その167 難民問題について とりあえず覚書き | ココハドコ? アタシハダレ?

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自分が誰なのか、忘れないための備忘録または日記、のようなもの。

「NPO法人難民支援協会」という組織がある。昨年の秋、私はここが主催した「難民アシスタント養成講座」なるものを受講した。それまでも少額の寄付はしていたのだが、難民と呼ばれる人々とじかに触れあいたい、そしてささやかであってもなにがしかの力になればと、そんな思いが次第に強くなってきていたのだ。

ただ、コロナの蔓延や自分の体の事もあってまだ「支援」の現場に参加はしていない。現在のオミクロンが沈静化しブースター接種をするなり、治療薬が開発承認されて、コロナ対策に一定の展望が開けてから動き出してもいくらでもできることはありそうだと、そんな感触は持っている。支援にやりがいを覚え、人生最晩年のライフワークにでもなれば幸いだと思っている。

 

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(以下、覚書き)

現在、世界には8200万人を超える難民がいると言われている。2021年の世界人口が78億7500万人と推計されていることを思うと、世界人口の実に1%以上の人が難民になっていることになる。難民を多く送り出しているのは中東、アフリカ、アジアの紛争地域で、人々は自分の生まれ育った国から近隣の国々へと避難し、更にはヨーロッパや北米を目指して命を懸けたつらい旅を強いられている。そして、ニュースにもならず、一般になかなか認知もされないが、日本にたどり着く難民も少なからず存在しているのである。

日本における難民認定申請者数はコロナ禍による入国制限のかかったこの2年を別にすれば、2016年から2019年までの4年間はいずれも1万人を超えている。そんな中で、難民として認定された人の数は多い年でもわずかに47人、全体の0.5%に満たない。欧米の主要諸国が認定率15~50%であるのに対し、極端に低い日本の認定率は難民条約にある難民の定義を非常に狭く厳密に運用しようとする姿勢に一因があると考えられている。

 

難民条約における難民の定義

 「人種・宗教・国籍・特定の社会的集団の構成員であること・政治的意見を理由として迫害を受けるおそれがあるという、十分に理由のある恐怖を有する ために国籍国の外にいる者であって、その国籍国の保護を受けることができないもの又はそれを望まないもの」

 

 ここで言われている難民に該当するか否かを、日本では物的証拠や証言を以て疑いの余地なく充分に証明する必要がある。他国と比べて相当に高いハードルが設けられている。

(ただし着のみ着のままで避難してきた難民にはパスポートやビザもない場合が多く、結果その段階で不法入国者=犯罪者扱い、物的証拠などすべて疑えば疑えるだろう。ここには難民の定義を厳密に運用する以上に人種差別があると、個人的には思料する)

 

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さて、生まれ育った故国を追われ命からがら逃れてきた難民が日本で難民申請するとどうなるか?

ほぼ100%が収容所に入れられる。収容令書なるものが出され、まず30日、30日で認定を出せないと更に30日、その後は退去強制令書なるものに切り替わり、強制退去が可能な時まで無期限に収容が可能となる。この時収容の延長の理由や期限は一切開示されない。

 

出入国管理及び難民認定法

第三十九条 入国警備官は、容疑者が第二十四条各号の一に該当すると疑うに足りる相当の理由があるときは、収容令書により、その者を収容することができる。

 

 第二十四条各号とは退去強制の要件が書かれている条文のことだが、問題なのは「疑うに足りる」だけで収容できるという事である。だから疑えるというだけで退去強制令書も発付できるのだろう。この場合、収容を求めるのも、許可するのも同じ入管庁の職員である。裁判所のような第三者機関は介在しない。だからだろう、ここには「人権を守る」という意識は垣間見ることすらできない。

 

長年難民支援活動を続ける児玉晃一弁護士はこれを戦前の特高がやった「予防拘禁と同じ」とコメントしている。

 

さらにこんな記事も。

1300日超の拘束、精神崩壊、自殺未遂―難民男性ら「入管自体が違法」「国連のルール守れ」と提訴

「なぜ入管は国連の指摘を無視するのか」 難民申請中の外国人2人が国を提訴

 

提訴の理由となっている国際人権規約とは世界人権宣言を条約化したものといわれ、日本ももちろん加入している。

 

国際人権規約

 第九条
1 すべての者は、身体の自由及び安全についての権利を有する。何人も、恣意的に逮捕され又は抑留されない。何人も、法律で定める理由及び手続によらない限り、その自由を奪われない。
2 逮捕される者は、逮捕の時にその理由を告げられるものとし、自己に対する被疑事実を速やかに告げられる。
3 刑事上の罪に問われて逮捕され又は抑留された者は、裁判官又は司法権を行使することが

法律によって認められている他の官憲の面前に速やかに連れて行かれるものとし、妥当な期間内に裁判を受ける権利又は釈放される権利を有する。裁判に付される者を抑留することが原則であってはならず、釈放に当たっては、裁判その他の司法上の手続のすべての段階における出頭及び必要な場合における判決の執行のための出頭が保証されることを条件とすることができる。
4 逮捕又は抑留によって自由を奪われた者は、裁判所がその抑留が合法的であるかどうかを遅滞なく決定すること及びその抑留が合法的でない場合にはその釈放を命ずることができるように、裁判所において手続をとる権利を有する。
5 違法に逮捕され又は抑留された者は、賠償を受ける権利を有する。

 

国連人権理事会の恣意的拘禁作業部会(国連WG)によると、現在の入管行政及び入管法自体が自由権規約第9条4項に反していると、上の記事は述べているが、更に、日本国憲法違反ですらあるだろうと私は疑っている。

 

日本国憲法

前文

われらは、全世界の国民が、ひとしく恐怖と欠乏から免かれ、平和のうちに生存する権利を有することを確認する。

34条 何人も、理由を直ちに告げられ、且つ、直ちに弁護人に依頼する権利を与へられなければ、抑留又は拘禁されない。又、何人も、正当な理由がなければ、拘禁されず、要求があれば、その理由は、直ちに本人及びその弁護人の出席する公開の法廷で示されなければならない。

98条 この憲法は、国の最高法規であつて、その条規に反する法律、命令、詔勅及び国務に関するその他の行為の全部又は一部は、その効力を有しない。

  ② 日本国が締結した条約及び確立された国際法規は、これを誠実に遵守することを必要とする。

 

 

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難民条約(1951年の難民の地位に関する条約)に日本は1981年に加入している。その33条1項にノン・ルフールマン原則と言われる条文がある。

 

難民条約

第33条【追放及び送還の禁止】
1  締約国は、難民を、いかなる方法によっても、人種、宗教、国籍もしくは特定の社会的集団の構成員であることまたは政治的意見のためにその生命または自由が脅威にさらされるおそれのある領域の国境へ追放しまたは送還してはならない。

 

 難民認定審査で難民と認定されされない者のうちに実は多くの難民が存在し、彼らは送還を拒否、再審査を求めることができる。それによって収容が長期化する場合も多い。これらの人々はノン・ルフールマン原則により強制送還できない。そもそも収容とは送還するまでの期間、人身を確保するのが目的で難民審査を進める期間ですら収容できるはずはないのだが、それにもかかわらず、一度収容されるとなかなかそこから解放されることがない。

 

 難民認定がされない間の解放は仮放免という形をとる。身元保証人がいて、保証金を払う必要がある。ただし、仮放免なので就労を禁止され、だからと言って経済生活を支える生活保護のような仕組みもない。彼らはもちろん日本語もほとんど話せないだろう。加えて居住する県(都・府)から外に出る場合はその都度入管事務所で許可を取る必要がある。仮放免されても犯罪を犯すよりほかに生きていくすべがあるのだろうか、国は彼らをそういう状況に追いやっているのである。

 

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 以上、日本に来た難民の置かれている状況を自分なりに整理してみた。かなり大雑把な認識だと思うが今はこれが精一杯。弁護士でもなければ法律の専門的知識があるわけでもない自分に出来る事を考えると、まず生活に行き詰った人たちへの支援という事になろうかと思う。その現場に行くのは少し先になるだろうが、その時はその時で、ここでまた何事か発信していきたいと思う。

 

 

 

 

 

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