特攻大作戦と戦略大作戦 | 懐古趣味親爺のブログ

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幼少期(1950年代)から成人期(1970年代)までの私の記憶に残っているものを網羅。

はぐれ集団的な特殊部隊が活躍する戦争アクションに『特攻大作戦』と『戦略大作戦』があります。

『特攻大作戦』(1967年/監督:ロバート・アルドリッチ)は、囚人兵からなる特殊部隊がナチの将校たちが集う施設を破壊する戦争アクション。

ライズマン少佐(リー・マーヴィン)は、ノルマンディー上陸作戦に先立ち指揮系統を混乱させるためにドイツ国防軍の高級将校が集う保養所の襲撃をウォーデン少将(アーネスト・ボーグナイン)から命令されます。危険な作戦に選ばれたのは12人の囚人兵。ライズマンは憲兵隊のボーレン軍曹(リチャード・ジャッケル)と囚人兵たちを訓練。ライズマンは囚人たちの反発心を利用して鍛え上げていきます。ライズマンに反感を持っているブリード大佐(ロバート・ライアン)が「囚人兵は練度が低くて役に立たない」と言ったことから、ライズマンに好意を持っているアンブラスター少佐(ジョージ・ケネディ)の提案で、軍事訓練においてブリードの部隊と囚人兵が対決。ブリードの指揮所を占拠して実力を認めさせます。そして、ライズマンの指揮下のもと作戦が決行されますが……

囚人兵は、入隊前はシカゴのギャングだったジョン・カサベテス、戦場で部下を見殺しにして逃げ出した上官を撃ち殺したチャールズ・ブロンソン、差別行為をする白人兵を殺した黒人兵のジム・ブラウン、男に媚びを売る女を汚れたものとして殺したテリー・サバラス、喧嘩で相手を殴り殺したクリント・ウォーカー、やる気のないドナルド・サザーランドなど配役はすこぶる賑やか。前半からユーモアあふれる展開で惹きつけられます。後半の襲撃場面もサスペンスたっぷりの強力描写。ただ、地下に逃げ込んだドイツ将校たちを通風孔から手榴弾とガソリンをまいて焼き殺すラストは爽快感がなく残念!

 

『戦略大作戦』(1970年/監督:ブライアン・G・ハットン)は、極道者ばかりの小隊が金塊強奪を狙う戦争アクション。

第二次世界大戦末期、フランス前線でドイツ軍との抗戦中の米軍分隊のケリー(クリント・イーストウッド)は、捕虜にした敵の大佐から1600万ドル相当の金の延べ棒がドイツ軍占領下の銀行に保管されていることを知ります。3日間の休暇が与えられ、この機に金掠奪を考えたケリーは、兵器類調達のクラップ(ドン・リックルズ)、戦車部隊の隊長オッドボール(ドナルド・サザーランド)を仲間に加え、反対する曹長のビッグ・ジョー(テリー・サバラス)を説得。金を目ざして進撃を開始したケリーの部隊は奇襲作戦を順調に進め、敵地深く潜入。別ルートで進撃してきたオッドボールの戦車とも合流して金のあるクレルモンの町へ。ドイツ軍戦線を突破するケリーたちの活躍を無線で知ったにコルト将軍(キャロル・オコーナー)は有頂天になって自らもクレルモンの町に乗り込むことにします。タイガー戦車三台に守られた町の防備を、ケリーたちは巧みな作戦により撃破。残ったタイガーの指揮官を説得し、将軍が町に凱旋してくる前に銀行から金の延べ棒を運び出すことに成功。

腕は確かだが、厚顔無恥の連中が集まって愛国心などそっちのけで金塊争奪。戦争を皮肉ったブラックコメディになっています。ドナルド・サザーランドが圧倒的存在感を持っており、軍規を重視するテリー・サバラスが意外な可笑しさを出しています。それに、最近まで傍役人生一筋に活躍したハリー・ディーン・スタントンや、川谷拓三のような泣き笑いの表情を見せるスチュアート・マーゴリンなど個性的な傍役がいっぱい。イーストウッドは影が薄い存在で不満だったでしょうね。

音楽はラロ・シフリン。軽快なテーマ曲の他に、イーストウッド・サザーランド・サバラスが横並びに戦車に向かって歩を進めるシーンにマカロニ風の音楽が流れるのはモリコーネへのパロディ。傑作とはいえませんが、愉快な戦争アクションとして楽しめま~す。