暖かくなってつばめが飛ぶ季節になった。つばめは民家の軒下などに巣を作り、そこでひなを育てるが、最近は飛ぶ姿は見ても巣を見る機会がないなあと思っていたら、古びたアパートの階段室に巣を作っているのを見つけた。巣は泥と枯草を唾液で固めて造るのだそうだ。
すずめも人間の暮らすすぐそばに巣を作ると言われている。たしかに、空き家になった建物の換気口に巣作りをしているすずめや、街灯柱の横に伸びたパイプの中に巣を作ったすずめを見たことはあるが、ただ、そうした例を見ることはきわめて稀で、すずめは毎日のように目にするけれど、その巣を目にすることはめったにない。つばめもすずめも一説によるとカラスなどの外敵からヒナを守るために軒下などに巣を作るらしい。カラスより人間のほうが安全と思っているのかもしれない。
日本では、穀物を食べず害虫を食べてくれる益鳥としてつばめを大切にしてきた事実もあり、農村部では殺したり巣や雛に悪戯したりする事を慣習的に禁じたということもある。つばめにとって日本は住み心地の良い国なのかもしれない。
実際、撮っている間も巣を壊されないか警戒してるのだろうが、逃げるように飛び去ることもなく、撮影に一息入れると、どこかに飛んで行きしばらくすると戻ってくる。ポーズをとっているわけではあるまいが、案外近くで撮ってもじっとして、こちらを見ている。この辺りがスズメと違ってちょっと協力的に見えないこともない(笑。
まだヒナの姿は見えないが、しばらくすれば巣から口先を出してピィピィ鳴きながら親にエサを求め始めるのだろう。
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まだ私が幼かったころ、戦後の食糧難の名残だろう、空気銃を持ってスズメを撃ってる人がいた。スズメを撃って、これを焼き鳥屋に持っていくと料理して食べさせてくれるんだと、その人は言っていた。小さなスズメからどれほどの肉が取れるか、知れたものと思うが人間の食用として用いられたという歴史もあるようだ。
スズメは害虫も捕食するが、その一方で穀物も食べる。農業にとって「害」も「益」もある。人間世界の中でのつばめとすずめ。待遇の違いはどうしようもなくあるのだろう。
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鳥の中で飛ぶスピードが最も速いのはつばめだと聞いたことがあるが本当だろうか。そのためだろう旧国鉄最速の特急列車の愛称は「つばめ号」だった。それで、プロ野球の国鉄球団の愛称が「スワローズ」になった。親会社が変わって一時「アトムズ」になったが、ヤクルトが親会社になって「スワローズ」が復活した。
つばめは別名を「つばくろ」と言う。だから球団マスコットは「つば九郎」。一度も"クルリンパ"を成功させないうちに急逝したのは残念だったが、本家の「つばめ」以上の愛されキャラだった。「2代目つば九郎」があるのかないのか知らないが、また新たなキャラの登場を待とう。