1月報告 迷走する未来と振り切れない過去 | 特定非営利活動法人移動支援Rera
復興住宅の建設と引っ越し、抽選が進んできています。

まだまだ地盤づくりをしているような住宅や土地しか決まっていない住宅も数多くありますが、そういった場所でも設計図に沿って、部屋決めの抽選をどんどん行っています。
復興住宅への引っ越しを希望している方は、どんな建物ができるかも実感する前に部屋が決まっていきます。
今回の震災で、集落ごと、地域ごとの移転をしている他の多くの地域は、もともとの「ご近所さん」同士で一緒に行き場所を決めていきますが、石巻は被災者の人数が非常に多かったために、抽選による入居という仕組みをとりました。
その結果として、「当たった」「外れた」「いつまでも当たらない」「当たっても大きな声で言えない」、また時には「当たった後で、仮設の人に意地悪されるようになった。」等の言葉が飛び交うようになってきています。

抽選で入居しているために、地域関係を再構築(再々構築?)する難しさもあります。
1月のある日、幸運にも1年ほど前に復興住宅に当選した利用者さんが、
「仮設住宅の“お茶っこ”に行きたい。」
と車の中で洩らしていたそうです。
「復興住宅に引っ越してきて1年になるけど、まだお茶飲み仲間ができないんだ。」
と仰っていたとのこと。

阪神・淡路大震災の時の復興住宅入居者の方々の高齢化が問題になっていますが、東日本大震災は、入居する前からすでに同じ基準での高齢化が問題になっているのだと、市の職員さんが教えてくれました。
中にはオートロックの復興住宅もあります。
今まで、家の鍵すらかけたことがなく、いつでもご近所さんが勝手に上がってきていたような生活をずっと送ってきた方が、建物の入口で部屋番号を押さないと友人が扉にもたどり着けない環境に変わってきています。
孤立、認知症、生活不活発病、うつ病など、足元で口を開けている真黒な罠にはまり込まないよう、今からしっかり考えていかなくてはならないのでしょう。

利用者さんは、今でもやはり様々な思いを口にしているそうです。
兄弟を津波で亡くし、伴侶を病気で亡くし、自分も転倒して怪我をしてしまったという方は、
「生きる気力がない。」
と仰っていたのだそうです。
この利用者さんは、浸水した自宅を一部直して住んでいます。
ちょっと不思議な話ですが、仮設住宅に住んでいれば、在宅よりも多くの人々に見守ってもらえる仕組みがあります。同じ被災者でも、自宅を直して住んでいる方との支援のギャップは、被災直後から問題になっていました。
4年が過ぎた今も、その問題は解決されていません。

被災した自宅から夫婦で娘の家に移り住んでいる利用者さんは、数か月前に夫を亡くしました。
「生きているのがつらい。」
歩行が目に見えて大変になっているその方は、病院への車中でつぶやいていたそうです。
たとえ家族だとしても、それまでと違った環境での同居は互いに大きなストレスがあります。

被災と関係なく抱える問題も、いくつもあります。
自宅から施設へのショートステイに預けられるといつも荒れてしまう知的障害の方の送迎の報告。
「ストレスが大きくて暴れちゃうのかな。行きたくないのかもしれないですね。」
「かもしれない。だけど、世話をする家族も年老いていくと思うと、他の施設や人々のいる環境に慣れておいてもらいたい、と思うものですよ。」
「そうか、そうですね…。」
私達も、送迎から様々なことを考えたり学んだりしながら過ごしています。

また、1月後半には、いつもとても元気だった利用者さんが急に体調を悪くして亡くなられてしまいました。
残念です。心よりご冥福をお祈りいたします。

1月いっぱい、たっぷりとお手伝いをしてくれた個人ボランティアさんがいました。
静岡から来た、土屋さんというお兄さんです。南三陸の障害児支援NPO法人「奏海の杜」で半年ほどお手伝いしていたという方です。

物静かで優しい、安心感のあるボランティアさんです。
静岡でも知的障害者の施設で勤務されているとのことで、休職して被災地支援に来て下さっていました。

せっかく土屋さんが来てくれているので、1月の自主勉強会は土屋さんを囲んでの「知的障害のある方との関わり方」をテーマにして、質問や疑問を出し合う形の時間にしました。
土屋さん、ありがとうございました。

また、京都の芹野さんも月末に到着。お手伝いしてくれています♪

何度か大雪も降りました。
東北といえども、太平洋側で積雪の少ない石巻は、雪が深く積もることはあまりありません。
人によっては夏タイヤのままで冬を越すという方もいるほどです。積雪すると、街が毎回ちょっとしたパニック状態になります。
渋滞や住宅の入口、転倒などに気をつけながら、慎重に送迎を行いました。


宮城県と内閣府が主催した「協働推進フォーラム」にお声がけいただき、参加してきました。
他地域での協働の事例やエッセンスをくださった基調講演は、2012年に起業支援ファンドでもお世話になった、京都の深尾さんによるものでした。懐かしく嬉しい再会でした。
やはりネットワークが大切なのだ、ということを再認識しました。

その後は宮城県内の地域ごとに分かれて座り、情報交換を行いました。

おまけ雪

1月7日には、スタッフの成田さんが「裸参り」をしていました。
とてつもない寒風の吹き荒れる中、皆さん凛々しくたくましい年の初めを見せてくれていましたよー。

ドキドキ1月のありがとうドキドキ
宮城県 武山さま、佐藤さま
北海道 冨田さま
神奈川県 カリタス女子中学高等学校さま
埼玉県 野澤さま
千葉県 國井さま
京都府 小松屋さま
福岡県 岸本さま
東京都 全国移動サービスネットワークさま

カリタス女子中学高等学校さまが、12月のクリスマス会で集まった寄付金を送って下さいました。
大切なお金をご寄付下さったみなさま、ありがとうございます。
継続したご支援を下さるみなさま、いつもありがとうございます。

ナイフとフォーク1月のごちそうさまナイフとフォーク
和歌山県 津田さま みかん
山形県 遠藤さま お菓子、お米

移動支援Reraサポーター募集

Reraの活動は、多くの皆さまのご賛同とご支援によって行われています。
多くの困難要素を抱え、経済的に困窮した方も多く、高額の交通費を支払うことができずに外出をあきらめていた方々の移動手段となっている活動です。
一緒に見守り、応援して下さるサポーターを募集しています。

クレジット、およびコンビニ決済による寄附ページ!
CANPAN決済サービス 移動支援Rera

NTTドコモさんが特設して下さっているJustgivingのサイトでは、クレジット決済のほか、NTTドコモの電話料金と一緒に引き落とされるという画期的なシステムがあります。
『石巻を「被災地」から「誰もがお出かけできるまち」へ』

チャリティーTシャツを買って応援♪
支援者の秋里さんが開設して下さっているサイトです。売り上げの全額(1枚あたり1,000円)がReraの寄付されるチャリティーサイトです。
デザインがどんどん増えています♪

UPSOLD 移動支援Reraグッズ販売


1月の活動実績
(依頼件数・走行回数・送迎人数・スタッフ数)
1/2(金) 2件 3回 3人 1人
1/3(土) 4件 6回 6人 3人
1/5(月) 27件 47回 64人 10人
1/6(火) 32件 58回 70人 10人
1/7(水) 28件 51回 62人 10人
1/8(木) 33件 64回 78人 11人
1/9(金) 38件 68回 86人 11人
1/10(土) 23件 41回 44人 6人
1/12(月) 7件 11回 14人 4人
1/13(火) 41件 77回 94人 13人
1/14(水) 35件 66回 78人 13人
1/15(木) 37件 72回 91人 12人
1/16(金) 33件 59回 77人 14人
1/17(土) 22件 39回 43人 7人
1/19(月) 37件 65回 92人 14人
1/20(火) 40件 70回 85人 12人
1/21(水) 44件 85回 108人 15人
1/22(木) 37件 70回 81人 12人
1/23(金) 36件 68回 80人 12人
1/24(土) 19件 34回 39人 5人
1/26(月) 35件 60回 80人 13人
1/27(火) 34件 64回 69人 11人
1/28(水) 30件 55回 72人 13人
1/29(木) 33件 61回 73人 13人
1/30(金) 32件 57回 73人 11人
1/31(土) 16件 29回 29人 7人
合計  755件 1,380回 1,691人 263人

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