絵本で、安心して気持ちが話せる「場づくり」の担い手を育む -122ページ目

絵本で、安心して気持ちが話せる「場づくり」の担い手を育む

~絵本で、安心して気持ちが話せる場づくりの担い手を育む~
NSプロジェクト代表
絵本道®マイスター
更家 なおこ

絵本道文庫~フーシーとまりとお姫ー8~

 

 フーシーは、鈴のようにひびく声で歌い出した。

まりがかなでる音は、フーシーの声と重なり溶け合って

得も言われぬハーモニーが生れた。

そして、まり同士はぶつかってもぶつかっても、まるで

フーシーの手に吸い寄せられるように正確に戻っていった。

8つのまりはぶつかりながらも、一つの形を作り出していった。

それは、フーシーが夢にまで見た父さんのシルエットだった。

 

 フーシーがまりを全てポケットにしまっても、なおしばらく

人々は感動に胸をふるわせていた。

が、一瞬の後、ものすごい歓声とともに拍手がうずまいた。

「フーシーの勝ちだ。ばんざい、フーシー。」

 

「わたしの負けです。やはりそなたは名人の子。

けれど、この次はきっと勝ちます。」

 振り返ると姫が目に涙をためて立っていた。姫の足元には

まりどろぼう達がしばられてうなだれていた。

そして、その横に15このまりを持って立っていたのは

まぎれもなく、父さんだった。黒く済んだ瞳、細く長い指。

 

「やっぱり。父さんが物売りになっていたのね。」

「フーシー、大きくなったなあ。」

 父さんの胸に飛び込みながら、フーシーはこれまで

こらえていた分、全部吐き出して泣いた。

広場にいた人すべてが感動の再会に涙した。

 

 フーシーは、それから何日かして母さんの所へ帰り、

久しぶりに父さんの15このまりの芸を見ることができた。

思った通り、父さんは素晴らしいまりの使い手だ。

何より、父さんのまりにはこころがある。

 

 いつかきっと15この、いや、それ以上のまりを

使えるようになるんだと、こころにちかうフーシーのひざで

キジネコが満足そうにのどを鳴らした。

 

                        おしまい

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