられた。

 

 3つ、4つ、まりが増えるたびフーシーは苦しんだ。

今までこんなに投げにくいまりを持ったことがなかった。

旅の途中、子どもたちにせがまれてりんごや石ころを

何度も投げてみたけれど、これほどまでに手こずった

ことがなかった。5つ、6つ、7つ、フーシーの得意なまりの

空中踊りも、どこかぎくしゃくとぎこちない動きになっていた。

 

「なんだかうわさ程じゃないね。」

「姫様の方が、ずうっと見事だよ。」

広場の人だかりもそれほどフーシーに興味を示さなくなった頃、

8つめのまりが投げられた。

「もうダメ、支えきれない。」

 

 8つめのまりの重さに耐えられなくなったフーシーは、

ほうり投げたまり同士を空中でぶつけてしまった。

 

「あっ。」

 広場中の人々が息をのんだ。

 

突然、澄み切った美しい音色が一つ、広場に響き渡った。

なんという心地よい音だろう・・・。

 

 その時、遠くからささやくような声が聞こえた。

「フーシー。こころだ。こころで投げるんだ。」

 

 そうだ。こころ。あたしはつい、勝負に夢中になって

手先の技だけでまりを投げようとしていた。

フーシーは8つ全てのまりを、順番に空でぶつけ合ってみた。

ド・レ・ミ・ファ・ソ・ラ・シ・ド これなら歌だってうたえる。

フーシーは、ようやくまりの本当の使い方がわかった。

 

                          つづく

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