軍兵衛目安箱と弥次喜多隠密道中 | 懐古趣味親爺のブログ

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幼少期(1950年代)から成人期(1970年代)までの私の記憶に残っているものを網羅。

『軍兵衛目安箱』(NET=現:テレビ朝日系列で1971年4月7日~9月29日放送)は、67歳の片岡千恵蔵が初主演したテレビ時代劇。

8代将軍・吉宗の発案で設けられた目安箱の中から、老中・大久保加賀守(柳生博)の家臣・黒田軍兵衛(片岡千恵蔵)が取り上げられなかった事件を独自の力で捜査・解決。軍兵衛は大久保家の馬廻り役番頭で、部下に宮田兵助(渡辺篤史)、榊原伝四郎(亀石征一郎)、三浦和馬(倉丘伸太郎)がいます。梅田宗右衛門(大坂志郎)は、加賀守からの連絡係。市井に顔が広い中間頭の亀蔵(遠藤辰雄)と、軍兵衛たちの行きつけの料理屋の看板娘・おゆう(磯野洋子)は軍兵衛の情報源。軍兵衛には一人娘のお容(球めぐみ)がいます。

従来の捕物帳と大きく異なる点は、町方同心でも岡っ引きでもなく、全く捜査権を持たない一家臣・軍兵衛が自らの首を賭け、弱い立場の庶民を守るところ。ユーチューブで第1話と2話を観ることができました。第1話では、奉行所の筆頭与力(江見俊太郎)を使って、長屋の大家の娘を自分のものにしようとする好色なお数寄屋坊主(清水元)から長屋の住民と娘を守ります。第2話では、母親を作事奉行(勝部演之)に殺された子どものために軍兵衛が仇討ち。どちらも被害者は目安箱に悪事を訴えるのですが、権力者のために訴状が葬られるんですな。千恵蔵独特の物言いでウームと唸り声をあげ、事件解決のアイデアが浮かんだ時、ニヤリと不敵な顔。悪党に対して奥歯が痛くなるようなタンカを切る時、千恵蔵ファンは嬉しくなるのです。

武芸は強いが、女好きで調子のよい浪人・伴大五郎役で若山富三郎がゲスト出演しています。

千恵蔵はこの後、『世なおし奉行』(NET=現:テレビ朝日系列で1972年4月6日~9月28日放送)に主演。天領と旗本領が入りくんだ関八州は幕府の目が行き届かない無法地帯。幕府は事件解決のために関八州取締出役を設置。その総元締めとして勘定奉行の跡部能登守(片岡千恵蔵)を任命します。能登守は部下(田村正和・石山律)や女軽業師(赤座美代子)・元スリ(砂塚秀夫)たちと難事件や凶悪事件を解決。ユーチューブで第1話を観たのですが、キザでニヒル感を強調した田村正和の演技が鼻について、観る気がうせました。

 

『弥次喜多隠密道中』は、日本テレビ系列で1971年10月7日から72年3月30日に放送された歌舞伎座テレビ室製作の時代劇。

各地で公儀隠密の正体が見破られ、殺害されるという事態に老中・水野越前守(大友柳太朗)は、隠し目付の榊竜軒(中村敦夫)に命じ、貧乏旗本の次男坊・村上弥次郎(尾上菊之助=現:菊五郎)と元伊賀同心の青山喜多八(目黒祐樹)を、素性が明かされぬよう切腹したことにして公儀隠密に任命します。弥次郎は度胸と剣の腕を見込まれ、喜多八は忍びの腕が抜群。だけど、弥次郎は大酒飲みが玉にキズで、喜多八は女好きという欠点を持っています。二人は町人の道中姿で江戸を出発。

BSジャパンで再放送されるまで、大友柳太朗がセミレギュラーで出演していたなんて、迂闊にも知りませんでした。20話の「危うし!越前」では、暗殺隊相手に見事な殺陣を見せてくれましたな。セミレギュラーは、竜軒の指令を伝える女忍者お駒(岡田可愛)と、途中で殉職するお駒に代わって登場する連絡係おるい(土田早苗)、それに後半の4話だけに二人のライバルとして登場する義賊・小判鮫(林与一)です。

ゲスト陣も今からみると豪華なもので、梶芽衣子・近衛十四郎・津川雅彦・松方弘樹・嵐寛寿郎・由美かおる・里見浩太朗・東千代之介・三浦布美子・菱見百合子、それに主題歌を歌っている水原弘など。タイトル題字を担当しているのが何故かON(弥次が王で、喜多が長島)です。日本テレビは素人の大学生に弥次喜多の扮装をさせ、東京-大阪600キロを歩かせたりして何かと話題作りをしましたが、視聴率は今イチだったようで~す。