小説 【 初恋 】 -1- | Novel & Scenario (小説と脚本)

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先輩の名前は藤井和成。3年2組。成績優秀でスポーツ万能。そしてイケメン。当然人気があってテニス部のエースだから放課後テニスコートの周りや見おろせる化学室のベランダには女子が集まる。ちなみに私はラケットを持った先輩を見かけてあとをつけてテニス部と知ったんで最初からそれと知ってキャーキャー言ってる皆さんとは違う。

先輩にはじめて会ったのはひと月前。高校に入ったばっかでまだともだちがいなくてトイレが長引いたりもあってその日の午後私は校内で迷った。3年生の教室がある3階の廊下で音楽室はここらのはず、と見まわしていると「1年生? どうした?」と声をかけられて見ると先輩だった。「迷子? どこ行きたい?」と聞く先輩は男子のともだち2人と一緒で、

「あ、音楽室に」と私が言うと、

「じゃああっちだね」と指さした。「この学校わかりにくいんだ」とやさしい笑顔でうなずいた。

「あ、ありがとうございます」と私がお辞儀し「失礼します」と音楽室に向かおうとすると、

「気ぃつけてねー」と声をかけてくれた。ともだち2人も笑ってたけど先輩の笑顔は歯がキランと輝いてストップモーション、目に焼きついた。なんて素敵な人! 私は銃声が聞こえたね。ズキュンて胸を撃ち抜かれた。

それを話すと萌は「それだけ?」とポカンとして「なんかチャラくない?」と言うから、

「チャラくないよぉ」と言い返したけど私は怒ってない。萌は高校ではじめてできたともだちで好きな人はまだいないらしい。かぶっちゃうよりはいい。中学の時に仲良かった子たちはみんな他校で今のところ話し相手は萌だけ。席が近くて話すようになったけどまぁまぁ気が合う。

 

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