自分はうつ病じゃないか、と思って受診される方は年々増えています。
典型的うつ病というのは、サラリーマンの方の場合です。バリバリ働けていたのに、仕事や人間関係のトラブルがきっかけで、朝起きられない・疲れやすい夜寝れない・食欲がない、などの訴えがあります。この辺りは、話し方、表情からうつ病だとの診断がつきます。
ところが最近、違ったタイプのうつ病が明らかに増えているようです。
確かに、何もやる気が出ない・不眠・死にたい・自傷・OD、といった症状を訴えられます。
でも自分の好きなことは全然平気に出来てしまいます。
例えば、コンサートには不思議と行けるのです。電車に乗って時間をかけて混雑した中を平気で行けるのです。買いたいものがあってお金が欲しいとなると、うつ病のはずなのにバイトは行けるのです。
はたして、本当にうつ病なのか。
もちろん、つらい気持ちが本当なのは痛いほど伝わってきます。しかし、このような患者さんの場合は、抗うつ薬が殆ど効果がありません。
では、薬が効かなければどうするか。
そのような人たちの共通点があります一般にうつ病になる人は、人が良くて何でも引き受けて頑張り過ぎてしんどくなるタイプと思われがちですが、実は違うようです。。
うつになりやすい人は、
・ストレスがあったときの対処能力が十分でない人
・遺伝的な要素を持っている人
・何でもマイナス方向に考えてしまう認知の歪みのある人
・他罰的・攻撃的な人(皆悪いやつだ、分かってくれない、など)
に多いようです。
ストレスの対処能力は、失敗を生かそうとするなど自分で上手く前向きに考えたり、誰かに相談したり愚痴を言ったりなどして上手くストレスを発散することです。これはある程度の社会的なコミュニケーション力と知的能力が必要です。
他罰的・攻撃的な人は、ズバズバ相手に思ってることをハッキリ言って打ち負かそうとします。
相手を言葉で打ち負かすと、一見スッキリし、言い負かされた方はどん底に落ちると思われがちですが、どうやらそれは逆のようです。
経験ある方もいると思いますが、相手を言い負かした後は、強い空虚感に襲われることがあります。あんなこと言わなければよかった、傷つけてしまった、恨まれるのでは、と後悔が出てきます。これがずっと尾を引くことになります。
相手を攻撃したり罵倒してしまった後、後悔したり、後で言い過ぎたと謝ったりする人がいる一方で、まったく振り返らない人もいます。相手が悪いから自分が怒ったのは当然だと。
私は、この後のタイプの方がある状況下で深刻な鬱になりやすい気がします。なぜなら、周りの人は「悪い奴、嫌な奴ばっかりだ」といった思考の誤りに陥りやすいからです。常に振り返りがなければまだマシかもしれません。しかし、このような人たちもいつかは寂しさを感じるのです。
そして次第に、その人たちはいつも他罰的で誰も自分のことを分かってくれない、誰も信用できない、となっていきます。何となく「うつ」になりそうな気がしませんか?