「花を添える」という言葉がある。変哲もない風景に花を添えてみようと思った。カメラを持って外に出ても何を撮ろうというわけでもなく歩いていると自然と花に目が行ってしまう。花は綺麗だから見るのは好きだ。それでついカメラを向ける。そしてついアップにしてシャッターを切ってしまう。撮ったものを見るとつまらない。綺麗なだけで、だからどうしたという気分になる。ブツ(物)撮りするように花を撮ってはダメだと思った。それで風景の中の花を撮ろうという試み。ネタに困った時のお手軽企画。
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アヤメではないし菖蒲にも見えないしと思って調べてみたらジャーマンアイリスという花らしい。直訳してドイツアヤメとも。園芸を趣味とする人にはおなじみなんだろうが、近年は外国から輸入されたらしい見馴れぬ花、カタカナ名の花がずいぶん増えていて、初めて聞く名前も多い。桔梗とか水仙とか鳳仙花、撫子といった子供の頃になじんだそんな和名の花はみんな小ぶりの花だったが、どこか隅に追いやられてしまったのだろうか。
同じアヤメ科の外来種でキショウブという花がある。水辺で繁殖している菖蒲の仲間で、文字通り黄色い花を咲かせている。こちらは「日本の侵略的外来種ワースト100」に指定されている。繁殖力が強いのだろう、80年代に観賞用に輸入されたものが最近はあちこちで野生化したものを見かける。日本固有のアヤメ科在来種との交雑が心配されているらしい。