ゴジラの相手はコングとギドラ | 懐古趣味親爺のブログ

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幼少期(1950年代)から成人期(1970年代)までの私の記憶に残っているものを網羅。

私が昭和ゴジラを堕落させた要因となったと思っている作品が、『キングコング対ゴジラ』と『三大怪獣 地球最大の決戦』です。

『キングコング対ゴジラ』(1962年・東宝/監督:本多猪四郎)は、公開当時、日米二大怪獣の激突ということで喜び勇んで観に行った作品。だけど、再見した時はコングとゴジラのバトルシーンだけ覚えていて、あとは殆ど忘れていました。

テレビ局の桜井(高島忠夫)と古江(藤木悠)はスポンサーである製薬会社の多胡部長(有島一郎)に頼まれ、南の島に魔神探しに出かけます。魔神はキングコングで村を襲った大ダコを八つ裂き。島民の秘薬である赤い木の実の汁を飲んで眠りこけます。桜井と古江はキングコングを捕え、巨大な筏で日本へ運搬開始。その頃、北極海ではゴジラが出現。ゴジラは原子力潜水艦を襲い、某国沿岸の軍事施設を破壊して南下。重沢博士(平田昭彦)が予測した通り、ゴジラは松島湾から日本上陸。目を覚ましたコングは筏を壊し、ゴジラを求めて日本上陸。二大怪獣は那須高原で対決。ゴジラの放射能熱線攻撃の前にコングは成す術もなく退散。

自衛隊(総監は田崎潤)は怪獣撃滅作戦を展開。首都圏のまわりに100万ボルトの高圧線を張りめぐらします。さすがのゴジラもたじろぎ、首都圏を迂回。しかし、コングは電流を体内に受け入れて、帯電体質に変化。東京を襲ったコングを赤い木の実の成分で作った眠りガスで眠らすことに成功。重沢博士は二大怪獣の闘争本能を利用すること考え、桜井の妹(浜美枝)の恋人(佐原健二)が発明した強力な繊維で作ったロープでコングをヘリコプターで吊り上げ、ゴジラのいる富士山麓へ運びます。ゴジラとコングは再び激突。帯電能力でパワーアップしたコングはゴジラの放射能熱線にもひるまず、熱海城をブチ壊し、ゴジラと共に海中へ……

東宝創立30周年記念作品として製作。前作(ゴジラの逆襲)で氷山に閉じ込められたゴジラが凍眠から覚めて復活するという続編になっています。前作のアンギラスとの野獣のような闘争でなく、コングとはプロレスのようなスポーツ感覚の戦いで、現在の視点でみるとコメディ映画です。有島一郎なんて完全にコメディ演技だし、土人の酋長の小杉義男と通訳の大村千吉の会話なんて漫才ですよ。コング対ゴジラの対決場所が富士山麓というのは、海外向けを考えたからでしょうな。浜美枝や浜美枝の友人役の若林映子は、いてもいなくてもいいような存在で~す。

 

『三大怪獣 地球最大の決戦』(1964年・東宝/監督:本多猪四郎)は、ゴジラ・ラドン・モスラがキングギドラと戦う怪獣バトル映画。

降り注ぐ流星雨、異常気象の日本。刑事・進藤(夏木陽介)は来日するセルジア国のサルノ王女(若林映子)の護衛を沖田課長(平田昭彦)から命じられますが、王女の乗る飛行機は爆発。その後、王女そっくりの金星人を名乗る女が現れ、地球の危機を説いてまわります。ラドンとゴジラが復活し、村井助教授(小泉博)が調査していた黒部峡谷に落ちた隕石から宇宙怪獣キングギドラが出現。進藤は妹・直子(星由里子)の取材から金星人を名乗る女性がサルノ王女と確信し、富士山麓にある塚本博士(志村喬)に治療を依頼します。

キングギドラは日本各地を破壊しながら富士山麓へ。王女暗殺に殺し屋一味が現れますが、キングギドラが起こした崖崩れによって全滅。王女は自我を取り戻します。日本に来ていたインファント島の小美人(ザ・ピーナッツ)がモスラを呼び寄せ、富士山麓で戦っていたゴジラとラドンにモスラがキングギドラと戦うように要請。ゴジラとラドンは拒否しますが、モスラがキングギドラと戦う様子に心を動かされて加勢。三大怪獣の猛攻を受けたキングギドラは宇宙へ逃げ去るので~す。

全身黄金に輝くウロコ状の皮膚に、三つの長い首と二股の尾を持ち、100メートルの体長、150メートルの翼長のキングギドラの造形は東宝怪獣の傑作といえます。空を飛びながら地上に光線を浴びせまくり、街を破壊していくシーンの映像はダイナミック。キングギドラを生み出したことに、この作品の価値がありますが、それだけね。自衛隊は何もせず、怪獣にお任せという内容は好きになれません。ヒールだったゴジラがヒーローに転換し、その後のゴジラ映画を堕落させていった元凶でもありますな。1984年の『ゴジラ』まで、私はリアルタイムでゴジラを観ることはなくなりました。