その267 にほんご事始め(2)  | ココハドコ? アタシハダレ?

ココハドコ? アタシハダレ?

自分が誰なのか、忘れないための備忘録または日記、のようなもの。

 日本に住む外国人に日本語を教え始めてから、日本語は難しいと思うようになった。日本語に限ったことではないのだろうが、言葉は生きていると、そんな思いがよぎる今日この頃である。

時の流れとともに新しい言葉が生まれ、その一方で使われずに忘れ去られてゆく言葉もある。言葉には歴史がある。

 

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 ここ数年、コンビニエンスストアで外国人の店員を見ることは日常的な事となってしまったが、彼らの多くは日本語を学ぶために日本語学校に通う留学生で、ビザの関係で1週間に最大で28時間の就労しか認められていない。その最大の受け皿となっているのがコンビニエンスストアなのである。つまり勉強中の日本語が多少おぼつかなくても仕方がない。「いらっしゃいませ」を「いらませ~」と発音したところで、客は別に文句を言わない。ああ、「いらっしゃいませ」がまだ言えないんだなと勝手に納得するだけのことで、クレームになることなどまずないだろう。

 

 ただ、なんとなく気になって「いらっしゃいませ」とはどんな意味なのか、調べてみた。いや、厳密にいうと「いらっしゃい」は知ってはいるけれど、最後の「ませ」って何?

頭の中で「ませ、ませ、ませ?」と言ってみてもわからない。で、辞書を引くと、なんと丁寧語の助動詞「ます」の命令形なんだそうだ。え?「ます」に命令形がある??

 そういえば「○○なさいませ」という言い方がある。たしかに命令形である。となると「いらっしゃい」とはどんな意味なのか。私は漠然と「こちらへ来なさい」といった意味だろうと思っていて、「いらっしゃい」だけで充分に命令形になっていると思っていたのだけど・・・

 

 辞書によると「入る」の尊敬語だった古語の「いらせらる」が変化して「行く」「来る」「居る」の尊敬語「いらっしゃる」になったという。「いらっしゃる」はラ行五段活用と辞書にはあり、となると命令形は「いらっしゃれ」とならなければならない。「いらっしゃい」は実は連用形がイ音便で「いらっしゃい」になったもので、そこに「ます」の命令形「ませ」がついたと。

 「いらっしゃい」が命令と受け取られるのは「ませ」を省略したというのが辞書の解釈。

 

 つまり、「いらっしゃいませ」は「(どうぞ)お入りください」という命令というより要請といったほうがふさわしい尊敬語だったのだ。

 

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 このような日本語の成り立ちを外国人の学習者に教えても、なかなか理解できるものではないし、膨大な語彙の中からいくつか選んで教えても、印象に残ったからと言って、その言葉を実際に正しく使えるようになるかというと、そういうものでもないだろう。

 だからといって「いらっしゃいませ」の発音だけを教えても、ちょっと違う気がするのだが、これを悩まずに割り切って教える教師というのも、ある意味すごいなと思ったりしている。

 

 

 

 

 

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