ブログ開設から丸5年経った2019年4月、「この5年間に聴いた交響曲まとめ」という記事を書いた。それからさらに5年が経過したので、データを10年分に更新することにした。もちろんその間には、コロナ禍によるコンサートの休止期間があり、再開後もしばらくは大編成の曲は聴けなかったので、単純に最初の5年間の2倍という訳にはいかないだろう。では、どの曲をどれぐらいの頻度で聴いていたのか。
前回同様、期間中に延べ2回以上聴いた作曲家を年代順にリストアップし、作品ごとの鑑賞回数と、その中で最も印象に残る演奏を記した。名前は「交響曲」でも中身はそうでもなかったり、「シンフォニア」等の作品群をどこまで交響曲に含めるかは微妙なところだが、まぁその辺は私の匙加減ということで…。
■ハイドン
第22番「哲学者」/2回(シュテンツ&新日フィル2018.2)
第45番「告別」/1回(井上道義&読響2022.7)
第60番「うかつ者」/1回(川瀬賢太郎&神奈川フィル2015.2)
第70番/1回(秋山和慶&東響2017.3)
第82番「くま」/1回(ルイージ&N響2023.5)
第85番「王妃」/1回(デュトワ&N響2017.12)
第86番/1回(ノット&東響2017.10)
第88番「V字」/1回(鈴木秀美&神奈川フィル2014.7)
第94番「驚愕」/3回(川瀬賢太郎&神奈川フィル2017.7)
第98番/1回(鈴木秀美&N響2021.9)
第101番「時計」/1回(鈴木優人&神奈川フィル2017.4)
第102番/2回(パーヴォ&N響2018.9)
協奏交響曲 変ロ長調/1回(ノット&東響2021.12)
※「軍隊」「太鼓連打」「ロンドン」等が機会無し。
■モーツァルト
第22~30番(25番を除く)/各1回(三ツ橋敬子&東フィル2015.3)
第25番/3回(井上道義&東響2022.3)
第29番/1回(井上道義&東響2022.3)
第31番「パリ」/1回(スダーン&東響2023.10)
第32番/1回(太田弦&東響2021.5)
第35番「ハフナー」/5回(オノフリ&OEK2017.1)
第36番「リンツ」/2回(阪哲朗&山響2019.6)
第39番/5回(ノット&東響2017.10)
第40番/2回(カンブルラン&読響2017.1)
第41番「ジュピター」/6回(ムーティ&東京春祭オケ2021.4)
※「ハフナー」好きが数字にも表れている。
■ベートーヴェン
第1番/3回(佐藤俊介&東響2023.3)
第2番/7回(山田和樹&OEK2016.9)
第3番「英雄」/6回(ノット&東響2017.12)
第4番/6回(沖澤のどか&京響2023.9)
第5番「運命」/7回(ノット&東響2015.7)
第6番「田園」/7回(ウェルザー=メスト&クリーヴランド管2018.6)
第7番/5回(ブロムシュテット&N響2018.4)
第8番/7回(ノット&東響2017.5)
第9番「合唱付き」/13回(ヤノフスキ&N響2018.12)
※2番はピアノ三重奏版、7番と8番は弦楽五重奏版を含む。
※第九は別格として1番が手薄。7番も思ったより少ない。
■シューベルト
第2番/2回(ギルバート&都響2018.7)
第3番/2回(メータ&バイエルン放送響2018.11)
第4番「悲劇的」/1回(鈴木雅明&N響2020.10)
第5番/3回(山田和樹&横浜シンフォニエッタ2015.1)
第7番「未完成」/2回(井上道義&OEK2017.7)
第8番「ザ・グレート」/7回(パーヴォ&N響2017.7)
※「未完成」はテレビではもっと聴いているのだが…。
■ベルリオーズ
幻想交響曲/9回(スダーン&東響2021.9)
※ほぼ年1ペースで聴けてハズレも少ない名曲。
■メンデルスゾーン
弦楽のための交響曲第8番/1回(佐藤俊介&東響2023.3)
第1番/1回(鈴木優人&読響2016.6)
第2番「賛歌」/4回(ピノック&紀尾井H室内管2023.9)
第3番「スコットランド」/4回(準・メルクル&新日フィル2016.4)
第4番「イタリア」/2回(サンティ&N響2014.11)
第5番「宗教改革」/1回(鈴木優人&東響2023.8)
※弦楽のための交響曲第8番は管弦楽版。
※この5年で「賛歌」を4回も聴けるとは…!
■シューマン
第1番「春」/1回(スダーン&東響2023.12)
第2番/3回(ノット&東響2016.12)
第3番「ライン」/2回(リープライヒ&日フィル2024.3)
第4番/3回(ヴァイグレ&読響2016.8)
※演奏機会の割に、鑑賞回数の少なさは否めない。
■ブルックナー
第1番/2回(ノット&東響2023.10)
第2番/3回(パーヴォ&N響2016.9)
第3番「ワーグナー」/4回(バレンボイム&SKB2016.2)
第4番「ロマンティック」/4回(ノット&東響2021.10)
第5番/6回(ウェルザー=メスト&ウィーン・フィル2018.11)
第6番/2回(バレンボイム&SKB2016.2)
第7番/4回(ハイティンク&ロンドン響2015.9)
第8番/7回(スクロヴァチェフスキ&読響2016.1)
第9番/4回(バレンボイム&SKB2016.2)
※7番は室内楽版を含む。
※10年でこの回数ではブルオタとは言えないだろう。
■ブラームス
第1番/8回(エリシュカ&札響2017.3)
第2番/7回(バーメルト&札響2019.1)
第3番/2回(ブロムシュテット&N響2019.11)
第4番/4回(エッシェンバッハ&N響2017.10)
※最初の5年で最多の6回聴いた1番が伸び悩む。
■サン=サーンス
第3番「オルガン付き」/3回(デュトワ&N響2015.12)
※もっと聴いているようで、それほど聴いていない曲。
■ビゼー
交響曲ハ長調/1回(ネルソン&紀尾井H室内管2017.6)
交響曲「ローマ」/1回(ミンコフスキ&都響2014.8)
※「ローマ」を聴けたのは今思えば貴重。
■チャイコフスキー
第1番「冬の日の幻想」/1回(エラス・カサド&N響2019.12)
第3番「ポーランド」/1回(ノット&東響2023.7)
第4番/8回(ウルバンスキ&東響2016.5)
第5番/8回(バッティストーニ&東フィル2015.4)
第6番「悲愴」/7回(ゲルギエフ&ウィーン・フィル2020.11)
マンフレッド交響曲/2回(スダーン&東響2019.6)
※欠番の2番も今年のサマーミューザで聴けそう。
■ドヴォルザーク
第6番/2回(エリシュカ&大フィル2017.10)
第8番/5回(ヴァイグレ&読響2016.8)
第9番「新世界より」/6回(スダーン&東響2017.11)
※7番を一度も聴けなかったのが残念。
■エルガー
第1番/2回(アシュケナージ&N響2014.6)
第2番/3回(ラトル&ロンドン響2022.10)
※長らく苦手だったが、ようやく2番の魅力に開眼。
■マーラー
第1番「巨人」/8回(ノット&東響2021.5)
第2番「復活」/3回(パーヴォ&N響2015.10)
第3番/7回(パーヴォ&N響2016.10)
第4番/10回(パーヴォ&N響2018.9)
第5番/8回(Kペトレンコ&バイエルン国立管2017.9)
第6番「悲劇的」/9回(サロネン&フィルハーモニア管2017.5)
第7番「夜の歌」/6回(大野和士&都響2023.4)
第8番「千人」/5回(ノット&東響2014.12)
第9番/5回(ヤンソンス&バイエルン放送響2016.11)
第10番/2回(インバル&都響2024.2)
第10番(アダージョ)/2回(ノット&東響2018.4)
※第10番は室内オーケストラ版、第10番アダージョは弦楽オーケストラ版を含む。
※10年間機会無しの「大地の歌」は来月聴く予定。
■リヒャルト・シュトラウス
家庭交響曲/1回(飯森範親&東響2020.11)
アルプス交響曲/1回(ギルバート&都響2023.7)
※最近ようやくアルペン・デビューした初心者です。
■シベリウス
第1番/4回(ヴェデルニコフ&東響2017.9)
第2番/6回(マケラ&オスロ・フィル2023.10)
第3番/1回(リントゥ&新日フィル2015.10)
第4番/3回(高関健&シティ・フィル2022.9)
第5番/6回(ヴァンスカ&読響2015.12)
第6番/3回(ヴァンスカ&読響2023.10)
第7番/4回(原田慶太楼&東響2024.3)
※そろそろどこかで3番をやってくれないかな…。
■ニールセン
第2番「4つの気質」/1回(パーヴォ&N響2019.6)
第3番「広がりの交響曲」/2回(ブロムシュテット&N響2022.10)
第4番「不滅」/2回(山田和樹&読響2021.3)
第5番/3回(ダウスゴー&新日フィル2016.1)
第6番「素朴な交響曲」/1回(高関健&シティ・フィル2018・5)
※やはり最後に1番が残りました。
■グラズノフ
第5番/1回(ラザレフ&日フィル2016.11)
第7番「田園」/1回(ラザレフ&日フィル2021.4)
第8番/1回(ラザレフ&日フィル2018.11)
※今後も聴けるかはラザレフ先生次第。
■スクリャービン
第4番「法悦の詩」/2回(大野和士&都響2016.6)
※たまに食べたくなる珍味的存在?
■ヴォーン・ウィリアムズ
第1番「海の交響曲」/1回(原田慶太楼&東響2021.9)
第3番「田園交響曲」/2回(藤岡幸夫&シティ・フィル2015.11)
第5番/1回(スラットキン&N響2022.11)
第6番/1回(下野竜也&日フィル2022.12)
第7番「南極交響曲」/1回(ブラビンズ&都響2017.5)
※ミステリアスな後期の交響曲をもっと聴いてみたい。
■ラフマニノフ
第2番/4回(ネルソンス&ボストン響2017.11)
第3番/2回(パーヴォ&N響2016.10)
※3番の方が好きなんだが、演奏されるのは2番ばかり…。
■フランツ・シュミット
第4番/2回(ヴァイグレ&読響2021.6)
※もっと人気が出てほしい実力派シンフォニスト。
■ストラヴィンスキー
詩篇交響曲/2回(ヴェデルニコフ&東響2017.9)
3楽章の交響曲/1回(パーヴォ&N響2018.5)
ハ調の交響曲/1回(ノット&東響2020.7)
※ストラヴィンスキーを聴くなら交響曲以外がいいかな…。
■プロコフィエフ
第1番「古典」/3回(ロウヴァリ&東響2014.10)
第4番/1回(ブランギエ&東響2019.9)
第5番/2回(ショハキモフ&東響2022.9)
第7番「青春」/1回(ソヒエフ&N響2017.11)
※プロコってなかなか体系的に味わうのが難しいと思う。
■オネゲル
第2番/2回(尾高忠明&読響2020.9)
※トランペットのポツンは一度見たら忘れがたい。
■ウォルトン
第1番/4回(尾高忠明&新日フィル2017.9)
第2番/1回(山田和樹&日フィル2023.9)
※1番はそこそこ演奏機会に恵まれていて何より。
■ショスタコーヴィチ
第1番/1回(井上道義&N響2020.12)
第4番/5回(ラザレフ&日フィル2014.10)
第5番/8回(井上道義&読響2022.2)
第6番/1回(井上道義&東響2021.3)
第7番「レニングラード」/4回(ウルバンスキ&東響2014.10)
第8番/2回(ラザレフ&日フィル2015.6)
第9番/5回(ラザレフ&日フィル2015.10)
第10番/6回(テミルカーノフ&読響2015.6)
第11番「1905年」/1回(ラザレフ&日フィル2015.3)
第12番「1917年」/1回(ラザレフ&日フィル2018.11)
第13番「バビ・ヤール」/2回(テミルカーノフ&読響2019.10)
第14番/1回(井上道義&神奈川フィル2020.2)
第15番/4回(ノット&東響2015.11)
※猛将ラザレフの独壇場だったが井上ミッキーが気を吐く。
■諸井三郎
第2番/1回(野平一郎&ニッポニカ2022.12)
第3番/1回(山田和樹&読響2022.3)
※日本人作曲家による交響曲で最も魅力を感じるのが3番。
■伊福部昭
シンフォニア・タプカーラ/4回(阿部加奈子&ニッポニカ2014.5)
ピアノと管弦楽のための協奏風交響曲/1回(下野竜也&シティ・フィル2021.7)
※10年で4回聴ける日本人作曲家の交響曲はなかなか無い。
■バーンスタイン
第2番「不安の時代」/1回(ラトル&ロンドン響2018.9)
第3番「カディッシュ」/1回(インバル&都響2024.2)
※もう一度聴きたいのは「不安の時代」の方かな。
■芥川也寸志
第1番/1回(藤岡幸夫&シティ・フィル2019.8)
交響三章/1回(湯浅卓雄&新交響楽団2020.10)
エローラ交響曲/1回(鈴木秀美&ニッポニカ2022.7)
※第1番は和製プロコフィエフの面目躍如たる快作。
★1回のみ聴いた作曲家の作品
フランク、ショーソン、ハンス・ロット1番、カリンニコフ1番、チェレプニン1番、シェーンベルク室内交響曲1番、ミャスコフスキー21番、シマノフスキ4番、カゼッラ3番、ポポーフ1番、大澤壽人1番、メシアン「トゥランガリラ交響曲」、バーバー1番、安部幸明2番、ルトスワフスキ4番、ヴァインベルク12番、矢代秋雄、ペンデレツキ2番、水野修孝4番、ペルト3番、ファジル・サイ1番、菅野祐悟2番
ベートーヴェン9番が頭ひとつ抜けた13回で期間中最多。次いでマーラー4番が10回、ベルリオーズ幻想とマーラー6番が9回。8回聴いたのは6作品あって、ブラームス1番、チャイコフスキー4番と5番、マーラー1番と5番、ショスタコーヴィチ5番。逆に、演奏機会の割に少ないと思うのは、モーツァルト40番、シューベルト「未完成」、メンデルスゾーン「イタリア」の2回だろうか。「復活」の3回もマーラーにしては少ない。
こうして書き出してみると、未聴の欠番が気になる。チャイコフスキー2番はもうすぐ聴けそうだが、ニールセン1番は当分難しいだろう。ショスタコの2番と3番もハードルは高そう。ブルックナーも0番と00番が難関。9曲あるヴォーン・ウィリアムズが案外コンプリートに近いかも…?