ここでは、最近のうつ病事情についてとりあげ書きたいと思います。
昔、うつ病といえば、几帳面・勤勉・責任感が強い・他者への配慮も怠らない・自分に対する要求水準が高すぎる人が、過労に陥り、うつ病になるというパターンが多かったようです。
要は、真面目に頑張りすぎて過労となって、うつ病になってしまう感じでしょう。40~50代の男性に多いものです。
これは、メランコニー型うつ病と言われています。
ところが、1970年代後半からは、過保護な養育環境、葛藤のない生活、母子分離が不十分といった背景をもった、プライドの高い若いエリートサラリーマンにみられ、休日は活発に過ごせるが、強い職場恐怖を持ち、うつ状態は目立たないが、おっくう、だるさなどを訴え、寝込んで欠勤するタイプが出てきました。
要は、過保護に育ったお坊ちゃんタイプが社会に出て躓いた感じでしょう。 これは、逃避型抑うつ病と言われています。
その後、90年代から現代型うつ病なるものも報告されました。
そして、最近、注目されているのが、ディスチミア親和型うつ病というものです。
1970年以降に生まれた、比較的若い世代に多く「どこまでが“生き方”でどこからが“病気”かはっきりしない」といった特徴があります。
「ディスチミア親和型うつ病」とは
ディス=上手くいかない
チミア=気分
2005年に発表された新しい概念で次のような特徴があります。
・初期から「うつ病」の診断に協力的
・衝動的な自傷、一方で“軽やかな”自殺企図
・不全感と倦怠
・回避と他罰感情
・自己自身への愛着
・規範への「ストレス」
・もともと仕事熱心ではない
・薬物への反応は多くは部分的効果にとどまる
・休養と服薬のみではしばしば慢性化する
・環境の変化で急速に改善することがある
一昔前なら、何らかのパーソナリティ障害と診断されたり、怠け病と言われていたかもしれません。
治療は、これまでのうつ病治療がそのまま適用できるとは限りません。