リニアの玄関口に有害残土を持ち込まないで! | 市民自治ノート - NPOまちぽっとから

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 このブログは、NPO法人まちぽっとスタッフの伊藤久雄が書いています。このブログでは、「市民自治」の推進に必要なさまざまな情報や、NPO法人まちぽっとの活動などを発信していきます。

リニアの玄関口に有害残土を持ち込まないで!

 

〇JR東海が、駅工事に重金属類を含む要対策土の使用を計画

長野県飯田市上郷の北条地区周辺で、リニア中央新幹線の長野県の中間駅の工事が始まろうとしています。

リニアのこの駅は高架駅です。駅を支える橋脚の基礎工事に、JR東海は、基準値を超えるヒ素などの重金属類を含む要対策土を使用する=活用する、といっています。いまのところ、要対策土を使うのは、土曽川という川をはさんだ3カ所の橋脚の基礎部分です。南アルプストンネルの掘削で掘り出した要対策土を9月から運び込むといっています。

 

〇水の汚染が心配

土曽川は農業地帯を流れて天竜川に注ぎます。また、橋脚の付近に地下水の流れのあることもJR東海は把握しています。橋脚の工事現場から下流の土曽川の流域は農業地帯で、水田や畑がたくさんあります。また住宅地もあり比較的人口の多い地域です。土曽川には農業用水の取り入れ口も数カ所あります。下流域で農業を営む人たちの中には、リニア計画についての賛成、反対は別にして、要対策土をこんな場所で使われるのは困るという方もいます。

JR東海は、橋脚の基礎部分は1.5mの厚さのコンクリートで囲うので汚染が広がる心配はないと説明しました。要対策土は不溶化とかその他の処理をせずにそのまま詰め込むというのです。コンクリートの寿命はせいぜい100年です。大地震でコンクリートにヒビは生じないのでしょうか。JR東海はいつまできちんと管理ができるのでしょうか。

ダンプカーで運び込まれた要対策土を、土曽川の川岸にいったん降ろし、それから橋脚の基礎部分に詰め込みます。工事の途中で要対策土が土曽川にこぼれたり、要対策土の粉じんが飛散する心配だってあります。

今回の説明でも、使用する量は5000㎥という多量のものです。JR東海は、今後どれぐらいの要対策土が出てくるのかについて分からないと説明しています。これをきっかけに、駅は自社の土地だからと、さらに多量の要対策土が持ち込まれる心配もあります。

市民の安全と安心を第一に考えるなら、飯田市は要対策土の受け入れを認めるべきでなかったはずです。

 

〇要対策土は「有害残土」

いま問題になっている要対策土は、リニアのトンネル工事で南アルプスの山の中から掘り出された残土のうちで、ヒ素、ホウ素などの重金属類を基準値を超えて含むものです。そのまま放置したり、建設工事使えば、水に溶け出たり空気に触れて変化して、周囲の土地や水を汚染して人体に有害な作用を及ぼすので、何か対策をすることが必要とされるので要対策土なのです。南アルプスの山の中には地球の内部から上がってきた地層があって、その地層や岩石には、人体にとって有害な物質を含むものがあります。だから「自然由来の重金属類」とJR東海は説明するのですが、自然由来だから安全というわけではありません。自然の浸食作用で人間界に微量の重金属類が出てくることも事実ですが、トンネルを掘ることによって、はるかに大量の有害物がいっきに出てくることがあるのです。それが要対策土なのです。だから有害残土と呼んでも良いほどのものなのです。

人間や生物は、地球全体からいうと、宇宙と地中の間のほんの薄皮部分に暮らしています。人間にとって有害な地球内部にある物を掘り出すことはやはり問題なのです。トンネル工事は水枯れなどいろいろな問題を引き起こしますが、要対策土を掘り出してしまうことも大きな問題なのです。

 

〇地域住民は二重の負担

駅やルートにあたる、飯田市内の北条地区から隣の座光寺地区では多くの住民が立ち退き対象となって、多くの家屋が取り壊されました。JR東海は3月に2027年開業は無理であり、開業は早くても2034年以降になると説明しました。このニュースに地元では、多くの住民を立ち退かせ、家屋を壊して、地域を散らかしたままで、終わるようなことは絶対許せないという声も出始めています。そんな地域を、さらに、やっかいな要対策土の処分先にするなど、JR東海は横着すぎます。地域住民にとっては二重の苦痛です。

JR東海は橋脚工事に要対策土を使うべきでありません。

 

〇長野県の南の玄関口のイメージダウン

長野県は、飯田のリニア駅を長野県の南の玄関口といっています。もちろん飯田市の玄関口でもあるのです。その新しい玄関口に要対策土を持ち込むことは、大きなイメージダウンになるはずです。リニアに期待する人たちにとっても残念なはずです。しかし、飯田市は事前にJR東海から説明を受け市民に相談する前に受け入れを認めてしまいました。

このように要対策土の安易な活用には大きな問題があります。長野県に限った問題ではありません。

 

〇沿線自治体と住民は、暮らしの安全と安心のために歩調をそろえましょう

ハナノキ自生地への残土埋め立て問題で揺れた岐阜県の御嵩町は、問題のない残土についての受入れは認めざるを得ませんでしたが、要対策土の受け入れは認めていません。また、岐阜県瑞浪市大湫町のリニアトンネルを原因とする水枯れの発生を受けて、人ごとではないと、御嵩町は要対策土以外の残土に受け入れについてのJR東海との協議を中断してしました。JR東海の不誠実な態度については、ほかの自治体のことであっても、いうべきことはきちんというべきだと思います。

飯田市に、有害残土(要対策土)を受け入れないよう求めましょう

東海に、有害残土(要対策土)の持ち込みの中止を求めましょう

みなさまの署名へのご協力をよろしくお願いいたします!

 

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