殺人拳に地獄拳、ついでにカミカゼ野郎 | 懐古趣味親爺のブログ

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幼少期(1950年代)から成人期(1970年代)までの私の記憶に残っているものを網羅。

スタントなしにアクションできた役者といえば小林旭、それに千葉真一ですな。ブルース・リーによってカンフー・ブームとなった時、千葉真一の空手映画も好評でした。

『激突!殺人拳』(1974年/監督:小沢茂弘)

剣琢磨(千葉真一)は、死刑囚の志堅原(石橋雅史)を彼の弟妹に頼まれて、相棒のラクダの張(山田吾一)と脱走させますが、弟妹が報酬を払わなかったことから格闘になり、弟(千葉治郎)はビルから転落死。琢磨は妹・奈智(志穂美悦子)をヤクザの牟田口(渡辺文雄)に売りとばします。牟田口は琢磨の腕を見込んで、空手道場正武館に匿われているベルネラ石油社長令嬢サライ(中島ゆたか)の誘拐を依頼。報酬が後払いというので断った琢磨は、牟田口の背後にいる香港マフィアに襲われます。父親が亡くなったことから、サライはベルネラ石油の利権を求める悪党たちに狙われており、一儲けをたくらんで正武館に乗り込んだ琢磨は、館長の政岡(鈴木正文)と決闘。政岡が死んだ琢磨の父親と知己だったことを知った琢磨は、サライの護衛をして香港マフィアと戦うことになります。行く手に九竜の殺し屋ディンサウ(山本麟一)や、復讐に燃える志堅原兄妹などが現れ……

アメリカでヒットし、千葉真一が国際スターになった作品です。ブルース・リーに影響は受けているものの、千葉ちゃんの顔表情は豊かで、格闘アクションもパワーがあって迫力あります。タランティーノが熱狂的ファンになったのが、わかるような気がしますな。

ちなみに海外バージョンでは、琢磨はテリー・スルギ(サニー・チバ)、ラクダの張はラットノーズ(ジェラルド・ヤマダ)、中島ゆたかはドリス・ナカジマとクレジットされていま~す。

 

『直撃地獄拳 大逆転』(1974年・東映/石井輝男)は、ケレン味たっぷりのコメディ・アクション。

来日した慈善家ザビーネ夫人(ハニー・ブラウン)の10億円の保険がかかった宝石“ファラオの星”が盗まれ、娘も誘拐されます。夫人は保険会社の衆木(丹波哲郎)に娘と宝石の奪回を依頼。衆木が助けを求めた嵐山(池辺良)は、秘書の恵美(中島ゆたか)に命じて甲賀(千葉真一)・隼(佐藤允)・桜(郷鍈二)を招集。夫人の秘書・今村(名和宏)が衆木の用意した金を持って指定の場所へ行きますが、3人は犯人一味に出し抜かれ、娘を取り戻したものの金は奪われます。夫人は“ファラオの星”の保険料を衆木に支払わせ、直接犯人一味と取引。保険調査員・紅美湖(志穂美悦子)の調べで、夫人の背後にはマフィアがいて事件は芝居だったとわかります。甲賀・隼・桜の3人はマフィア日本支部にある大金庫から宝石と金を奪おうとしますが……

ハチャメチャで下品なギャグが満載。佐藤允と郷鍈二がいい味を出しています。ただ、忍者+カンフーアクションを見せる千葉真一のスピードについていけてないのが惜しいですけどね。人によっては好みが分かれるかもしれませんが、石井輝男の奇才ぶりを発揮した作品で~す。

 

『カミカゼ野郎 真昼の決闘』(1966年・東映/監督:深作欣二)は、台湾との合作で製作されたアクション映画。

雪山で台湾の新聞記者・香蘭(白蘭)と知りあった御手洗健(千葉真一)は、射殺された死体を発見。殺された男は矢島といい、K・Mのイニシャルのついた手紙を持っていたことから健が疑われますが、香蘭がずっと一緒にいたことを証言。健は民間航空のパイロットで、会社に行くと矢島が手配したという飛行機を台湾まで運ぶ仕事が待っています。飛行機を購入したのは、台湾の観光会社の社長・頼天賜で、帰国する香蘭を同乗させて健は台湾へ……

終戦により台湾の執政官だった健と同姓の御手洗が接収した200億の宝石を台湾に返そうとしますが、矢島・頼天賜・北沢(大木実)の3人は宝石を横取りしようと御手洗を殺害。宝石は御手洗が隠しており、行方不明のまま。そんな時、健は何者かに御手洗の息子に仕立てられ、事件に巻き込まれるんですな。

千葉真一がスタントの吹替なしでアクション満開。自動車の屋根に貼りついたり、セスナに飛びついたりと、危険なアクションをこなしています。テレビドラマ『キイハンター』で見せる数々のアクションの先駆けになっていますね。全編ロケ撮影で、手持ちカメラによる臨場感あふれる映像は、まさに深作欣二の世界。主人公を助ける謎の男の役で高倉健が特別出演していま~す。