売り出し前のジャッキー・チェン | 懐古趣味親爺のブログ

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幼少期(1950年代)から成人期(1970年代)までの私の記憶に残っているものを網羅。

ジャッキー・チェンの名前が知られるようになるのは、『酔拳』に始まる一連のコミカル・カンフーからなんですが、今回紹介するのはそれ以前のもの。

『秘龍拳・少林門』(1976年/監督:ジョン・ウー)は、少林寺を裏切り、清王朝の手先となって少林寺を攻撃し、権力を得た男に、少林寺を逃れた高弟の弟子が復讐する物語です。

ジャッキー・チェンが主演男優になる前の作品で、兄を裏切り者に殺され、主人公の仲間になる一人として出演しています。鍛冶が得意な槍の名人という設定ね。裏切り者も少林寺拳法の達人で、二人の腹心(一人がサモハン・キンポーでした)の他に、八虎将と呼ばれる武術の達人がいます。彼らを、主人公とジャッキー、それに剣の達人が次々にやっつけていくのが見せ場です。だけど、型通りの旧式カンフーアクションで、監督はジョン・ウーですが、後年のキレのよいアクション演出の片鱗すら垣間見えませ〜ん。

 

『キラー・ドラゴン流星拳』(1976年/監督:ローウェイ)は、武術の達人・梅星河(ジミー・ウォング)が、妻に毒を盛られて、あと1年の生命しかないという花無病(ジャッキー・チェン)の要請で、配下の泥棒たちと花無病の妻が持っている解毒剤を奪いにいく物語。

泥棒たちの特技や、解毒剤を守っている異様な技を使う武術者たちとの戦いが見せ場。ジミー・ウォングが主演した『片腕ドラゴン』や『片腕カンフー対空とぶギロチン』と同じようなトンデモ功夫映画といえますな。

梅星河は王室の密偵で、上司から王室から盗まれた財宝を探すように命じられており、花無病が容疑者。ところが、上司は花無病の仲間で、花無病が隠した財宝を独り占めしようとしていたんです。花無病はその事を知っており、妻が上司の娘ということから毒を飲んだふりをして、梅星河を使って仲間を倒そうと計画。梅星河は、その技を生きて見たものはいないという“奪命流星”なる棍棒の使い手で、仲間が“奪命流星”で倒された後、独り残った花無病と梅星河の対決となります。花無病も武術の達人で、梅星河の必殺技を見破って勝利に自信を持っていたのですが、“奪命流星”にはもう一つの必殺技があって……

ラストのジャッキー・チェンとジミー・ウォングの対決。たくさんの杭の上での決闘で、下は剥き出しになった剣の山。その上を、飛んだり跳ねたりして戦うので〜す。

 

『新・怒りの鉄拳』(1976年/監督:ローウェイ)は、ブルース・リーの陳真が壮烈な死をとげた『ドラゴン怒りの鉄拳』の続編。

精武館道場のひとり娘リーエル(ノラ・ミャオ)が祖父のいる台湾にやってきます。台湾は日本の統治下にあり、日本の武術家・岡村が率いる大和門が台湾の全ての道場支配を計画。陳真の形見のヌンチャクをコソ泥のアーロン(ジャッキー・チェン)が盗んだことからリーエルとアーロンは知り合いになります。大和門のやり方に怒りを覚えたアーロンは精武館道場に入門し、特訓につぐ特訓でメキメキ上達。台湾の武術家を集めた会合で、岡村は武力にものを言わせて統一を図ろうとしますが、アーロンが岡村と対決します。

アクションはテンポがおそく、旧式でガッカリです。『怒りの鉄拳』の続編なので、登場する日本人は皆悪い奴ね。それも、へんな格好で、へんな日本語を使う珍妙な奴ばかり。特に、岡村の娘・千代子は爆笑ものでした。この作品はジャッキーの初主演映画で、ブルース・リーの後釜にする狙いがあったようですが、ブルース・リーほど凄みがないのでラストのアクションがひき立ちません。むしろ、コソ泥時代のコミカルなアクションにジャッキーの本領が出ています。これでは、日本公開されないや。