水害被災地で移動の課題が出てきたら…《緊急期編》 | 特定非営利活動法人移動支援Rera

このたびの豪雨災害で被災されたみなさまに心よりお見舞い申し上げます。

一日でも早く心休まる日が戻って来ますよう、できることを応援していきたいと思います。

 

私達は、東日本大震災で多くの車を失った宮城県石巻地域で、被災された方の送迎ボランティアを始めて現在に至る団体です。

ゼロから始めた災害移動支援活動の経験が少しでもお役に立てればと思い、少しずつノウハウのかけらをご紹介していきたいと思います。

 

 

移動の課題と向き合う 《緊急期編》

 

課題が見えるのは「一呼吸あと」

被災直後は、「生きること」「目の前の課題(片付けなど)に取り組むこと」で、多くの方は手一杯、目いっぱいとなり、さまざまなことを我慢したり後回しにしたりして耐え忍んでいます。

「移動手段がない」ということが大きな問題となっていくのは、その少し後からです。

被災直後に聞き取りをして「それほどニーズがない」と感じた場合でも、1週間後には移動ニーズが大きく膨れ上がっていることもあります。

 

まず動くのは、外部ボランティア

大規模な被災直後の緊急期に、当事者である住民が互助送迎に動き出すことは至難の業です。

みんな、自分たちの身の回りの対応だけでも精一杯です。

始めたとしても、自らの生活再建を犠牲にして頑張りすぎてしまいかねません。

まずは外部支援者の手が必要です。

そして少しずつ、地域の方々の協力をお願いしていきましょう。

 

※ボランティア送迎に二種免許は必要ありません。

 

送迎支援と法律

送迎を勝手にしたら白タク行為なのではないか」と心配になる方もいるかもしれません。

送迎ボランティアに関係する法律には、道路運送法第78条があります。

基本的に、自家用自動車(白ナンバー車)が有償で人を乗せてはいけないことになっていますが、自家用有償運送の登録をした場合などのほか、「災害のため緊急を要するとき」も例外として有償運送が認められています。

とはいえ、緊急時の送迎はおそらくほとんどが無償のボランティアにはなると思いますが…。

 

では、「1円でも受け取ったら有償あつかいされる?」ということかというと、そうではありません。

送迎に実際に要した燃料費(出庫から戻ってくるまで含む)などを受け取ることは有償とはみなされないという通達が出されています。

また、「任意の謝礼」「お金に換算しにくいもの」を受け取っても大丈夫です。たとえば、無償で送迎しているのだけど、乗せた方が「ジュースでも飲みなさい!」とお小遣いをくれた場合や、食べきれなかったおにぎりをくれた場合などですね。

道路運送法における許可又は登録を要しない運送の態様について(リンク)

 

つまり、

 ・災害で緊急を要する時は自家用車で有償送迎することは(例外的に)可能

 ・お金を受け取らず無償で送迎する場合は届出や登録が不要

 ・ガソリン代や駐車場代などの実費相当を受け取る場合、任意の謝礼を受け取る場合は届出や登録が不要

となります。

 

 

送迎のリスクが怖い

「他人を乗せて送迎する」ことへの抵抗があるかもしれません。

当然のことだと思います。むしろ、持っているくらいの方が適任なのかもしれません。

ボランティア送迎だからといって、事故の責任がなくなるものでもありません。

ただし、不安はひとつずつほぐしていくことができます。

 

・送迎に使う車の任意保険の内容を確認する。(送迎対象者の範囲、運転者年齢など)

 →事故が起きた際の補償の範囲を事前に説明し同意してもらう。

・ロードサービスなどの連絡先を確認。わかるところに入れておく。

・送迎前後に必ず車両の点検をする。

 

当たり前のようなことでも、あらためて確認するだけで精神的な不安が解消されます。

保険にしっかり入っている車を使うこと。

いつもより丁寧に運転すること。

ボランティアでも、日常でも、誠実に走って、何か起きた際には誠実に対応するということ。違いは何もありません。

 

どんな移動が必要か

冠水した地域は、一階に設置している電気製品が使えず不便しています。

たとえば、洗濯機、エアコン、ボイラーなど。

電気が復旧しても、洗濯お風呂などに不自由している方がいます。

避難所から自宅の片づけに通いたい方もいます。

持病のある方は薬が切れると一大事。通院が必要です。

さまざまな買い物のニーズもどんどん増えていくと思われます。

避難所だけでなく在宅の方々も、同じくらい困っています。

 

「移動手段がある」と思うだけで、気持ちが軽くなります。