小説 【 初恋 】 -2- | Novel & Scenario (小説と脚本)

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とにかくその出会いから意識して先輩を探して見つけたのは先週、ゴールデンウィーク明けの放課後の昇降口でたまたまラケットを持った先輩を発見して尾行。それでテニス部と知った。練習を見学する女子の皆さんのあいだをウロウロして先輩の名前やクラスをリサーチ、て言うか盗み聞きして、でもまだまだ足りない。彼女がいるかどうかも知らない。もっと知るにはどうしたらいい?

それで思い出したのが新太。進藤新太。私の2歳上の幼なじみで同じ高校にかよってる。私んちの4軒隣りにあるコンビニのひとり息子で性格は最悪。意地悪で昔はさんざん泣かされた。今は負けてないけどね。それ言っても萌は「いいな、うらやましい」と言う。萌の家は昔転勤族で引越し&転校が多かったから幼なじみはいないらしい。でもそんなにいいもんじゃないぞ?

LINEで〈3年2組の藤井先輩知ってる? どんな人?〉と聞いても新太は返信を寄こさない。イライラするな。まぁ最近ご無沙汰だったけど。最後に話したのは今年のお正月。年始の挨拶でコンビニに行くとバイトしてた。新太の家は4年前まで酒屋さんだったのを5階建てのマンションに建て替えて1階のテナントにコンビニをオープンして、新太は高校に入ってから時々手伝ってる。そのあと同じ高校に合格したと新太のパパやママには報告したけど新太はノーリアクションだった。聞いてないはずないんだけどね。とにかくなんも言ってこない。登下校の途中でも会わない。まぁどうせ朝はいつも寝坊してギリなんだろう。

 

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