コアの技術は表に出なくなるだろう | あなたも農業コンサルタントになれる

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  わけではない / by 岡本信一









世界中の農業情報がいつでも手に入る時代なったので、今後の農業技術の進歩のスピードは一層早まることになるだろう。


私はこの10年余り一般的に考えられる栽培方法と言うよりも、もっと科学的に数値で管理できないかという取り組みを中心におこなってきた。その結果、度々言及する歩留まりが大事である、安定品質・供給が重要であるというあまり顧みられることないことが重要であることを知った。そして、最近になってそれに気づいた方々と取り組みを行うようになっている。


農家や流通業者の方がデータをとることの重要性に気づき、データを取りつつ今まででは考えられない高効率での栽培を目指している。それらについては、あまり表になることはないだろう。理由は、表にする必要がないからである。私は、顧客にニーズに沿った新しい技術を開発するわけで、表にすることはないし、顧客も表にすることもない。ただ、新しい技術を利用するだけである。むしろ表にしたくない、ということになる。


最近では測定技術やデータ収集に関しての技術の進歩は非常に早く、それらの利用も進むだろう。


今後、本当に重要な技術情報というのは、表に出なくなると考えられる。理由は、これまで技術開発をリードしてきたのは、資材メーカーや研究機関であり、そういった技術情報というのは表にするのがアタリマエだし、むしろ研究成果であったり、資材メーカーの宣伝であるわけで積極的に宣伝を行なってきたからだ。しかし、民間のコンサルタントが指導する場合、その内容については表にすることは出来ないし、表にすることもないだろう。コアの技術であれば、表にすること自体が問題になるからだ。欧米では民間のコンサルタントが増えているが、日本でもいずれ必要とされるようになるだろうが、その活動は表になることないと思う。


私自身最近の契約では、どこと契約しているのか、どの地域で行なっているか、何をしているのかということすら公にすることは出来ない。そのため、ブログでもSNSでも一切自分が何をしているのか、どこにいるのかという情報を提供していない。


想像して欲しい、自ら開発した栽培技術をもって、大きなシャアを持とうと活動している場合、その技術を公にすることがあるだろうか。あるわけがない。本当にコアの技術になると表にすること必要性がないのである。


ある程度シェアを抑えた後であれば、あまり、問題にならない範囲で公にすることはあるだろうが、それ以外では表に出す必要はないのである。


今後、10年ほどの間の日本の農業環境は激変するだろうと考えている。理由は、TPPなどの外圧によるものもあるが、今の日本の行政システムやその他のシステムも疲弊し、機能不全に陥っているためである。さらに、栽培技術革新が間近に迫っているということを実感しているためでもある。


例えば、今、pH計が世の中に存在しないし、pHという概念すらないとしよう。もし、一部の野望を持った会社が、土壌pHを測定することでこれまで以上の収穫量を安定してえることができるとしたら、その技術を公開し、人にpH計を渡して石灰の使用方法を教えるだろうか?教えないだろう。


オープンにするにしても、十分な利益とシェアを抑えてからの話だ。


今後、表に出る情報というのは、本当に必要な情報ではなく、周辺情報にすぎないだろう。


私はブログ上でアナログ情報を出して入るが、数値情報をどのように取り扱うかとか、どのような数値であればいいという情報を出していない理由がそこにある。


他にこのような形で進行している会社もあるに違いないし、実際にあることも知っている。あまりにも技術革新が大きいと、公にすることすら危険である場合もあるからだ。


技術の革新は始まると早い。


そして公になった時には、手遅れということになる。


メーカーや公の研究機関が技術革新を担っているうちは、技術は表に出る。しかし、本当の競争となり、流通業者なり能生かなりが自ら技術開発を行った場合、表にすることはないということを理解して欲しい。理由は、先に述べたようにそれが最大の武器であり、経営のコアにつながるためだ。


今後、革命的な技術革新も起こるだろうが、大部分は既存のノウハウをいかに組み合わせるかというもっと複雑な部分になる。これまでのような目に見えてわかるようなわかりやすい技術ではなくなるに違いない。そのため、一つ一つのノウハウをオープンにしたとしても痛くも痒くもないということになる。


これも私がブログで多くのことを書ける理由の一つなのである。


今後、どのような形で進んでゆくのかは私にもわからない。というのは、これまでの前例がないためである。


いずれにしろ、農業の世界が産業化してゆくという過程において避けれない変化になる。競争するということはそういうことなのだ。


これまでの牧歌的な時代は終わりつつある。他産業と同じになるという意味は、非常に厳しい。よく考えて欲しい。他産業では生き残るということは、大変なことなのだ。農業は別であるという甘えは許されない。


それが嫌だというのであれば、農業界の変化を望むべきではない。

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