2023年10月27日にHABIT SOFTからMD用アクションゲーム「CITY CONNECTION MD」が発売されました。
私はこのゲーム制作で、ミュージックプログラムを担当しました。
制作したBGMは、1985年に稼働したアーケード版「CITY CONNECTION」のBGMをMD(MEGA DRIVE)に移植したものでした。
実はBGMを制作する時に、アーケード版とMD用Arrange Ver.の2種類を選択出来るようにしたいと要望しました。
そして、STAGE 1 BGMだけ試しにアーケード版とMD用Arrange Ver.の2種類を制作しました。
その結果、両方OK頂きました。
ここまでは良かったんです。
で、Arrange Ver.を作るにあたり、まずはアーケード版BGMを作ってからにしようと思い、アーケード版BGMの制作に入りました。
ところが、ここで耳コピに手間取ってしまい時間を費やしてしまいました。
そこで途中から耳コピの助っ人ikeさんが加わって頂き、2名体制で無事アーケード版BGMの移植が完成しました。
しかし完成したのがリリース1ヵ月前でしたので、MD版Arrange Ver.は諦める事にしました。
10月27日リリースまでの間、メディア関係でもニュースで取り上げられたり、注目されている事を実感しながら、時が流れて行きました。
そして、10月17-18日の先行リリースイベントを経て、10月27日に正式リリースされました。
それから2ヶ月後…
別の音楽制作が一段落して、スケジュールを確認すると、1ヶ月くらい自分の事が出来そうなタイミングが訪れました。
これは今しかない!
そう思って、時既に遅しですけど、CITY CONNECTION MDのMD版Arrange Ver.を仕上げる事にしました。
今回も音楽制作は、パソコンのDAWソフト「CUBASE」にMAmidiMEmoをVSTプラグインで組み込み、実機のMEGA DRIVEを鳴らす方法で、全15曲作りました。
アレンジの方向性は、原曲のフレーズはそのままでグレードアップです。
原曲のアーケード版は、OPN系FM音源YM2203で鳴っております。
YM2203は、FM音源3音+PSG音源3音です。
パート構成は、FM音源はメロディーとベース、PSG音源はコードバッキングとスネアドラムです。
FM音源は2音しか使ってなくて、合計5音で演奏されております。
対するMD(MEGA DRIVE)は、OPN2系FM音源YM2612です。
YM2612はFM音源6音です。
YM2203とYM2612どちらも合計6音なんですけど、MDのほうが全部FM音源です。
これはMDのほうがより良いサウンドになりそうじゃないですか?!
そこでまず、アーケード版のFM音源のパート(メロディーとベース)はそのままにして、PSG音源のパートをFM音源の音色に差し替えます。
すると、FM音源が1音余ります。
この1音を、金物打楽器専用にしました。
その結果、ドラムで2音使えるようにしました。
これでドラムがゴージャスになります!
ドラムに2音使えれば、以前からやってみたい手法がありました。
それは、Nichibutsuのドラムサウンドです。
Nichibutsuのゲームサウンドの特徴はFM音源にOPL系FM音源YM3526の6音+5リズム音です。
YM3526は2オペレーターFM音源で、2個のオペレーターとノイズ発振器を組み合わせてドラムが作られております。
この5リズム音をMEGA DRIVEのFM音源YM2612で再現します。
アレンジの方向性が決まれば、後はどんどん作っていきます。
アレンジの中心はドラムパートです。
アーケード版はスネアドラムのみなので、ここにバスドラムとシンバルとハイハットを足します。
もしMEGA DRIVEにNichibutsuのTERRA CRESTAが移植されたら、こんなドラムサウンドになったのではないか?
そんな妄想をしながら、ドラムサウンドを作っていきました。
ドラムの音色作りは、ちょっと工夫してます。
アルゴリズムは4番を使ってるんですけど、スネアドラムはオペレーターの1と2、バスドラムはオペレーターの3と4で作りました。
この作り方で、スネアドラム、バスドラム、スネアドラム+バスドラムが作れます。
Nichibutsuサウンドの特徴でもあるシンバルも、LFOコマンドを使わなくても特定の周波数比の組み合わせと特定の音階で自然とLFOがかかるシンバルが完成しました。
Nichibutsuドラムを上手く再現出来たかと思います。
メロディーとベースの音色はYM2203 ORIGINAL Ver.をそのまま使いました。
その他のコードバッキングやコーラス、シーケンスフレーズの音色は、SEGAの体感ゲーム「SPACE HARRIER」や「SUPER HANG-ON」、「AFTER BURNER」からチョイスしました。
まるでJALECO+SEGA+Nichibutsuを融合したような、良いところ取りなサウンドになりました(笑)
MEGA DRIVEに内蔵するFM音源の音色作成は、VSTプラグインとして使ってるMAmidiMEmo(マミディメモ)に内蔵するYM2612 EDITERを使って、MIDI鍵盤で実機MEGA DRIVEを鳴らしながら作りました。
パソコンの音色EDITERでも鍵盤が使えると、音色作りが早いし快適です。
この、鍵盤が使えるおかげで、PC系FM音源でも楽器系FM音源と同様に音色制作が出来ます。
もう遅いけど、あと1ヶ月あったらCITY CONNECTION MDに実装出来たなー…と思いながらも、やり残した事をやり終えて、気分スッキリです♪
でも、せっかく作ったから、どこかで発表出来ないかな?
そう思ってたところに、タイムリーにチャンスが訪れました。
2024年1月27日と28日の2日間、㈱シティコネクションで開催されるGAME IMPACTのイベントに、ゲスト出演でCITY CONNECTION MD YM2612 Arrange Ver.を生演奏で発表する事になりました!
https://www.gameimpact.info/0127-28tokyo/
㈱シティコネクションでCITY CONNECTIONの曲を演奏出来るなんて光栄な事でして、このタイミングを逃したら2度とチャンスは無いと思いました。
そこで、イベント会場で演奏出来るように準備しました。
まず、音楽制作で使ったCUBASE 12はイベント会場では使えない(NET回線に接続しないとCUBASEは起動出来ない)ので、シーケンスデータをYAMAHA QY700に移動しました。
そして、メロディーをKORG opsixの鍵盤で演奏するので、プログラムチェンジとコントロールチェンジはそのまま残して、メロディーのノートデータを消去しました。
この状態でシーケンサーをスタートさせれば、メロディーを演奏中に音色が自動的に切り替わりますので、演奏に集中出来ますね♪
そして、MEGA DRIVEをMIDIで鳴らすソフト「MAmidiMEmo」は携帯用のMini PCで起動出来るようにしました。
MEGA DRIVEの内蔵FM音源YM2612の音色データは、このMAmidiMEmoで管理してます。
このFM音源の音色データとKORG opsixの鍵盤+YAMAHA QY700のMIDIデータが、MAmidiMEmoを使ってリアルタイムにMEGA DRIVEに送られ、MEGA DRIVEから音が鳴る訳です。
そこを注意しながら、6日間練習出来ました。
STAGE 1 BGMのみなんですけど、こんな感じで全15曲がアレンジされているんですよ!
全STAGEのBGMをメドレーで繋ぐと、7分くらいあるので、演奏するメロディーを覚えるのが大変でした。
さて、イベント当日のセッティングです。