品種選びの考え方 | あなたも農業コンサルタントになれる

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  わけではない / by 岡本信一









栽培において、品種選びというのは非常に重要である。多くの方はどのように品種を選んでいるのだろうか。


品種の選定というのは、多くの場合、早生、中生、晩生といった収穫時間の長短、そして栽培時期に適した品種を選ばれていると思います。


以下、一般的な傾向を書きましょう。まず、早生というのは、早くできるのが最も特徴的であるが、収量的には劣っている。早くできるということに特化しているために、病害虫などにも弱いものが多く、どちらかと言えば安定しにくい品種が多い。


中生は、多くの場合主力であるので多くの品種が揃っており、選択肢が多い。


晩生は、収穫できるまでの時間が長いが、多収の品種が多い。この辺りは常識であると思うが、基本です。


さて、種を買う側ではなく種苗メーカーは、どのような基準で品種を選抜をしているのかというと、売れる品種である。売れる品種というのは、単純に言って、病害虫に強いか、多収の品種でほぼ間違いない。美味しいという品種も選抜されるにはされるが、基本的にはいかに美味しい品種であってもいわゆる作りにくいといわれる品種は、売れないので優先順位は低い。更に言えるのは、作りやすい品種というのは、売れやすい。これは、病害虫抵抗性や多収も含め、優先順位は非常に高いと考えられる。


一般的な品種選びの話をしても面白く無いので、あまり知られていないこととして、作りにくいという品種の傾向というのはかなりはっきりしているということを書いてみたい。


作りにくいというのは、安定しないということである。病害虫に弱かったり、天候の影響が現れやすいということになる。


これをよく考えてみるとどういうことなのかというと、多施肥栽培だと安定しないということを表していることが多いのである。多施肥特にチッソが多いと病害虫に弱くなり、しかも天候の影響を受け易いというのは度々ブログで書いているが、要するに窒素過多の影響がモロに出やすい品種であると作りにくいと言われてしまうのである。


逆に言うと作りにくい品種というのは、栽培管理、特に施肥管理の差が出やすい品種ということになり、作りやすい品種というのは、施肥管理に対して鈍感な品種が多い傾向がある。施肥管理に鈍感であるということは、施肥が多かろうが、少なかろうがあまり影響を受けないということになる。


私は日本では施肥量が多すぎる上に、基肥中心が多いのが問題だと常に書いているが、きちんと施肥管理をできるということになると、このいわゆる作りにくい品種でも安定してとれる可能性が高くなり特徴のある品種を作付できる可能性があるということである。


ブドウの「巨峰」は、品種登録されていないが、まさにそれに当てはまり、一般的な基肥中心の栽培では実を付けなかったために、品種として認められなかった。初期のチッソを抑えブドウの生理にあった施肥を行わなければ実を付けなかった「巨峰」なのである。(ホルモン剤の普及によって、基肥中心の栽培でも実をつけることができるようになった)


今回私が書きたいのは、施肥体系や栽培管理を変えることにより、品種の選定ですらこれまでと違う考え方ができるということである。


一般に作りにくい品種というのは、他の何らかの特徴を備えていることが多い。と言うことは、施肥や栽培管理を変えることでその特徴を引き出し、差別化することも可能になる。


品種特性というのは決定的で、栽培管理などで品種特性を超えることは不可能であるが、施肥、栽培管理を変えると品種の選択ですら新しいものを取り入れることが可能になるのである。


要するに施肥・栽培管理の方法と品種選定は密接に関係していて、施肥管理を変えるということは、品種選定でもこれまでと違う観点から見ることができる。


逆の言い方をすると、作りたい品種に合わせて施肥・栽培管理も変えることで珍しい品種の導入も可能になるということである。


栽培管理の違いによっても、品種選定を帰ることが可能であるということを意識していただくと、栽培に対する意識が拡がると思う。

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